表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

魔女と呪われたもふもふ王子(いわゆる「美女と野獣」のハッピーエンド)

作者: PYON48

 王子と対峙する老婆の姿が変わってく。

 ホームレスのような風貌が青いローブをまとった魔法使いになる。

 その身にまとう宝石は彼女が高位の魔女であることを示している。


「仕方のないやつだね。

 最後に与えたチャンスも棒にふるなんてね。

 ここまでのクズだとは思わなかったよ」

 蔑むように王子を睨む魔女。

 それに王子は言葉も出ない。


「この哀れな老婆にパンひとつ恵むことができないなんてね。

 本当におまえは人間のクズだよ。

 獣にでもなっておしまい」


 魔女が杖を振ると、王子は黒いもふもふの毛に包まれる。

 そして、人間の身体から獣の身体に変化していく。

 王子は2本足で立てなくなり、四つんばいになる。

 そう、王子は大きな黒ネコにされてしまったのだ。


「この姿がお前にはお似合いだよ」

 魔女は高らかに笑う。


 王子は大きな翡翠の目で魔女を見上げる。


「この姿で一生過ごすがいいさ…」


 王子は前足の肉球を舐めて顔を擦る。


「と、いいたいところだが…

 やっぱわたしも甘いよね。

 おまえにチャンスをやろう」


 王子は後ろ足をあげて足の付け根を舐める。


「おまえに人の心がわかるようになったら、呪いは解けるようにしてあげるよ。

 よくお聞き、真実の愛、それがわかったらおまえは王子に戻ることができる。

 そうお前が人を愛し、人に愛されるようになったら、元の王子にもどしてやろう」


 王子は魔女の前で虫を追いかけていた。


「わかったか。

 いままでの自分を見つめ直すがいい!」

 

 王子は、魔女の横をすり抜けて、城の外に駆け出すのだった。

 地面に背中を擦りつけ、草の匂いを嗅ぎ、蝶を追いかける。

 王子にとって生まれて初めての自由であった。

 

 王子は幼い頃から寝るまもなく帝王学を叩き込まれてきた。

 武術でも学業でも常に人より上を行かなければならない。

 そんな生活は王子のこころを蝕んでいったのだ。

 だんだん王子の顔から微笑みは消えていった。

 冷酷で人を人とも思わない王子はこうして造られたのだった。 


 人間に戻る?

 そんなことまっぴらごめんだよ。

 せっかくの自由をてにいれたんだからね。


 そう言うように、目の前の黒いもふもふは身体を大きく伸ばしてあくびをし、一度魔女を振り返っては草むらの中に消えていくのだった。

 

★これからもいろいろな猫ちゃんのお話をどんどん書いていこうと思っています。

まだ未熟ですが、猫ちゃん小説好きのかた、応援していただけるかたがいれば下の☆☆☆☆☆から評価や、ブクマなどお願いします。

それがなによりも作者の励みとなりますのでよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ