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Page14.報酬と懲りないテンプレ

 僕達はギリギリ門が閉ざされる前に街に着くことが出来た。


 ギルドにて依頼を報告して報酬受け取る。薬草採取の仕事三人合わせて銀貨三枚。昨日より少ないのは薬草採取以外はオーク肉しかないからだ。


 僕が持ってきた背負い袋には森の葉で包んだオーク肉が十二キロが入っている。シルフに軽くしてもらったけど、体力のない僕には非常に大変な帰路となった。ピリカには薬草を抱えてもらい、ハクには追加で森の葉で包んだオーク肉を十二キロ持ってきてもらった。


 オーク肉の買取場所が分からないので、ハンナさんに聞いてみることにする。


「ハンナさん、オークって売れます?」

「オークですか?そうですね。結構いい値段になりますよ。セプタプルのパーティもしくは、セクスタプルの戦力が推奨されるモンスターですし。群ともなると、セクスタプルのパーティは必要ですからね。あ、だめですよ。ノナプルのあなたには早くすぎます。ってその肉はまさか……」


 無謀な挑戦を使用してると思ったのか、説明の後に少し怒ったような顔で説教を始める。


「いや~、もう挑んだっていうか……。狩ってきちゃった!!みたいな?」


 僕は目を逸らしながら、目を逸らして頭を搔く。頰を冷や汗が流れる。


「え?聞き間違えですか?オークをどうしたんです?」


 目をパチクリと瞬きした後、耳の後ろに手を当てて、顔を僕の方に突き出すハンナさん。


「いや~だから、もうオークは仕留めてきましたよ。」

「な、なななななんてことしてるの!?死にたいの!?死ぬの?私との結婚は?」


 苦笑いを浮かべて答えると、いきなり胸ぐらを掴まれ、ガクガクと揺さぶられる。


 力つよ!!どこにそんな力があるのか。く、苦しい……。このままじゃ僕の意識が飛んじゃいそうだ。


「お、落ち着いてください!!す、素が出てますよ!?それから僕がハンナさんと結婚する予定も約束もありません。ましてや恋人でもありません。友人でさえなく、派遣員とギルド職員というただの仕事上の関係ですよね!!」


 僕は喉元が閉まるのを感じながら、皆に聞こえるように宣う。


「あ!?」


 僕の言ったことがショックだったのか、ハンナさんの力が緩む。僕は襟元を正し、少し後ろへ下がった。意識を取り戻したのか、周りを見回す彼女は、自分が置かれた状況を理解すると、顔を真っ赤にして俯いて、ストンと椅子に腰を下ろした。


「コホン、失礼しました。」


 彼女は咳払いして謝罪する。それでようやく辺りは喧騒を取り戻した。


「でも、さっきの言い方はひどくないですか?」


 ハンナさんは不貞腐れた顔で僕を睨む。


「事実は事実ですしね。」

「はいはいそうですね。所詮私は唯のギルド職員ですよ。親身になっても所詮赤の他人なんですねぇ。」


 ハンナさんはそっぽ向いて拗ねた。


 この人ちょっと可愛いな。お姉さん系かと思ったら、予想より子供っぽいところがある。そういうギャップもモテる要素なのかもしれない。


「はぁ~、申し訳ございませんでした。ハンナさんには大変お世話になってますよ。でも良いとこ友人ですね。」

「まぁいいです。それで、どうやって倒してきたんですか?」


 僕が渋々頭を下げると、ハンナさんはしょうがないですねという表情で話を進める。


 なんか似たようなやり取りをした気がするけど、気にしないでおこう。


「どうしたもこうしたもこの子たちが物凄く強かったんですよ。オークなんて目じゃないくらいに。これで僕も安心して外に出れますよ。」


 僕は隠すこともないので事実を述べた。


「はぁ、それはそれは高かったんでしょうね。まぁあれだけのお金があれば買えますか。それでオークの話でしたね。魔石とお肉は、あそこの買い取りカウンターで常時買い取りますよ。どちらも常に品薄ですしね。」


 高い奴隷を買えばそれもあり得るかと上手いこと勝手に結びつけてくれたハンナさんの勘違いは都合がいい。


 僕は特に訂正したりしなかった。


「なるほど。ありがとうございます。持ってってみますね。」


 僕達は買い取りカウンターでオークの肉と魔石を一個提出した。魔石はさも背負い袋に入ってましたという態度で出した。


 結果、


 オーク肉 二十四キロ 銀貨十二枚

 オークの魔石 銅貨五十枚


 で売れた。


 薬草採取と合わせて銀貨15枚と銅貨50枚という、今までの五倍くらいの稼ぎに留まった。ただこれは背負い袋などの運搬能力が無かったのが原因だった。明日以降は今日の数倍の稼ぎに出来ると思う。


 僕らは報酬をもらい、ギルドを後にした。


「今日は遅いし、疲れたから買い物は明日にしよう。」

「お腹すいた……。」

「私もペコペコです。」


 僕らは予定を変更して今日はもう宿にいくことにした。正直体力がない僕が何時間も歩くのはかなりしんどかった。足もパンパンだ。明日は筋肉痛間違いなしだ。


「家計的に三人部屋は厳しい。今日も一人部屋かな。」


 背負い袋と薬草採取用の鞄を人数分用意出来なかったのが痛い。


 それがあれば、


 オーク肉 七十二キロ 銀貨三十六枚

 魔石   一個  銅貨五十枚

 薬草   三人分 銀貨三枚


 合計 銀貨三十九枚と銅貨五十枚


 はいける。


 それだけあれば三人部屋でも問題なくなる。家計には一人部屋が優しいけどね。


「ずっと……一人部屋で……良い。」

「いや、僕ベッドで寝れないんだけど……。二人を床で寝かせるわけにもいかないし。」


 ハクの言葉に僕は困惑する。僕もベッドで寝たいよ~。


「三人一緒に……寝ればいい……。」

「流石に狭くないですか?」


 どっちの言葉も一理ある。


「皆で……くっついて……寝るの……好き……。」


 なんて魅力的な提案。問題は主に僕の下半身ですね。わかります。


「私はご主人様が良ければ問題ないですよ。」

「うーん、責任とるって言ったしね。今日は三人仲良く寝よう。」


 二人とも問題ないなら一緒に寝よう。悶々とはするかもしれないけど、どうせ疲れてどうしようもないと思う。体力つくまではお預けだね。


「なんだかおもしろいお話をしてるな~。そんな男より俺らと一緒に寝ようぜぇ。」

「そうだぜぇ。俺らならもっと良い思いさせてやれるぜぇ。」

「俺らの方が良い男だぜぇ。」


 おっとベッドの話をしていたら、またもやテンプレがやってきた。面倒なので速攻で性格をクリーンに書き換えた。


「おまえら……汚い……臭い……気持ち悪い……ゲス……だから嫌。」

「「「申し訳ございませんでした!!おっしゃる通りで!!」」」


 ハクが無表情ながら凄まじい嫌悪感を示すと、テンプレ小僧たちはすかさず土下座でハクに頭を下げた。


「あなたたちなんかに私たちを満足させられるわけじゃないですか。」

「「「申し訳ございませんでした!!おっしゃる通りで!!」」」


 ピリカがつれない態度で凄まじい嫌悪感を示すと、テンプレ小僧たちはすかさず土下座でピリカに頭を下げた。


「ごしゅしん……の方が……ずっといい男……。侮辱すると……殺す……。」

「「「ヒィィィィィ!?申し訳ございませんでした!!平にご容赦を!!」」」


 ハクが無表情ながら凄まじい殺気を放つと、テンプレ小僧たちはすかさず土下座でハクに頭を下げた。


「謝るのは……私じゃない……。」

「「「ご主人様、申し訳ございませんでした!!平にご容赦を!!」」」


 ハクが指摘すると、テンプレ小僧たちはすかさず土下座で僕に頭を下げた。


「僕はお前たちのご主人様じゃないんだけど。」

「「「申し訳ございませんでした!!おっしゃる通りで!!」」」


 僕が指摘すると、テンプレ小僧たちはすかさず土下座で僕に頭を下げた。


「じゃあ、解散!!真面目に働けよ~。」

「「「サー、イエッサー!!」」」


 こうしてテンプレは去った。


「あいつ何もんだ?」

「セプタプルランクのパーティが何もせずに頭を下げるとは……。」

「お前ら見んな。やられるんぞ。」


 あちこちで小声で会話をしているが、僕らは無視して宿へと向かう。僕たちが宿に付くと幸い朝まで使っていた部屋が空いていたのでまたそこを取った。三人部屋は残念ながら空いてなかった。

図鑑ポイント残高 57400+2832=60232

残金       銀貨7枚 銅貨50枚

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