Page46.買い物×暴走×奴隷
予約忘れてました。
気づけば50ポイントくらい増えててびっくりしました。
ありがとうございます!!
感謝の更新。
翌日。
僕達は朝からリムの身の回りの物を買いに出かけた。
「これも似合うわね。」
「ん。これ可愛い。」
「こ、これなんかはどうでしょうか?」
「う、うむ。」
やはり女性の買い物は長い。特に衣類関係に関しては。生活必需品や食料なんかはアッサリと終わってしまったというのに。
「「にゃーん」」
ということで、僕はルナとソルを抱えて、椅子に座って皆が姦しく服を選ぶ様子を生暖かい目で眺めている。
これなら幾らでも待てるなぁ。
ルナとソルは僕の膝の上丸くなって欠伸をした。二匹とも子猫サイズだ。モフモフでちっちゃくてめちゃくちゃ可愛くて癒される。
リムは初めてということもあって他の三人に着せ替え人形にされていた。彼女はローブの下は何も着ていないというハレンチ合法のじゃロリバ……コホン……幼女だったので皆があれこれ勧めているのだ。
「も、もうこれで沢山じゃ!!勘弁してたも!!」
「ざーんねん。もっと着せたかったのに。」
「ん。可愛いの着せたかった……。」
「い、色んな色の服きたリムちゃんもっと見たいです。」
満更でもなかったリムだけど、あまりに長く試着させられ続けるのに辟易として根をあげた。
流石に何時間も着たり脱いだりするのは疲れるだろう。肉体的にはともかく精神的に。元々一人で暮らしていたから、他人によく見せるとか、着飾るというのもそれ程興味があった訳でもなさそうだしね。
普段やらないこと、そして興味がないことを長いことやるのは酷く疲れるものだ。
「皆の分も買っていいよ。」
しかし、三人の無言の圧力により、三人の服も新しく買ってやることになり、更に時間が伸びることとなった。
まぁ僕は何もしてないしなぁ、ははは……。
「「はぁ……」」
僕とリムはため息を吐いた。
そして、ここは街でも評判が良く、裕福な平民から下級の貴族も利用する店だ。僕らの財布も大ダメージを受けたことは当然だった。
ギルドで対価を受け取らないとやばい程に。
「妹に着せるみたいで楽しかったです。」
「ん。妹嬉しい。」
「そ、そうですね、リムちゃんちっちゃくて可愛いです!!」
「妾が一番年上じゃし、ちっちゃくないわ!!お姉ちゃんと呼ぶのじゃ!!それにしても腹が減ったのじゃぞ?」
店を出ると、それぞれがワイワイとリムの服選びの感想を述べる。
どう見ても一番小さいのはリムなので妹のように扱われても仕方ないと思う。一人でいたせいかそれほど精神年齢も高くなさそうだし。
色々買うことになったけど、基本的に暗い色を好み、普段使いは元々着ていた灰色の死神ローブに近い物を纏い、その下に黒のワンピースを着て、足元はサンダルっぽい物を履いている。
フードは被っておらず頭の側面につけた髑髏面が意外にも可愛らしさを演出していた。
他の三人はピリカが魔術師風、ハクがボーイッシュな動きやすそうな物、トリアもポンチョとジャケットのような上着とワンピース的な、元々着ていた服に近く、より質良い物を選んだようだ。
皆気に入ってるらしい。
「皆喜んでるようで良かったよ。リムもお腹すいたようだし、ご飯食べてからギルドに行こう。」
『はーい』
僕達はご飯を食べ、派遣員ギルドへと向かった。
「そうだ。リムの派遣員登録をしよう。」
「いいのかや!?」
「しといたほうがいいでしょ。奴隷でもないし。」
「うむうむ、それは楽しみじゃ!!」
お金を貰うついでにリムの派遣員登録をすることにする。
「これが派遣員証です。」
「うほーーーい!!これが派遣員証かや!!かっこいいのう!!」
派遣員証を受け取った。袋同様に天に掲げてくるくるとバレエのように回転している。
「あ、年齢的にディカプルからのスタートです。」
「ディカプルじゃと?」
言い忘れたかのように慌てて付けたす地味子ちゃんに、はしゃぐのを辞めたリムが振り返り、目を潜めて聞き返す。
「はい。小さい子が登録した時用の派遣員の見習いみたいなものですね!!」
地味子ちゃんは人差し指をピンと立てて答えた。
「なんじゃと!!妾は大人なのじゃぞ!?」
「ふふふ。そんなこと言ってもダメですよ。」
苛立たしげにカウンターから頭をひょこりと出して詰め寄るリムだけど、地味子ちゃんは優しく微笑んで取り合う気はないらしい。
「むきー!!」
その態度にリムは地団駄を踏んで不満を露わにした。完全に駄々を捏ねる子供にしか見えない。遥かに長い時を生きているのに!!
しかし、見習い判定が覆ることは無かった。初めてのお使いスタートである。
各ギルドを回り、査定してもらった分の対価を受け取った。その額、金貨12.5万枚。聖樹50本で10万枚くらい。その他ゴチャゴチャしたモンスター素材で2.5万枚という感じ。
対価を受け取る度にピリカが目を輝かせ、屋外に出る度に小躍りを始めた。
それにつられるようにリムも一緒になって踊って、そこに金や魔法のふくろ、ハクを狙って柄の悪い奴が集まって来るというカオス。
頭のおかしい奴らは全員性格を書き換えてやった。結局50掃除した。
「そういえば、奴隷してくれんのかのや?」
宿に帰る道すがら、ふと思い出したかのようにリムが呟いて僕の方に視線を向ける。
「えー、別に奴隷する理由ないじゃん。」
「あ、あるぞ!!お主たちといつも一緒で良くなるのじゃ!!」
「うーん。そんな理由でホントに奴隷にしたくないなー。」
「う、ううう……してくれないのかや?」
僕があまり乗り気でないのをみるや、涙を溜めて上目遣いで見つめてくる。
どうしたものか。
僕が少しばかり考えていると、周りにいる人がパタリパタリと倒れていく。その流れはリムから放射円状に広がっていく。
「きゃー!?」
「な、なんだ!?」
「何がおこってるんだ!?」
「毒か!?」
「まさか何処かの国が攻めてきたのか!?」
その光景に辺りが騒然となった。倒れていなかったものたちは一斉に逃げ出した。
直ぐに図鑑で確認すると、生命力が著しく低下していることがわかった。
ま、まさか……。
リムの力が暴走している!?
勘弁してくれー!!
「わ、わかった。わかったから落ち着いて。奴隷にする。するから!!」
「ほ、ほんとかや……?」
「ホントホント!!」
「そ、そうかや……。」
慌てて無理やり笑顔を作って了承すると、人の気絶現象は止まった。僕の鬼気迫る勢いに押されたのかリムは顔を引攣らせる。
うぉー!!ホントに地雷娘じゃないか!!癇癪起こすと周りが衰弱して最悪死に至るマジでヤバいやつじゃないか!!
僕は心の中で声を大にして叫んだ。そして直ぐに図鑑で全員を治療した後、衛兵などが集まる前にそそくさとその場を後にした。
僕達は一番大きな奴隷商館へとやってきて、パパッとリムと奴隷契約した後、応接室でオーナーと対面している。
「ふふん、これで妾もずっと一緒なのじゃ。」
普通奴隷落ちしたら絶望する人が多いだろうに、リムはとんでもなく上機嫌だ。その笑みにどこか闇を感じるのは気のせいだろうか。
それはそうと、使い切れない程のお金が手に入ったので、奴隷契約ついでにいつもの様に奴隷を買うことにしたのだ。
いつもとちがうのは……。
「ちょっとお願いがあるんですけど、何処かに奴隷を集めて、処分奴隷や欠損奴隷、訳あり奴隷を全て一括して買えないですかね?」
「おっしゃってる意味がわからないのですが……?」
流石の商人でも僕の言ってる意味が分からないらしい。まさか誰も買わないであろう人たちを全部買おうだなんて意味不明だもんね。驚きが表情にも声色にも現れてしまっていた。
「だから、町中の奴隷商人から、処分奴隷や欠損奴隷、訳あり奴隷を貴方のところに集めて全部買えないですかね?」
「え……えぇーーーーーー!?」
僕の言葉を理解したらしい奴隷商人の絶叫が部屋に木霊した。




