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カエデ  作者: アザレア
討滅戦~新たなる力解放~
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タイムの大勝負

"リンドウ"達が集結した翌日、ディーナ、スイレン、シスイは昨夜会議を行った部屋に集まっていた。


「さてと、"マリー"の見た目とかはある程度でしか分かってないけどかなり凶暴性のある"マリー"のようね。街を一日にして壊滅させる、規格外の"マリー"であることは間違いなさそうね。ヴァレアがくれた情報をもう一度整理しないと…」


「私達や今ヴァレアさんが集結させている"リンドウ"、エニーの兵士の皆さんだけで立ち向かわなければなりません。被害を最小限に抑えるためにも入念に作戦を整えなくてはいけません」


「数少ない情報だと"マリー"は目に付いた生物を動かなくなるまで攻撃をしてくるようです~好戦的を通り越して暴君と言う呼び方が似合いますね~」


ディーナは"マリー"の情報を再整理、スイレンはより被害を抑えるための作戦、シスイは"マリー"から命からがら逃げられた"マリー"の目撃情報を集めていた。


「シスイの情報ってどこから聞いてきたの?昨日の今日で逃げてきた人から聞くにしても時間が早すぎる気もするけど」まだ会議をしてから一日、昼に集まっている時間帯的に聞ける時間は少ししかない。この短時間に目撃情報を聞けるのは少々不自然に感じていたディーナ。


「今日聞いたものではありません~ディーナ様とスイレン様がお依頼をこなしている間にわたくしなりに逃げてきた人々からの聞き込みをしていましたので~また情報を共有しましたら聞き込みに行ってきます~」事前に話を聞いていたシスイは個人で既に動いており前もって目撃者の話を聞いていたのだ。


「情報を付け加えるとしたら対抗していた"リンドウ"もいたそうなのですが、"マリー"が扱う属性は未だに不明だそうです~単純に属性を表に出していないとも考えられますが~とにかく有益になる情報はこれぐらいです~目撃情報は数少ないので聞ける情報があまりありませんでした~」

今回の"マリー"の性格上、"マリー"が見つけてしまうとほぼ確実に逃がさずに殺されてしまう。そのため遠目でみた人の情報しか無いためかなり著しくなっていた。


「いえ、少ないとは言えその貴重な情報は大切です。照らし合わせてみても好戦的な"マリー"です、すぐにでも討伐しないといけません!」時間が経てば経つほどその"マリー"は被害を拡大させるに違いない。スイレンは一刻も早く討伐赴こうとしていた。


「スイレン、焦っても仕方ないよ。私達三人だけでどうにか出来る相手じゃないんだから、人手が増えるのを待ってその間に作戦を完成させないと」超大型"マリー"の危険度は他の"マリー"に比べれば遥かに高い。腕の経つ"リンドウ"が一人や二人いた所で討伐出来る可能性は極めて低い。規格外の実力を持つ"リンドウ"がいれば別だが。


「そ、そうですね。皆さんの力が無ければ討伐は出来ません。すみません私一人が暴走してしまい…」「いやいやその気持ちは大切。皆を守りたい欲は全面的に押し出していかないとね」正義感溢れるスイレンの気持ちを理解していたディーナ。


「それではわたくしはもう一度目撃者を探してきますね~何か分かり次第戻ってくるので~」二人に手を振ってシスイは部屋を後にした。


二人になったディーナとスイレンはシスイについて考えていた。「シスイさんはヴァレアさんが見込んだ人とは聞いていますが今のところ相応な実力を持つとは思えません。"マリー"との戦闘を見ていないので何とも言えませんが、ディーナさんはどう思いますか?」

スイレンは未だに分かっていなかった。ヴァレアから見込まれると言うのは実力や人柄等が揃っていなければ認められない。


だがシスイに関しては実力は未知数でもお人好しで穏やか、とてもスイレンの目には"リンドウ"の実力者ではないと思っていた。ましてやシスイは自らの口から有名ではないと言っていた。ヴァレアから見込まれているのなら"リンドウ"の中でも名を知られてもおかしくないのではないかと、スイレンは疑問を持っていた。


ディーナはスイレンの質問に対して少し考えた後に「……そうね、シスイは多分ありのままの自分でいたいだけ。変に違う姿をさらけ出したくないだけじゃないかな」


「それはいったい、シスイさんの素と言うことですか?」ディーナの言った意味が分からなかったスイレンは再度意味を聞くと「私もシスイと会ってから数時間だからね。ただの妄言だって思ってくれて大丈夫よ」まだ分からない素性の人に対してこれ以上言うことは無かったディーナ。


「ディーナさんがそう言うのなら私も何も言えません。私はシスイさんとは面識がなかったもので分からないことがあるのも当然ですね」憶測でしかなかったシスイのことについて少し反省するスイレン。


「まぁこれから分かっていけばいいし、同じ"リンドウ"同士なら依頼も一緒になることもあるから、のんびりと分かっていきましょ」「そうですね、人を知るのには時間はかかりますから」


「今頃シスイは情報収集でタイムちゃんは協力体制を組んで同盟を結ぶために交渉に行ってるのよね」「その手筈ですね、初めての同盟国がまさかあの大国ですからタイムさんもかなり緊張していると思います。上手く行けば良いのですが」

「大丈夫よ。タイムちゃんはしっかりしてる子だから、ルムロの殿下様も初対面じゃちょっと怖いかもしれないけど打ち解けれたら心遣いからね」


「えっ、ディーナさんルムロの殿下と知り合いなのですか?」「ヴァレアに止められ…まぁいっかスイレンだし。私とネルルは……」


----------


同時刻、大国ルムロの王室。玉座に座り王冠を指先でクルクルと回して足を組むネルルのもう一つの側面。右には後ろに腕を組むケイの姿も。


そしてネルルの目の前にいるのは大国ルムロに比べると小さな国エニーの長、タイムが立っていた。


世界の権力者の頂点に立つとも言われるネルルを目の前に緊張を隠せずにガチガチになり震えているタイムを目にしたネルルはため息をついて「はぁ、少しは落ち着け。貴殿の事は元よりヴァレアから伺っておる、この大国の近くに拠点を置く国エニーの長であろう。同じく国を持つ者同士で仲良くしようではないか。私は貴殿を歓迎するぞ」


緊張をほぐそうとネルルの殿下としての振る舞いを見せるとタイムは「えっ…あ、あの、えっと、あ、ありがとう、ございます。た、タイム・ヨモギです。こ、こここの度は、か、会談の、ご予定を組んで、いただいて…あの…この後、なんて言えば……」

事前に話す内容や言葉を決めていたタイムであったがネルルから話しかけられたことにより頭が真っ白になり話す言葉を忘れてしまい焦ってしまい動揺してしまった。


あたふたして上手く言葉をまとめられないタイムを見ていたネルルは突然笑い始めて「クククッ、そこまで私を見て萎縮する者は貴殿が初めてだ。面白いのぉ、私がそこまで偉大に見えておるのか?」「も、もももちろんです。私、なんて人が、クラウン様の透き通るような目に、入れられてるのは、幸運以外ありません、ので」


ネルルの目に留まるのは並大抵では起こりえないことでもある。王集会議で集まるのは世界の権力者達、会談を行うのも世界でも名のある国の王達である。そんな中にまだ復旧の最中でもある小さな国の長がネルルと目を合わせて話すのは前代未聞の事である。


萎縮して上手く話せていないタイムだがネルルは発言を気にした。「貴殿、私の目を見て話すのだな」透き通る目と言う言葉にネルルは会ってから今までタイムが目を逸らさずに目を合わせていることに気がついた。


「も、もちろんです。クラウン様がお時間を、取っていただいて、いるのですから。わ、私も失礼があっては、なりませんので」ずっと緊張しているタイムだが一度も俯かずに真っ直ぐネルルを見つめていた。


「私と話をする相手は私と対等に話を進めようとする者が多いが大抵は私と目を合わせずに話を進める馬鹿が多い。そんな奴らと同盟を組むなどもってのほかだ。立場を考えろと言う話だ。

しかし、貴殿は臆してはいるが私から目を背けようとはしなかった。私の高貴なる目を透き通る目と言った、それだけ私を見ていると言うことだ」


「クラウン様?」「気に入ったぞ。私に頼みがあるのだろう、申してみよ」タイムを気に入ったネルルはタイムの申し出を聞くことに。


「は、はい!えっと…」「上手く話せぬのなら一度深呼吸をしてみよ、心が休まるぞ」ネルルの言う通りタイムは息を吸って吐いてを二回行い

「こ、今回は大国ルムロとの同盟を組むためにここにきました!ルムロとは勢力も規模も何もかも劣っているのはエニーの長として承知の上、しかし今エニーやルムロが危機に見舞わられているのは変えようがない事実です。

協力等というおこがましい事は言えません、ですが私の国の力がルムロの少しでも加担になればと思います!何卒お考えをお願いします!!」


めいいっぱいの言葉で頭を下げたタイム。同盟の理由を聞いたネルルは表情を一切に変えずに目線を下に向けるとタイム。「我が国には利がないと見えるが貴殿はそこをどうするつもりだ?」「私達はもっと強くなります。ルムロの危機にはすぐさま加勢に行きます。力をつけるためには少々お時間が必要ですが…」

エニーにとってはルムロとの同盟は願って叶う程の事ではあるが逆の立場になった時にルムロはエニーと同盟を結ぶメリットはほとんど存在していない。何もかもがエニーよりも勝っているからだ。


言葉を濁らせるタイムだったがネルルは「面を上げよタイム」と言った。顔を上げてネルルを真っ直ぐに見たタイム。


「貴殿に一つ質問だ」「えっ」「貴殿は国を、人々をどう思っている?」ネルルの一つの質問にタイムは考える暇もなく即答で「私の生涯をかけて守る、愛する国と国民です!」

母を失ったネルルはこれ以上の犠牲や悲しみを生み出さないためにも人生を使ってでも守ると心に決めていた。


紛うことなき本音にネルルは笑い始めた「フフフッ」「な、何がそこまで…」「良かろう。ケイ、契約書を持ってこい。貴殿の国と同盟を結んでやろう」


突然の承諾にタイムは困惑していた。「ど、どうして、ですか?ルムロにとっては、私達の国はとても利益になるようなことは…」「そんなことはどうでも良い。貴殿の気持ちに嘘偽りがないのは先の言葉で分かった。試すような真似をしてすまんな、私も一国の王女、見極めは必要でな。貴殿は中々に見所がある、今の内に同盟を結び友好関係を築いた方が我が国にとってこれ以上にない利になるだろう」


ネルルの言い分をタイムとケイも聞いていると会釈してケイは小走りで部屋から出ていった。「そのような、不確定な事で同盟を結んでも良いので?」まだ戸惑いを見せるタイム。


「先見の明と言う言葉もある。安心せよ貴殿の国が"マリー"によって重症を負っているのを知っておる、ルムロの支持があれば早急に立て直す事も可能であろう。ルムロと同盟を組むのだ、私の期待を裏切らないで欲しい。お互いに有益なる関係を築こうではないか」


タイムはネルルの噂程度ではあるが聞いていた話とはかなりかけ離れた人物像に驚いていた。傲慢で強欲、高飛車な性格で自分を絶対とする悪女。世間一般ではそういった噂が流れているが実際は確かに傲慢な部分はあるが人を想う気持ちや他人の思いやり、タイムの言葉にもしっかりと耳を傾ける、大国を仕切る王女の姿がタイムの目には映っていた。


「タイム様、こちらに署名を。お名前を書いていただけると正式にルムロとの同盟が完了致します」ケイが契約書を持ち戻って来ると契約書とペンをタイムに渡した。


「我が国との同盟は他国に知られると中々にプレッシャーにもなる。我が国を妬み恨む不届き者をいる、そのような国とも友好的な関係は築けんがそれでも良いのか?」大国ならではの悩みや敵対関係、それを考慮して考える時間を与えたネルルだがタイムは目を閉じて覚悟を決めて目を開けると同時に契約書に自分の名前とエニーの名を書いた。


「私達の国の初めての同盟相手が、大国ルムロです。私達もルムロの名に恥をかかないように精一杯努力します!」


覚悟を決めて契約書に書いたタイムにネルルは笑い始めて「フフフッ、貴殿よ私の前に来るがよい。私が許可する」


不思議そうな顔をするタイムは契約書を隣にいるケイに渡してケイに一礼した。タイムは恐る恐るネルルの目の前まで歩を進めると、それまで王冠をクルクルと回していたネルルは王冠を頭に乗せて手を差し出した。


「同盟相手として、王女として、貴殿を迎え入れよう。これからもよろしく頼むぞ、タイムよ」差し出した手をタイムは両手でギュッと握り「は、はい!よろしくお願いします!!」固い握手を交わしルムロとエニーは正式に同盟を結んだ。


同盟が結ばれた事で一安心して緊張が解かれたのか、タイムは自分の意図せずにその場に座り込んでしまった。


「あ、あれ?私…」「余程緊張しておったのだろう。別室で休んでおれ、同盟相手なのだ誰も咎めはせぬ」「す、すいません」自力で立ち上がろうと地面に手を当てて震える膝を振り絞って立ち上がったタイムだがまだ力が入らないのか倒れようとした時、一本の氷の剣が頭上からタイムの隣に落ちてくるとどこからともなくヴァレアが瞬時に現れてタイムの肩を支えた。


「話は纏まったようだな」突如現れたヴァレアに戸惑うタイム。「ヴァ、ヴァレアさん?どこから…って本当に姿を見えなかったのですが、私が疲れているのでしょうか…」疲労のせいでヴァレアが見えていなかったと自分に言い聞かせるタイム。


「いやタイムよ、ヴァレアは自らの属性を操りここに移動したのだ。それも一瞬でな」ネルルはよく見る光景なのか落ち着いた様子でタイムに教えた。「私の幻覚ではなかったのですね。凄いです、ヴァレアさんのお力と言うのは」改めて"最強のリンドウ"の力を再確認したタイム。


「そんなことより同盟を組んだのだろう。今の現状を共有して国同士での連携を整える時間だ。猶予はある、落ち着いて各兵士に適正箇所を与えるんだ」「同盟を結んだのも分かってたのですか!?」

「いや、話が終わるまでは部屋の前で待っていた。話し声も聞こえていたからな、大体の事は分かった」


「貴殿の方はどうだった?"リンドウ"をあらかた集めたのか?」ヴァレアは言葉通り行動を起こしており今回の"リンドウ"討滅戦に協力する"リンドウ"を集めていた。


「リュウサで募集をかけていたが思ったほど集った。あの数の"リンドウ"であれば指揮にもよるが何とか対抗は出来るだろう」討滅の証には"リンドウ"協会から多額の報酬金が受け取れることを条件に集まった"リンドウ"の数はヴァレアが想定している以上だった。


「それでは、私達も開戦までの準備をしておこう。兵の鍛錬や指揮は貴殿に任せるぞ、ケイ」「御意、必ずお守り致します」

「タイム、疲れているところ悪いがエニーの精鋭部隊をルムロ集結させてくれ」「は、はい!ですがどうして」

「少ない時間ではあるが私自らが兵の訓練の指揮を執る。以前にも私が教えたのだ、ある程度の慣れもあるだろう。

乗り越えるぞ、これ以上の犠牲を出さないためにもな」


国同士の同盟も上手く行き、いよいよ超大型"マリー"討滅戦の本格的な準備が進められることになった。

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