表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/47

Page6.アークダイドリーム

 一攫千金を夢見る場所、それは!!


















 ギャンブル!!












 あ、失笑極まりないって感じだよね。分かります。


 でもしょうがないじゃない。これ以外思いつかなかったんだから。


 僕はとあるギャンブルが行われている会場に足を踏み入れた。


「レディースアンドジェンルメーン!!今日のラストレースが間も無く開催されます。しかもレース最高峰のL1『ウサビー』。注目度や掛け金はうなぎ登だぁ!!」

『うぉぉおおおおおお!!』


 観客の怒号で会場が揺れる。熱気はそれほどまでに高まっていた。


 そう


 ここはホーンラビットレースの会場。


 ホーンラビットレースとは競馬のホーンラビット版。コースも体格に合わせて小さくなっている。


 観客席は人で溢れ、今か今かと、目を爛々と輝かせていた。


 誰もが気まぐれに大穴を狙ってとんでもない金額を得る夢を見ては敗れていく、敗者と勝者が明確に分かれる弱肉強食の世界。


 かけるのは、全財産。


 パドックを見た後、僕は最下位人気から順に三番目までで兎券を買った。


 人気最下位 ラビリケツ

 人気下二位 ウッサギ

 人気下三位 ババニー


 この三匹が一位から三位まで独占していれば、それぞれの着順は問わないという兎券をかった。


 もし当たった場合、派遣員ギルドの銀行に預けられる。現金で渡されても高額な金貨を持ち歩くのは怖すぎるからね。


「し・か・も、今回はあの殿堂入り間違いなしの名兎、ラビキングが参戦している。ラビキングが人気の通りに勝つのか?それとも他の兎が下克上を果たすか!?目が離せない展開になりそうだぜぇ!!」

『うぉぉおおおおおお!!』


 兎券を買ってる間もMCは続く。よく通る声で自身の感情も盛り上がってる様は、観客の気持ちも否応なしに盛り立てる。


 キングには悪いけど、今日は譲れない。


 パーララツッバララッパーララ……。


 各兎がゲートに着いた後、トランペットで終末を伝えるかのように、高らかなメロディが奏でられる。













 ―ゴクリッ














 誰もスタートに息を呑み、喉を鳴らした。


 その瞬間世界の時が止まる。音が消える。たった数秒が、まるで1日のように長く感じられる。



 ―ガコンッ



 スタートゲートが開くとともに時が動き出した。


「いまスタートを切りました。ラビットレースの帝王ラビキングが高スタートをきりました!!やはりラビキング!!後続に二兎身の差をつけ先頭を走ります。その後追うのは、ウサクイーンにジャックラビ。その後ろ少し空いて、ラビッツ、ウサキチが続きます。バニッシュ、ババニー、ラビリー、ラビリケツ、ウッサギは後方。」


 それぞれが別の色のベストとゼッケンを付けてひた走る。競馬と違ってジョッキーはいない。


「第一コーナーに差し掛かかりましたが、依然先頭はラビキング、序盤から果敢に攻めていきます。今回はこのまま走りきることが出るのか。おっと、ウサクイーンとジャックラビも追い上げていくぅ!!」


 僕が掛けた兎達は完全に後方、ラビキングが強すぎる。それに続いてウサクイーンとジャックラビもかなり強い。


 しかし、そんな簡単には終わらせない。


「おっと、ここで後方から追い上げていく兎達がいる。ラビリケツ、ババニー、ウッサギだぁ!!外側からジワジワと、ジワジワと追いついて行ってるぞぉ!!急にどうしたのかぁ!!心なしか、三匹の体に力が漲ってみえるぞぉ!!」


 急に元気になった三匹が先頭の三匹の後を追う。


「しかぁし!!他の兎も負けてません!!負けじと先頭との差を詰めていきます。先頭は変わらずラビキング、その後ろをジャックラビとウサクイーン。僅差でラビリケツとババニーとウッサギが続きます。ウサクイーンは悲願のウサビー制覇に向けて現在三番手の位置にいます。」


 レースは中盤、依然としてトップはラビキング、何という強さか。覇気が違う。帝王というのも頷ける。


 現在はまとまって白い雲のように進行している。第三コーナーを曲がり、最終コーナーへと差し掛かる。


「あぁぁ~っと!!全兎攻めます!!ラビキング速い!!依然先頭!!少し外からウサクイーン!!その後ろをジャックラビが猛追しているぅ!!」


 最終コーナーに差し掛かり、実況が燃え上がる。

 いっけぇ!!ラビリケツ、ウッサギ、ババニー!!


「残り二百メートル大外から、ラビリケツ、ウッサギ、ババニーも上がってくる。今日はどうした!?どうした!?ものすごい絶好調だあ!!」


 この三匹は普段どれだけ弱いんだろう。


「残り百メートル!!ラビキング落ちない、落ちない!!あぁぁっとここでジャックラビ失速!!ウサクイーンも伸びない!!ラビキング依然先頭、ここでラビリケツ、ウッサギ、ババニーが迫る!!伸びる!!伸びる!!あぁー!!ついにラビキング失速!!粘れるか!?」


 ラビキングめ!!凄まじい執念だ。

 しかし、それももはやこれまで。


「うわぁ!!大波乱!!ゴール二十メートル手前!!ラビリケツ、ウッサギ、ババニーが差した、差した、差したぁぁぁあ!!」


 ひゃっほーー!!キタキタキタぁ!!

 ヒーラリヒラヒラヒヒラヒラー、じゃないよ!!


「そのままゴールイン!!ラビットレース史上最大の大番狂わせ!!ウサビーを制したのはラビリケツ。ラビリケツです!!最大級の下克上となりました!!ニ着ウッサギ、三着ババニー。で決まりました。」


 素直には喜べないけど、大穴。

 人気最下位からの順番だから最低人気。これはおそらく史上最大の払い戻し金額なるだろうな。


 観客席からは兎券の吹雪と慟哭がいつまでも止まなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ