婚約破棄をしたい。
勢いで書き上げたので、所々おかしいところがあるかもしれません。
R15は保険です。
文章を訂正しました。ご報告ありがとうございます。
ずっと、ずっと、憧れていた。この瞬間を待ち望んでいた。
私にこの役目が廻ってきた時から決めていた。
「オ・・・「アルフォンス様、貴方との婚約は破棄させていただきます。」
婚約破棄をするのは貴方じゃない、この私だ。
私は元々、日本人だった。どうして死んだかは覚えてないし、思い出せないのだから興味がない。ただ、死んだ後生まれ変わった世界は乙女ゲームの中で、私は悪役令嬢として生を受けた。
その事を自覚したのは私が10歳の頃。
私の婚約者、そして後に私を裏切り婚約破棄を言い付ける人物アルフォンス・トラヴィウス。
彼とのファーストコンタクト。
この時この世界に生きるオリヴィア・ブラットレーが消え、私が生まれた。
正直に話すなら、私はこのゲームを全く知らない。
いや、少し知っている。妹(日本人だったこの頃の妹)がやっており、丁度アルフォンス・トラヴィウスのルートを攻略していた。
普段乙女ゲームに興味がなかった私だが、この時は何故か必死にアルフォンスを攻略している妹の隣でそれを見ていた。
アルフォンスをクリアし、満足感を感じている妹には悪いが第一印象が最悪だった。
いろいろと文句を付けたいと思ったが、1番文句を言いたいところは何故オリヴィアを裏切ったのか?と言うとところだ。
あれだけ、深い愛情を与えてくれていた彼女を簡単に裏切ったアルフォンスには嫌悪感しか生まれなかった。
そして、何がどうしてか私はオリヴィアとなった。
よっぽどアルフォンスを嫌っていたせいなのかと思ってしまったせいなのかと訳のわからない考えに到達するくらいまでに。
「やぁ、オリヴィア調子はどうだい?」
記憶を自覚してから8年が経過した。アルフォンス様とは10歳の時から婚約が決まった。当時の私が嫌と何回も言ったが所詮子供のわがままと流されてしまった。
この世界は、中世の貴族階級に倣ったものになっている。違うところはあるだろうが概ね一緒だ。
ブラットレー家は侯爵家であるも国にとても貢献しており、公爵を賜ってもおかしくないほど貴族としては上の方に位置している。現に父は財務省大臣として、母はドレスのデザイナーとして今も国を支えている。私には3歳年上の兄が1人おり、彼もとても優秀なため今後もブラットレー家は繁栄を極めていえると私は思う。
そんな優秀なブラットレー家のために私も何か貢献をしたいとは思っていたが、それは婚約と言う形で作った家同士の繋がりではなかった。
少なくとも、この婚約に両親と兄は反対だったらしい。しかし、相手の立場が上で強引に婚約を決められてしまったことを16歳、学園に入学した時、兄がこっそりと教えてくれた。
「何をそんなに考え込んでいるんだい?」
そう言われたと同時に頬を撫でられた感触で、意識がアルフォンス様に戻る。
ブロンドの髪にアイスブルーの瞳、背は高めですらりとしたモデル体型。極めつけはその顔。完璧までな美少年と言うほど整っている。そのため、貴族の御令嬢たちの間では凄まじい程の人気があるのだ。
・・・私は全く興味がないが。
「僕の話を聞いていた?」
いいえ、全く。
と答えれたらどれだけいいか。しかし、現実はそんなに簡単じゃない。相手の話を聞いていないことは失礼に値するので、考えごとをしながらも話はしっかりと聞かなくてはならない。
「アマリス男爵令嬢の事ですか?」
セシル・アマリス。
この世界のヒロイン、庶子だったがつい最近アマリス男爵に引き取られこの学園に入学した噂の御令嬢だ。
アルフォンス様は既に彼女と出会い、とても気に入って見えるらしい。
先程から、セシルがセシルがとしか言っていない。正直婚約者を前にそれはどうなのかと思うがアルフォンス様の事を何も思っていない私にはどうでもいい。
今も完璧な美少年顔の頬を赤く染められ、とろけた表情をしているがホントにどうでもいい。むしろ、私は帰りたいのだが。
前回お会いした以降から、アマリス男爵令嬢に嵌まってしまったアルフォンス様は私の事を放っておいて彼女に夢中になった。アマリス男爵令嬢の傍にはアルフォンス様以外にも有力な貴族の御子息達がおり、まさにハーレム状態になっていた。
学園では大問題として考えられているこの状態。御子息達にも婚約していた御令嬢が居たのだが彼らも全く婚約者を相手にしなくなったらしい。そして、嫉妬に狂った令嬢達はアマリス男爵を攻撃し始めると言った行動まで発展した。
そんな中、私は無関心を貫いた。
と、言うかこれはチャンスだと思った。アルフォンス様に婚約破棄を言い渡すチャンスだと。私が、前世で散々嫌ったアルフォンス様に婚約破棄を言い渡すチャンス!(大事なことなので2度言いました。)
そう思ったらいてもたってもいられなく直ぐに行動に移しました。
まず、アルフォンス様とアマリス男爵令嬢の関係を徹底的に洗い、回りにいる他貴族の御子息との関係も洗い出しました。
出てくるのは、まぁホントにハーレムなの?とツッコミたくなるような現状。誰にでも愛してるのは貴方だけと囁くアマリス男爵には呆れてものも言えません。
次に彼らがどれだけアマリス男爵令嬢に貢いだかを調べました。何とも恐ろしい額のドレスやらアクセサリーやら食べ物やらが貢こまれています。・・・一応私婚約者でしたけどそんなにプレゼントもらった記憶ないんですけど。
因みにアルフォンス様に限って言えば、一体何処にそんなお金があるのだろうと言う金額を使ってみえる。・・・まさかね?
これら上記の調査結果をまとめて両親と兄、そしてトラヴィウス家の方々に渡した。最初に伝えるが、別に私はトラヴィウス家の方々全員が嫌いな訳ではない。嫌いなのはアルフォンス様だけだ。
この調査結果を見て、両家に大きな激震が走った。
特に私の父は怒りを露にした。表面上には出てないが母と兄も怒っている。対してアルフォンス様のご両親は顔色が青ざめた。自分の息子がこんなことをしているなんて思っても見なかったらしい。奥様に至っては貧血になってしまったのか侍女に支えられ退室を余儀なくされた。
父はこの問題をこのままにする気はなくまず、私とアルフォンス様との婚約を解消することを求めた。トラヴィウス家は中々頷かれなかったが、問題が問題だけに最後には渋々と了承した。
アルフォンス様を呼び出しこの事を全て伝えようとしていたが私が伝えると言ってやめていただき、私がアルフォンス様に伝えるまで他言無用と言うことになった。
準備が整ったので、後は悠々と残り少ない学園生活を満喫した。もちろんアルフォンス様とは全くお会いしていない。
そんな私の姿を見て、よくわからないがアマリス男爵令嬢に嫌がらせをしていた御令嬢達が嫌がらせを辞めて私をお茶会などに呼んで下さるようになった。・・・何でだ?
疑問に思うこともあったが、楽しく学園生活を送り卒業まで残り2週間となったとき彼女が現れた。
お気に入りのテラスへ1人で向かう途中、彼女・・・セシル・アマリス男爵令嬢が静かに立っていた。
アメジストの瞳が静かに私を睨み付けている。私は何も気にせず彼女の横を通りすぎようとする。
「覚えておきなさい。」
すれ違い様に彼女は吐き捨てて言った。
何を?と言いたかったが大したことはないと思い彼女を無視しサロンに向かった。
さて、もうすぐ行われるはずのアルフォンス様の婚約破棄に対して私は練習もした。彼が発言をする前に発言をする練習を侍女も使って頑張ってみた。・・・努力の方向性がおかしいとは言わないで。
卒業式が終わり、卒業パーティーに以降した。
美味しそうなお料理に今日のためだけに用意されたであろうとても素敵な服を卒業生は着ている。皆とても楽しそうに学園で過ごす最後の時を楽しんでいた。
私も元にも学友以外にも様々な方が挨拶に来てくれている・・・悪役令嬢って人望があるのかしら?
皆が挨拶をしてくれている最中、急に道が広がる。広がった道に現れたのはアルフォンス様とアマリス男爵令嬢とその他お着きの方々。
来るとは知っていたので全然いいんですけど、実際こんな風に登場されたらイラッと来ます。そんな私の心情など知らずアルフォンス様は私の前まで歩いて来る。その背にはアマリス男爵令嬢を庇い。
「君には失望したよ、オリヴィア。」
お決まりのセリフをアルフォンス様が言い出す。さぁ、これからが楽しいショータイムだ!
「オ・・・「アルフォンス様、貴方との婚約は破棄させていただきます。」
決まった・・・アルフォンス様のセリフの途中に私のセリフを被せ婚約破棄をする。このためだけに何度練習したか。成果は上々で。
私からそんなことを言われるとは思ってもいなかったアルフォンス様は口を開けポカーンとしてみえる。その後ろにみえるアマリス男爵令嬢は驚愕した表情をしてみえる。どうしてそんな表情?
「…どう言うことだい?」
「婚約破棄を指せていただきますと申したのです。因みに、この婚約破棄の件は私の両親と兄、貴方様のご両親はもう知っており了承しております。」
やっとの事で絞り出したであろう声を上げ聞いてくるアルフォンス様にただ、ただ、真実を伝える。
「婚約破棄に至った理由を申し上げるなら、不貞行為と横領罪ですね。不貞行為とは私と言う存在が居ながらアマリス男爵令嬢に愛を囁き続けたこと。横領罪とは国のためにあるお金をアマリス男爵令嬢へのプレゼントの資金にしてしまったこと。」
私の発言に頭がついていかないのか、何を返答して良いのかわからないのか口をパクパクしているアルフォンス様。簡単にしか話してないんですけどね、実際はもっとややこしいんですけどね。
「以上の事をふまえ、アルフォンス様、貴方に婚約破棄を言い渡します。」
「・・・君は僕を愛していたんじゃないのか?」
はい?
「貴方様の事を愛した覚えは一度もないのですが?」
アルフォンス様の謎発言に呆れてつい本音を言ってしまった。そもそも、私の態度の何処に貴方を愛してたと思えるところがあったのか不思議で仕方無いな。・・・マジでホントに。
「・・・」
顔を下向き何やらブツブツ言っているアルフォンス様。もう、婚約破棄も終わりましたし、どうでも良いですけどね?
未だに沈黙しているアマリス男爵令嬢を見ると何故か顔面蒼白。邪魔者が居なくなってもっと喜ぶところじゃないのか?
そんなことをやっているうちにアルフォンス様のご両親が会場に現れた。そして、静かにアルフォンス様の元に近付く。
目の前に両親が来たところでやっと顔を上げるアルフォンス様。アルフォンス様の父上は静かな怒りを灯しておりました。
「アルフォンス・・・お前がしでかしたことは言い訳が出来ん。よって、お前への王位継承権は剥奪。私の後はお前の弟アルフォートに継がせる。」
父上・・・国王陛下の言葉に今まで以上に驚き、膝から崩れ落ちるアルフォンス様。
そうなんですよ、この方王子様なんですよ。そしてこの乙女ゲームのメインルートの。私がアルフォンス様を好きになれなかった理由として、王子だからってやって良いことと悪いことがあるんだ!って思ったからで、そして実際彼と過ごし想像以上に王子と言う身分を笠に着て好き勝手やって来てたんですよ。
故にこんな奴好きになれるか!ってなってたんですよね。
崩れ落ちたアルフォンス様を漸く復活?したアマリス男爵令嬢が慰める。一生懸命背中を擦っているアマリス男爵令嬢をアルフォンス様は見上げる。
一瞬の沈黙。
次には、悲鳴の嵐。
「お前のせいだーーーー!」
アマリス男爵令嬢の首を締めるアルフォンス様。驚き首を閉められるアマリス男爵令嬢。国王陛下と近衛兵がアルフォンス様を止めようと彼をアマリス男爵令嬢から離れさせようとする。
それを振り払いアマリス男爵令嬢の首を閉め続けるアルフォンス様。
・・・何でこうなった?
全く斜め上過ぎる展開に私の方も追い付かない。でも、流石に放っておく訳にもいかずと言う責任感とこんなことをするアルフォンス様への更なる失望感。とんでもない位混乱していたのだろう自分でも思っていない爆弾発言をしてしまった。
「アマリス男爵令嬢は関係ありません。私は元々貴方様の事はホントにどうでも興味もありまんでした!!」
私の発言に会場が静まり返る。
アルフォンス様もアマリス男爵令嬢の首を締める手を緩める。優秀な近衛兵がその瞬間を見逃すはずがなくアマリス男爵令嬢からアルフォンス様を引き剥がす。
アルフォンス様は本当に驚愕の顔をして私を見ている。こんな彼を見るのは本当に初めてだ。そして、彼はきっと私の事を全く理解していなかったらしい。
「貴方にどれだけ迷惑をかけられたと思っているのですか?国のための勉学を疎かにし、国の民を自分の奴隷の様に言う!」
そもそもゲームの開発者が可笑しかったかもしれないが、アルフォンス様は民は王家のために働くものと思い込んでいた。ゲームのストーリーの至るところでその節々が感じられ、更に一緒に過ごす事で知ったのだが、王になるための勉学をことごとく拒否し逃げていたのだ。そんな王子が王になんてなられても困る!がもう私の最終結論だ。
「国のためを思い幼き頃から勉学に励んでいたオリヴィアを悪役令嬢にし、自分を甘やかす存在の元に逃げて!」
オリヴィアは悪役令嬢ではなかったのだ、王子の婚約者ではあったが。ゲームの中の彼女は王子を愛して、王子を支えるために王妃になるための修行を受けた。それだけではなく、国を良くしようと視察に行き民の声を聞いて様々な政策を打ち出そうとしていた。国のためだけではなく学業も手を緩めず成績を上位に修めて続けた。何よりそんな忙しい中でも王子のために時間を割き彼に寄り添おうとした完璧な淑女だったのだ。もう、ゲーム製作者は一体何を考えた結果こんなキャラを創った!?
だが、アルフォンスはこの事実を湾曲してねじ曲げた。彼女が忙しくて自分の傍に居ないのは彼女が別の誰かと遊んでいるから、彼女が提案した政策はブラットレー家を有利にするためだけの案件だから、たまに自分に会いに来るのは自分を見下すため。その全てを考えた結果、オリヴィア・ブラットレーは国家反逆罪に仕立て上げられた。何だそれ!ふざけんな!!極端過ぎる!
ぶっちゃけた話、アルフォンスがオリヴィアに劣等感を抱いてヒロインであるセシル・アマリスに逃げたのだ。そして、セシル・アマリスと結婚したいがためにオリヴィアを悪者に仕上げたのだ!
エンディングまで見て、妹からの補足を聞いて何だこのクズ男はと私は叫びまくった。(妹いわくそのクズっぷりが良いとのこと・・・わからん。)
こんなキャラをどうやって好きになれと言うのだろう、いや無理だ(訳のわからない倒置法。)
「オリヴィアを捨てた貴方を好きになんて私は絶対有り得ません!!」
アルフォンス様を指差し堂々と言い切りました。
あの後、荒ぶる心のまま叫び続けていた私を兄が回収しに来て取り敢えず卒業パーティーは中断されました。私が叫び続けていた間アルフォンス様は顔面蒼白を通り越し土色になった顔で放心していまい、アマリス男爵令嬢は私のアルフォンス様への悪口?を聞いてとんでもなく絶望した顔をしていた。
ここからは後日談の話。
アルフォンス様はまぁ当然王位継承権を剥奪されました。父が王家から放り出せ!と叫んでいましたが、あんなバカを国に放つなんて録でもないとでも思ったのでしょうか王家の別荘(隔離施設)にて生涯を過ごすことになりました。あっ、贅沢は出来ませんよ?
セシル・アマリス男爵御令嬢は庶民に戻りました。貴族の中で生きていくのが大変だとわかったとの事で自分から申し出たのことでした。その前に彼女と話す機会をいただけため、前から疑問に思っていたことを聞きたいと思い、場を設けていただきました。
アマリス男爵令嬢大変恐縮しており、答えられる事は全て答えますと言われました。
私が知りたかったのは3つ。
1つは私と同じ転生者なのか。これに対しては彼女は転生者ではありませんでした。
2つ目と3つ目については、「覚えておきなさい。」発言とアルフォンス様の事を愛していたのかとの質問だったのだが・・・結論、彼女はアルフォンス様を愛しては居た。それならどうしてあんな発言をと思ったら流石アルフォンス様斜め上に行きました。曰く、アルフォンス様は私と結婚するつもりだったらしい。そして、側室としてアマリス男爵令嬢を迎えるつもりだった。この事実はアマリス男爵令嬢にとって衝撃だった。アルフォンス様は彼女に謝罪しこの提案は何と私から提案したと伝えたのだ!それを聞いたのが私に接触した前日だったらしいその憤りのまま私に当たったのだと彼女は謝罪された。いや、別にアマリス男爵令嬢悪くないよ。そう伝えるも彼女は私と別れる時まで謝り続けていた。けど、話していて思ったがアマリス男爵令嬢はとても強かな女性だった。私がどこまで知っているのかわかっていないだろうが自分の不利になる情報は何も言わなかった。こちらとしても敵対しないのなら何も聞かないし言わないけど。
本当はまだまだいろいろと疑問の残るけど、アルフォンス様とアマリス男爵令嬢の話はこれでおしまい。
私は・・・ううん、私のその後なんて必要ないかな。今回の婚約破棄はオリヴィアのために行った・・・いや、恩着せがましいな。私がオリヴィアが大好きになってしまったから今回アルフォンスに鉄槌を喰わせようと思い、私が勝手にやったんだから。
これからはオリヴィアが愛したこの国をより良くしていくために頑張って行く予定です。
オリヴィアが大好きな主人公が大っ嫌いな王子を倒す話。
書いていて勝手に王子が暴走しました。どうしてこうなった?




