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いつの間に200ポイントもいただきましてありがとうございます。
あらすじと始まりです。
以下改稿しています。
・図鑑スキルで能力値を下げた時にもらえるポイント100分の1に変更しました。
・魔石によって変換されるポイントを増やしました。
・ハクとピリカの強さを上方修正。ピリカの一番強い相手が普通のレッドドラゴンだとイマイチなので、ロードにしました。
「ご主人様、兵士さんですよ。」
「ごしゅじん……起きる。」
「ううん……?」
僕は誰かに揺り動かされて意識が浮上する。
えーと、ここはどこだっけ?
んーと、学校に行って帰ってて……。
ああそうだ!!
僕は学校帰りに、異世界のアークダイ王国に数十人の日本人とともに勇者召喚された。テンプレのように王女からの懇願を受け、能力ランク鑑定をされた結果、一般人の能力値未満の最弱のFランクと判定され、役立たずと認識される。その後の王族の不審な対応から、このままでは未来がないと感じた僕は、他の日本人達と分かれ、城を出て自分の力で生きて行くことにした。
親切なオネェさんからのアドバイスで、相場や商品を確認したり、裏切らない仲間として奴隷を見に行ったりして、当面は日雇いの仕事をしながら、奴隷を買えそうな金儲けを探すことを方針とする。ここで訳ありを背負うエルフ族のピリカと、猫の耳と尻尾を持つ人間型の種族、猫人族のハクと出会った。
二人はそれぞれ呪いをその身に秘めていた。ピリカは「触った相手を人を不幸にする呪い」で、ハクは「虚弱体質で、触った相手も衰弱させてしまう呪い」だ。
デメリットがとんでもない二人だったけど、地球ではお目にかかれない程可愛らしく、転移者としてのユニークスキル「図鑑」によって呪いをどうにかできそうだったので、お金を貯めて身請けすることを決意する。
しかし、日雇いの仕事を斡旋してくれる派遣員ギルドに派遣員として登録を行ったその日、ピリカとハクを含む奴隷が処分場に連れて行かれる現場に出くわしてしまう。
可愛い女の子が死ぬなんて見過ごせなかった僕は、ギャンブルで手に入れたお金で二人を購入し、自分のものとした。
これで二人は僕の物、グヘヘ。
「図鑑」内に記載された内容を書き換えることで、現実も書き換わる能力を使い、二人の情報の書き換えて呪いから解放する。
呪縛から解放された二人の実力は破格で、ピリカの精霊魔法とハクの格闘術はチートと呼ばれてもおかしくないほど。そういう意味でも買ってよかった。
それから三人でお金を稼ぎ、テンプレの柄の悪いおじさん達に絡まれては「図鑑」で脳の中身を浄化していると、変に名が売れてしまった為、腹黒の第二王女に勘づかれる前にアークダイ王国を出ることにした。
途中『大地喰らい』という巨大なワームに襲われるものの、なんとか中間のヴェッキオの街に辿り着く。途中で絡んできたテンプレ盗賊を数百人捕まえた報酬で、新たな訳あり奴隷三つ目族のトリアを購入。
トリアの訳ありは「目が見えず、触った相手に幻覚を見せる呪い」。僕はそれを「図鑑」で書き換えて解消した。
トリアも感知能力において半端じゃない力を持っていて、おかげで隠密能力を持つ相手も地下から迫る相手にも対応できるようになる。
盤石の布陣となった僕達は、国境へと向かうも『大地喰らい』が立ち塞がる。ピリカやハクの現在の攻撃力では余りダメージを与えられないということだったけど、僕の思いつきで撃破。
その隙を突いてバクモンもとい暗殺者エグダが転移で強襲してきた。でもトリアの感知能力によって攻撃される前に目視出来たので、書き換えて何も出来なくして放置し、国境を越えることが出来たのであった。
「ふぁ〜っと、おはよう。兵士だって?」
「はい、ヴェストリア方面の兵士みたいですよ。おそらく『大地喰らい』によってアークダイの関所が吹き飛んだのを察知したのかなと。もうすぐ接触します。」
「分かった。」
ハクに揺らされて目を覚ました僕は、ピリカに状況を確認する。
なるほど。
たしかにお互い関所くらいは確認できるようにしているか。
そうじゃないと攻められても分からないもんな。
僕達はウインドボードから降りて、荷物を背負って歩く。
「おい、お前たち!!何者だ!!」
お互いの姿が明確に捉えられる頃、数十人の様々なケモ耳、ケモ尻尾を付けた兵士を引き連れた三十代くらいのおじさん兵士が武器を抜き、警戒を露わにした。
警戒は当然だよね。
吹っ飛んだ関所の方からやってきた種族がバラバラの四人組。
怪しいことこの上ない。
「僕達は旅行者です。タクミ・ナルカミと言います。こっちの三人は僕の奴隷です。」
「旅行者?徒歩での旅行も珍しいし、怪しいな。それにそんな上玉を三人も奴隷だと!?うらやま……コホン……けしからん奴だ。そこも怪しい。まぁそれはいい。アークダイの関所で何かあったようだが、お前たちの仕業か?」
偉そうなケモおっさん兵士に答えると、訝しげな視線を僕達に向け、舐めるように見回す。
気持ち悪い視線だ。
皆にその視線を向けるのは止めてよね。
「いえ、『大陸喰らい』が関所を吹き飛ばしたんですよ。」
「『大陸喰らい』だぁ!?」
僕の気持ちを隠したまま笑みを浮かべて返事をすると、兵士は目を剥き出して驚きの色を顔に浮かべた。
大陸喰らいはやっぱり相当厄介な奴だったんだろうな。
直径10メートルを超える体躯。
あれだけデカければ当然といえば当然か。
元々の攻撃力が低いとしても、大きければそれだけで脅威だし、ピリカとハクの攻撃でもちょっとしたダメージしか与えられない程の防御力、そしてギリギリまで探知の難しい隠密性、それらが合わされば国でも対応か難しいだろう。
「この辺りで見かけたという話は聞いたことがないな。こちらで確認させよう。悪いが、結果が分かるまでお前たちは関所で身柄を拘束させて貰うぞ。」
「はぁ……、分かりました。」
おっさん兵士の有無を言わさない指示に僕は渋々承諾した。
仕方ないな。
せっかくアークダイから出てきたっていうのに、ヴェストリアと揉めて追われるのも面白くないからね。
「お前たち!!連れていけ!!」
『はっ!!』
僕達は数名のケモ兵士に連れられてヴェストリア側の関所に向かった。
二章では押さえつけられた主人公たちの煩悩や性格が解放される??




