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バズりは突然に。


……マジか。


俺は思わず固まってしまう。


「おや、知っているのかい?」


「え?」


「そのリアクションはどう見てもそうだろう」


知ってるも何も、hi7*は俺のネット活動用の名義だ。


高校の時からずっと1人で作曲を勉強していた俺は、ある時、会心の出来の曲を作ることができた。


しかし、高校に軽音楽部はなく、ど田舎に住んでいたこともあり、バンドメンバーを集めることができなかった。曲のアレンジに限界を感じていた時、DTMというものがあることを知る。


DTMというのは、簡単に言うとパソコンで作曲すること。バンド仲間がいなくても、ギターやドラム、あらゆる楽器をパソコン上で打ち込むことができるのが魅力だ。


ぼっちの俺はそこからDTMにのめり込み、約半年の期間をかけてその曲を完成させた。完成し、爆上がりしたテンションのまま、その曲を動画サイトに投稿。すると、1週間も経たずに10万再生を突破。


いわゆるバズる、というやつだ。


きっかけは、とある有名な歌い手がその曲をカバーしてくれたことだ。たまたま目に留まったのか、俺のSNS宛にメッセージが飛んできた。


『めっちゃいい曲ですね!カバーさせてもらってもいいですか?(^∇^)』


俺はもちろんその提案を快諾。すぐにオフボーカルの音源を送った。


すると翌日には、カバーされた曲がアップロードされた。その時、俺はこの人が有名な歌い手であることを知る。


それから、何人もの歌い手にカバーされ、さらには今流行りのVtuberからもカバーの依頼が殺到。


今では2000万回再生と、ネットの住人なら誰しもが知る曲となってしまった。


しかし、まさかそこまでになるとは思っていなかった俺は、次の曲を待つファンたちの期待がプレッシャーとなり、それから一曲も作れていない。いわゆるスランプというやつだ。



──とまぁ、俺の自己紹介はこれぐらいにして、今は目の前の月島先輩だ。


「知ってます知ってます!いまめっちゃバズってますよね!」


それ、俺なんです!とは言わずに誤魔化すことにした。俺は平穏な大学生活を送りたい。もし俺の正体がバレたら、めんどくさいことになりそうだし。


まさか、俺がそのhi7*だとは思っていない先輩は、俺の曲の好きなところを挙げ出した。やばい、めっちゃ嬉しい。……けど少し恥ずかしい……。


「おっと、もう到着か。日向くん、それじゃあまた」


気づけば大学に到着していた。ぼんやりと歩いていたので全く気づかなかった。


「あ、はい。ありがとうございました」


お礼を言うと、こっちに手を振りながら月島先輩は構内へ颯爽と歩いて行った。去り際までもが美しいとは。


「さて、俺も行かないと」


周りを見ると、恐らく新入生と思われるスーツの集団が目に入る。あの集団について行けば、入学式の会場まで行けそうだ。


眠気を覚ますため、バシッと顔を叩く。入学式が終わったらすぐ帰って寝よう……。


そう心に決め、俺は入学式の会場へ向かう。





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