Page32.野宿?
モンスターを倒しながら進むこと3時間。流石に視界が悪くなってきた。
「流石に暗いね。今日はここで野宿しようか。」
「分かりました。簡単な家建てちゃいますね?」
「「え!?」」
マップとトリアの感知があるとはいえ、暗い中を進むのは得策じゃない。街道から100メートル程離れ、僕達はここで野宿することにするも、ピリカの返事は予想外のものだった。僕とトリアは驚いてピリカの顔を見て固まる。
家を建てるって!?
「ノームお願い!!」
僕たちの疑問は取り残されたまま、ピリカの声が耳を打つ。目の前の土が盛り上がり、シンプルな長方形の立方体型の土の家があっという間に出来上がったと思えば、僕たちと家を囲むように数メートルの高さの土の塀が四方を覆った。
家の左右の壁面には小さな窓があり、入り口には扉がついている。家を囲う土壁も分厚く、ちょっとやそっとで壊れそうにない。そんじょそこらのモンスターの侵入は難しいだろう。
家の中は特に何かあるわけではなく、本当にガワだけ作ったというような、テントの上位版とでも言える状態となっていた。
外で泊まるのならそれでも十分過ぎるほどだ。これなら自宅にありそうな寝具類を持ち運ぶのも悪くないかもしれない。
「ピリカ、こんなことも出来たの!?凄いね!!」
「ピ、ピリカさん凄いです!!」
僕とトリアは目を輝かせてピリカを褒める。
「えへへ、照れますね~。もっと褒めてくれてもいいですよ?」
ピリカはそう言って、僕の前に上目遣いで頭を差し出す。
ははーん。撫でて欲しいってことかな。
可愛すぎる!!
頭下げた時にブルンと揺れた2つの霊峰も素晴らしい。
「ピリカ、ありがとう。」
僕がグシグシと頭を撫でつけると、にへら~と顔を崩した。
なでくりなでくり。
ーードドーン!!
「な、なんだ!?」
僕は爆音をした方を見ると、僕達を囲んでいた壁の一部を一撃で殴り壊しているハクがいた。壁が崩れ去り、通行可能な程の隙間が空いた。
え!?どういうこと?
なんで殴ったの?
意味が分からない。
「ごしゅじん……ハクも凄い?」
疑問符を浮かべている僕の前にトテトテとやってきて首を傾げるハク。
くっ、壊しちゃダメでしょと怒りたい所だけど、そんな純粋な瞳で言われると怒りづらい。
その上仕草が可愛いのなんのって。
「す、凄いぞ〜!!ハク!!」
「ハ、ハクさんのパンチ、つ、強いです!!」
僕は苦笑いを浮かべながらハクの頭をなでくりする。
トリアも冷や汗をかきながら同調してくれた。
モフモフ最高。
「ニャアア……嬉しい。」
「全く……ハクちゃんはしょうがないですね。」
ほんのりと頰を染め、気持ちよさそうに目を細めるハクに、ピリカは妹を見るような目で苦笑いを浮かべている。
可愛いから仕方ないね。
ピリカはサッと壊れた部分を直して壁は何事もなく元通り。改めて精霊魔法の凄さを目の当たりにした。
そういえば、今までウンディーネとシルフしか使う場面がなかったけど、ノームとイフリートも使えるならアレ作れるんじゃない?
「ピリカ、ノームで80センチくらいの深さで、直径2メートルくらいの堀を作って、その中に水を入れても汚れないように固めた上で、ウンディーネに水張ってもらって、イフリートでいい感じに人が入れる程度に温めることってできる?」
「あ、はい。出来ると思います。」
「ヒャッホー!!ピリカ最高!!」
「え!?え?」
そう、アレとは、お・ふ・ろ。日本人としては外せないテンプレポイントだよね!!
この世界の風呂はー知っているのはアークダイに限るけどー王侯貴族が入るだけで、平民は水で拭くだけで済ますの一般的だ。
今までは川で水浴びか水で拭くか、ピリカの精霊魔法で済ませてきた。今日こそ風呂が解禁されるんだ!!僕は喜びのあまりピリカを抱きしめていた。ピリカは突然のことに目を白黒させている。
「むぅ……。」
羨ましそうにピリカを見つめるハク。
そんな顔をしないでほしい。
風呂は最高なんだから。
というわけで、
「ピリカ早速頼む。」
「わ、分かりました。」
ピリカは戸惑いながらも僕の指示に従って家の隣に風呂を作り上げた。見た目はジャグジーっぽい形になっている。
見た目は土色にも関わらず、水は透き通っていて親特有の湯気を上げていた。
キタキタキタァァ!!
風呂の完成だ。
「僕は後でいいから先に入りなよ。」
僕は真っ先に入りたくなるのを堪えて、女性陣に先に入るように勧めた。別に彼女たちの残り湯をナニかに使ったりするわけじゃないよ?ホントだよ?
「何を言ってるんですか?皆で入ればいいですよ。」
「ん……ごしゅじんと入りたい。」
「わ、わたしも主様が一緒がいいです。」
多数決により混浴になりました。
あれ?おかしいどうしてこうなる?
男女は別々に入るもんじゃん?
水浴びは仕方なかったとしても。
しかし、これは完全に水浴びと同じ流れだ。
負けるわけにはいかない!!
「いや〜、お風呂は男と女は分かれて入るものだからね?」
「男と女の前に私たちはご主人様の奴隷ですから。」
「奴隷は……いつもしゅじんと一緒。」
「そ、そうみたいです!!」
僕の反論に奴隷理論をぶつけてくる三人。
トリアとか絶対流れで合わせただけじゃないか!?
二人の顔をキョロキョロと見ながらウンウンって頷いてるし。
「そんなこと言うなら皆を奴隷から解放しちゃいます!!」
くっ、許せ!!
皆の体が魅力的過ぎるんだ。
奴隷じゃなくなれば奴隷理論は使えないぞ。
「そんなに私たちと入るのは嫌ですか?」
「嫌……?」
「だ、ダメですか?」
止めて!!
絶対僕間違ってないのに止めて!!
そんなウルウルした瞳で上目遣いされたら何もいえなくなるてじょ!!
くっそ、ズルい!!
女の子武器をフル活用するなんて!!
「嫌じゃないけど、ダメです。」
僕は心の涙を流しながら、心を鬼にして答えた。
ホントは見たいよ?
ピリカとハクの体すんごいし。
でもほら、色々大変じゃない?
「分かりました。ご主人様、私を奴隷から解放してください。」
ピリカは笑顔でそんなことを言う。
なんだと!?
一体どう言うことだ?
「解放されたら魔法を使って強制的に連れて行きます。」
僕が疑問符を浮かべていると、より一層笑みを深めて言った。
まさかのバイオレンスじゃないですかやだー。
分かったよ、分かりました。
「はぁ……、分かったよ。一緒に入ろう。」
僕は折れた。
そして今僕の前には桃源郷が現れている。小さなものから大きなものまで動かす力はエロス。
三人がおもむろに服を脱ぎ始めていた。僕はゆっくりと脱ぎながらもマジマジと観察している。どうしてこう脱ぐという行為は、こうもエッチなのだろうか。
徐々に露呈する肌色。ピリカの小さな体に不釣り合いな二つの男性殺戮兵器と太ってないのにムチッとしたお尻と太もも。ハクの引き締まった筋肉と適度にのった脂肪による女性として完成された肉体美に、その均整を失わない程よく二つの果実。トリアの三眼族特有の小さく華奢な体躯に、花開く直前の少女の危うい艶やかさを含む曲線に、ほんのり膨らむ二つの蕾と小動物らしい仕草。
控えめに言って最高だと思う。ただし、残念な部分もある。それはアークダイの下着がかぼちゃパンツらしきものであることだ。
もちろん付けないことも悪くはないかもしれないけど、チラリと見えた際や脱ぎ途中の布の形は、健全な元男子高校生としては目を釘付けにする魅力がある。
めくれたスカートや、シャツの隙間につい視線が吸い寄せられてしまうのは男の性なのだ。めくれた所から見えるもの色気のないものだとゲンナリしてしまうは仕方のないことだろう。
ぜひ彼女らにもそう言ったものを身につけて欲しいのは主人として当然の権利だろう。いや、当たり前に違いない!!
僕は女性の下着を作り変えることに決めた。
「ご主人様、流石にそんなに見られると恥ずかしいんですが……。」
「ん……ちょっとだけ。」
「わ、私もですぅ。」
脱いで腰にタオルを巻き、左手で右肘を支えて顎を支えながら鑑賞していたら、皆が大事な部分を手で覆い隠ししてしまった。
顔を赤らめ、内腿を擦り合わせてモジモジしている。そこには水浴びの時にはなかった"恥じらい"があった。
これだよ、これ!!
これからどんな関係になるのだとしても、その気持ちを忘れないでほしい。
「もう!!ご主人様ばかり隠すのはズルいです!!」
ピリカはそういうと僕のタオルを剥ぎ取ってしまった。僕に寄生するイモムシ君が露わになる。
「久しぶりに見ましたが、やっぱり大きいです……。」
「早く……欲しい。女の健康にいいって……聞いた。」
「これが男性の……。」
三人とも前かがみで僕のイモムシを繁々と眺めている。確かにこれは恥ずかしい。とはいえ三人も無防備になってブルンブルンとプルンプルンとツルンツルンが丸見えなのだけれどね。
ちょっとイモムシ君が健全な男の反応をしてしまいそうになる。
このままではマズい!!
「ほら!!僕いっちばーん!!」
「もう、ご主人様はあんなに見てたのに。」
「ズルい。」
「も、もっとじっくり見たかったです。」
名残惜しいそうな三人を尻目に、僕は湯船に飛び込んだ。服を脱ぐ前にウンディーネによる洗浄を受けてるから無問題。肩まで浸かると、「あ゛あ゛ぁああ〜。」と思わず整理現象のようにおっさん声が漏れる。
お湯は少しぬる目で38℃くらい。
凄く気持ちが良いです。
「こんなことに魔法を使うなんてご主人様は変わってますね。確かに気持ちいいですけど。」
「故郷では毎日入ってたからね。やっぱりこれがないとな〜。精霊魔法でもサッパリするけど、湯船に浸かるってのは別格なんだよね。」
「そうですね。これは良い文化です。」
ピリカは僕の左手側に座り、不思議そうに問いかけながら顔は蕩けている。左にはハク、胡座の膝の上にはトリアを乗っけて二人も目を細めて、ため息のような深い息を漏らしていた。
「お風呂……きもち……。体にもいい……毎日入りたい。」
「こ、こんなに気持ちいいものが、あ、あったんですね」
風呂の良さを一発で分かってくれたらしい。
うんうん、この文化は広がって欲しい。
「んお?」
僕も溶け出しそうな感覚に浸ってると、ムニュっと左腕に柔らかな感触が広がる。視線を向けると僕の腕を取って体を預けるハクがいた。
上気した体とピクピクっと動く耳と僕に絡みつく尻尾。安心しきったその姿は飼い主に甘えるペットのようで心がキュンとする。
それに負けじとするかのように右腕もフワフワのスポンジにでも包まれるかのような感覚に包まれた。ピリカだ。肩あたりに頭を乗せて極上のマッサージでも受けているごとき幸せそうな表情をしている。弩級の戦艦が二つプカプカと浮いていた。
それは反則じゃなかろうか。
トリアはまだ加わって間もないせいか遠慮しているのか僕の胸に背を預けては来なかったが、天にも上りそうな表情を浮かべていた。腿に感じる小振りな桃の柔らかさと重さも心地いい。
皆の表情を見ていると、三人とも処分される前に買えてよかったなぁと思う。僕は今幸せだ。地球では考えられないリア充っぷりに、もう爆発しろとは言えないと苦笑いを浮かべた。
「三人ともありがとう。」
僕は自然とそんなことを呟いていた。
「なんのことです?『大陸喰らい』の時の話ですか?」
三人が不思議そうに僕の顔を見上げると、ピリカが代表して僕に問いかける。
「もちろんそれもあるけど、生きててくれて……僕に買われてくれてありがとう。」
僕は恥ずかしくなって、夜空の星を見上げてそう言った。
その瞬間、時が止まる。
マズッたかな、と思ったのも束の間、ハクとピリカの抱きつく力が強まり、トリアまでも正面からギュッと抱きついてきて、三人とも頭をグリグリと擦り付けてくる。
気恥ずかしくなって空を見上げる。余計な光の無い空の星は燦々と輝き、美しい光の絨毯を描き、そんな僕達を優しく照らしていた。
お風呂への興奮が収まると、否応なく視界に入るのは年頃の女の子の秘密の花園。地球にいた頃はお目にかかれない美少女となれば、イモムシ君が成長するのはやむ終えない。
「あ、主様、何か硬くて大きいのが、お、お尻に当たってます。」
「当ててるんだよ。」
「ピェ!?」
高まった下半身のイモムシは硬い蛹へと成長を遂げる。そしてトリアに警戒して貰いながら、今度はハク監修の元、ピリカに口で美味しく頂かれてしまった。
何度もおかわりされたので、皆と一緒でもスッキリとした気分で心地よい眠りに落ちた。
「ご主人様のアレは確かに凶悪ね。入るかしら。」
「大丈夫。……入るように……なってるはず。」
「わ、私には流石に難しいような気がします。」
「慣らせば……きっと大丈夫。」
こんな会話があったとか無かったとか。




