Page7.アークダイドリーム(裏)
僕が賭けたラビリケツ、ウッサギ、ババニーを見ると、仕上がりも体調もいまいちだったので、全員の体調と仕上がりを完璧になるように書き換えた。
まずはこれで様子を見よう。
レースがスタートした。
うわ!!ラビキングがめちゃくちゃ早い。あのホーンラビットだけ他の兎とは格が違うぞ。よくあるユニークモンスターと言われてもいいくらいだ。ジャックラビとウサクイーンも付いて行ってるけど、滲み出る余裕が違う。他の兎は後方でグループとなってレースは進行していく。
現在、ウッサギ六番手、ラビリケツ七番手、九番手ババニーと、僕の賭けた三匹は軒並み低順位をキープしている。
うーむ。
仕上がりも体調も万全にしたけど、まだ足りないのか。序盤だから抑え気味なのか、ちょっと分からないなぁ。テコ入れしておくか。
身体能力が軒並みEだったので、三匹の能力をDに書き換えた。すると、じわじわと追い上げていくようになる。やっぱりこの三匹の地力が低すぎると確信した。身体能力あげた途端に徐々に縮まっていく差。しかし、レースはそれほど長くはない。すでに第三コーナーに差し掛かり、全兎が外側へ広がりながら前方へと集まりだしている。
四番手ラビリケツ、五番手ババニー、六番手ウッサギと追い上げているものの。依然としてラビキングを先頭としてジャックラビとウサクイーンの優位は変わらない。第三コーナーが終わり最終コーナーに差し掛かると、ウサクイーンが勝負を仕掛け、ジャックラビも追従した。
ラビキングに迫る二頭。
このままじゃ不味い。
僕は三頭のHPとMPとSP全回復させた。
三頭が思った通りにラビキング、ジャックラビ、ウサクイーンを追い上げる。グイグイ迫る距離。
しかしまだ足りなかった。
だから僕はラビキング、ジャックラビ、ウサクイーンのSPを0に書き換えた。ジャックラビとウサクイーンは面白いように失速していく。しかしラビキングは体力がないのも気にせずに命を使って走っていた。
これが王者の執念。凄まじい。僕はここから王者を攻める。
下痢。
腹痛。
頭痛。
風邪。
順々に状態異常を追加していくがまだ落ちない。
チッ。このままじゃラビキングが一着になってしまう。
僕はラビリケツ、ババニー、ウッサギのSPが減らないように編集し続けた。残るはラビキング一匹。三匹はグイグイ迫るも、このままじゃ逃げ切られてしまう。図鑑ポイントも残り少なくて無茶な編集はできない。
僕はここで禁断の技を使った。
ラビキングの身体能力をワンランク下げた。ラビキングが培ってきたものを奪ったのである。ラビキング身体能力はホーンラビットとしては破格のCを誇っていたのだ。通常はEランク程度Cランクはありえない。すると、僕の図鑑ポイントにおかしなことが起こった。図鑑ポイントが十ポイント増えたのだ。僕は気にせず、さらなる追い打ちをかける。
高熱
眩暈
貧血
吐き気
酔い
ここまでやってようやくラビキングは失速した。ラビキングの底力をまざまざ見せつけられた瞬間だった。残り二十メートルというところで、ラビリケツ、ウッサギ、ババニーがラビキングを追い抜き、そのままの順位でレースの幕を閉じた。
ラビキング……神聖な戦いの場を汚してすまない。
言い訳はしない。後でステータスは元に戻しておくよ。
僕は換金して会場から立ち去った。