あの手。
「バイバイ」
そう降る手。 さようなら。
「ありがとう」
重なる手のひら。 頭を垂れて感謝。
「またね」
ぶんぶん忙しない。 また会える期待。
「~~~~~」
なんだろう。 分からない。
夥しい手のひら。 ゆらゆらと。
目を凝らしても、検討がつかない。
気のせいだったのだろう。
暗闇から見えたあの酷い応援は。
「見てるよ」
いつも。
じっとりしていた。
その手のひらは、朱く染まる。
瞬間、ふうっと意識が飛んだ。
握りしめていたのは、割れたカップ。
血塗れの、ベッド。