天の五月雨
天使と人間が存在する世界。
エルシアは、天界で最も優秀な天使の一人である「神」を父親として誕生した。
周囲からの自分に対する期待に応えるため、天界で名高い名門校「聖天使学院」へ入学する。そして学院内で良い成績を取り、入ることが難しいとされている「幸学部」へと就く。
幸学部とは、人間や天使へ幸運を与える事が仕事の学部だ。
だが進学後、優秀な天使が集まった幸学部内での立場は良いものとは言えなかった。周りの期待を裏切らぬため、幸学部内で人一倍仕事をこなし続けるエルシア。
それでも努力は報われず、精神が疲弊しきっていたところに人間の少年「未世 哀翔」(みせ あいと)と出会う。彼との出会いがエルシアの仕事に対する認識を好転させた。ただ成果を上げるためだけの道具であった仕事がやりがいを感じ始め、これまで生きた数百年の中でも特に充実した日々を送っていた。
しかし幸せな日々は長くは続かず、ある日エルシアが仕事で与えた幸運によって、福引きで家族温泉旅行を当てた未世家。当然喜び、連休前に家を出て旅館へ向かったがその帰り道で事故に遭う。哀翔は何とか一命を取り留めるも、一緒に車に乗っていた母と父を亡くしてしまう。
一方未世家の三人を家の前で待っていたエルシアは、その話を聞き絶望する。人間界で最も長く、共に時間を過ごした人達が帰らぬ人となってしまったのだ。
その後エルシアは未世家の中でただ一人の帰りを待ち続けるも、帰ってきたのは見る影の無い哀翔だった。病院から未世家まで哀翔を連れて帰った叔母は仕事で忙しく、哀翔を家に入れるなりすぐにどこかへ出かけてしまう。暗い家の中を孤独に進み、自分の部屋へ戻った哀翔の弱りきった姿にエルシアは呼吸を乱した。人間には天使の姿は見えない、それでもエルシアは哀翔の傍に居続ける。すると突然哀翔が立ち上がり、二階のベランダから飛び降りようとした。驚愕したエルシアはとっさに幸学部の力を勝手に使ってしまい、哀翔は幸運によって怪我無く済んだのだが…。
それからも哀翔が自殺行為をする度、エルシアは規則を破り幸運を与え続ける。重大な規則違反をしていると自覚をしているものの、哀翔を死なせたくはない。そんな現状に苦悩しているエルシアが天界の街を歩いていると、どんな夢でも叶うという「幻の薬屋」への道が記された看板を見つける。そしてこれが運命を変えることになる。
カクヨムにも掲載
エルシアは、天界で最も優秀な天使の一人である「神」を父親として誕生した。
周囲からの自分に対する期待に応えるため、天界で名高い名門校「聖天使学院」へ入学する。そして学院内で良い成績を取り、入ることが難しいとされている「幸学部」へと就く。
幸学部とは、人間や天使へ幸運を与える事が仕事の学部だ。
だが進学後、優秀な天使が集まった幸学部内での立場は良いものとは言えなかった。周りの期待を裏切らぬため、幸学部内で人一倍仕事をこなし続けるエルシア。
それでも努力は報われず、精神が疲弊しきっていたところに人間の少年「未世 哀翔」(みせ あいと)と出会う。彼との出会いがエルシアの仕事に対する認識を好転させた。ただ成果を上げるためだけの道具であった仕事がやりがいを感じ始め、これまで生きた数百年の中でも特に充実した日々を送っていた。
しかし幸せな日々は長くは続かず、ある日エルシアが仕事で与えた幸運によって、福引きで家族温泉旅行を当てた未世家。当然喜び、連休前に家を出て旅館へ向かったがその帰り道で事故に遭う。哀翔は何とか一命を取り留めるも、一緒に車に乗っていた母と父を亡くしてしまう。
一方未世家の三人を家の前で待っていたエルシアは、その話を聞き絶望する。人間界で最も長く、共に時間を過ごした人達が帰らぬ人となってしまったのだ。
その後エルシアは未世家の中でただ一人の帰りを待ち続けるも、帰ってきたのは見る影の無い哀翔だった。病院から未世家まで哀翔を連れて帰った叔母は仕事で忙しく、哀翔を家に入れるなりすぐにどこかへ出かけてしまう。暗い家の中を孤独に進み、自分の部屋へ戻った哀翔の弱りきった姿にエルシアは呼吸を乱した。人間には天使の姿は見えない、それでもエルシアは哀翔の傍に居続ける。すると突然哀翔が立ち上がり、二階のベランダから飛び降りようとした。驚愕したエルシアはとっさに幸学部の力を勝手に使ってしまい、哀翔は幸運によって怪我無く済んだのだが…。
それからも哀翔が自殺行為をする度、エルシアは規則を破り幸運を与え続ける。重大な規則違反をしていると自覚をしているものの、哀翔を死なせたくはない。そんな現状に苦悩しているエルシアが天界の街を歩いていると、どんな夢でも叶うという「幻の薬屋」への道が記された看板を見つける。そしてこれが運命を変えることになる。
カクヨムにも掲載