第二話
「ったく最近の人間どもは......なにをしておんるじゃ!」
「盗みを働くわ、ニートは多いわ、神への信仰はないわで......頭ん中お花畑か!」
僕はさっきから独り言世界大会を開催している白髪の老人の前にいた。
どうしてこんなことになったのか?それは少し前にさかのぼる。
気がつくと僕は真っ白な世界にいた。
手足の感覚はなく、動かせるのは首と目と口のみ。
なにか変なことををするとこの世界が消えてしまいそうで、そのままの態勢を変えずに居ることにした。
そのまま何時間たっただろう。とにかく暇だった。ここが何処なのかという手がかりは一切なく、考えてもわからないことを悟った僕は、人間として生きていたときにあった暇潰し方法はほぼ全て行った。羊を数える―1万匹到達したところで、脳が破壊されそうでやめた―や、素数を数える―義務教育終了していない身には不可能に近い―などだ。
しかしいつまでたってもなにも起こらず、考えることもなくなった時。突然この老人が現れ、近くに座るとでかい声で喚き始めたのだ。
「これは先代?いや先々代の神のやったノアの方舟の物語みたいな感じでやらないといかんな......そう思うだろう?そこの人間」
「ふぇ?...あ、はい..」
いきなり話をふられ、なにも聞いていなかった僕は、取り敢えず返事をする。
「そうかそうか、やはり君もそう思うか...」
「て言うか貴方誰なんですか?」
「ほう...神に対してそう言う口をきくか...いい度胸だ...」
えと、僕あんま学校行ってないから、こういう人ってどう対応したらいいのかよくわかんないんだが......笑って流すべきなのか?それとも真面目に追及するべきなのか?いや、真面目に追及したら可哀想だな......だとしたら......
「おい、今可哀想な奴とか思っただろう!」
「あ、はい」
「我は神だぞ?創造主だぞ?そこら辺の俺さいきょーとか言ってる輩とは違うんだ!」
ヤバイ......この人こそ頭お花畑なんj...
「誰が頭お花畑だ!こいつと話しているとらちが明かないな。おいお前、なにかここに出して欲しいものはあるか?何でも出してやる。」
「え、えぇ...」
て言うか何でこの人さっきから僕が思ってること逐一当ててくるんだよ...
「じゃ、じゃあ象で...」
「わかったぞ」
神を名乗る白髪の老人がパチンと指をならすと、白い空間に象が現れた。
「............」
え?マジ?これマジもんのやつ?
「どうだ、これでわかったか?さっきからお花畑だの可哀想な奴だの失礼なこと言いおって......」
どうやら本物らしい。
「す、すいませんでした!」
僕が必死で謝ると、
「まあ、いい。それよりも、お前、やるって言ったからな?」
「え?いや、なにをですか?」
「なにをとぼけておる。地球の文化や歴史を消滅させるのじゃ」
「は?..................はぁぁぁぁぁぁ?」