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デウス・ウルト   作者: 妖怪はらへった
プロローグ
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プロローグ

 誰かがこう言った。



 曰く、「世界とは主観」である。


 曰く、「世界とは多面的」である。


 曰く、「世界とは変則的」である。


 曰く、「世界とは不定形」である。



 唯一無二で、ありふれていて、無限に存在し、一つである。



 理想(セカイ)とは何だ?現実(セカイ)とは何だ?創造(セカイ)とは何だ?



「オマエ」の「セカイ」とは何だ?



「ナニ」を望み、「ナニ」を願い、「ナニ」を請う。



 これは「オマエ」たちの創る「セカイ」だ。















「・・・おや、失礼本に夢中になっておりました」


 アンティーク調のイスに座っていた男がこちらを見て立ち上がる。


「ようこそおいでなさいました、私の名前はクラウン、案内人でございます」


 品のよい敬礼をしクラウンと名乗る男は銀縁のメガネをかけ直す。


「ココにいらっしゃったということは卵をお持ちなのですね」


 ふと右手を見ると半透明の卵のようなものを持っていた。


「それは可能性に溢れた未来であり、過去の栄光であり、誰も知らない虚像にもなる、『アナタ』だけの『セカイ』の殻でございます」


 クラウンは手に持っている本を片手でもって見せる。


「では質問です。私がこの手を開くと本はどうなりますでしょうか?・・・落下するに決まっている?」


 そう言うなり彼は手を開いた。

 支えるものを失った本は・・・


「落ちませんでしたね」


 胸の高さから放された本は腰の位置に浮いていた。


「当たり前の質問をされてこう思いませんでしたか『普通に考えたら落ちるけど、こう聞くなら浮いたりするのかな?』と」


 クラウンは本に右手をかざすと指を鳴らす。

 すると、本がクラウンの周りを円を描きながら胸の位置に戻ると、パラパラと音をたてて開く。


「簡単に申し上げると『セカイ』とはこのようなものなのです。望むものが多ければ多いほど、否定するものが多ければ多いほど、世界が確立されていく、今のは『本が浮く』という想像が多かった結果となります」


 クラウンはもう一度指を鳴らす。

 開かれた本が目の前までゆっくりと飛んできた。


「さぁ、ここからは『アナタ』の『セカイ』の話をしましょう。『ナニ』を望み、『ナニ』を願い、『ナニ』を請いますか?」


 何も書かれていなかったページに文字が浮かび上がっていく。


「世界とは意識の集合体、ただひとつの存在もひとつでは存在できない。意思ある存在に認識されて初めてこの世界に生まれ落ちる」


 文字が眩く輝き白く染め上げる。


「望むがまま自由に、それとも閉塞的に?『アナタ』の思いを形にしましょう」


 光りに包まれていると、だんだん意識が遠のいていく。






「それではまた、どこかでお会いいたしましょう」

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