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「やった!」

50レベルを超えた彼は、ようやく手に入れた力に歓喜の声をあげた。

50レベルを超えると、ユニークスキル(unique skill)ーーーーー誰一人として同じものは無い、自分の固有スキルを手に入れることができる。

その種類を全て把握するのは困難であり、与えられるスキルはランダムなのだ。

だから、自分に合うもの合わないもの、使えるもの使えないもの、レアなものやそうでないものがある。

物理戦闘職なのに、魔法関係のスキルが割り当てられることもある、ということだ。


「…USユニークスキルーーーーー創造?」

彼が手に入れたUSは『創造』だった。

どうやら、質量保存の法則に関係なくあらゆるものを創造することができるようだ。

「ランクは星3!?」

USには、それぞれランクがつけられており、現在判明しているものの中では星3が最高ランクと言われている。

彼は思わぬ幸運に、喜びを隠しきれないようだった。

だが、時刻は午前3時。

あたりには人の姿はなく、自慢をしようにも彼のフレンドにはログインしている者はいなかった。

「まぁ、今日の夜にでも会えるからな…」

仕方なく今日はログアウトしようとしたところに、メールの通知音が響く。

こんな時間帯にログインしているフレンドは、知ってる限りいない。大方、運営からのメールだろう。

もしかしたら、新しいイベントの知らせかもしれない。もしそうだったら、いち早く情報をゲットしなくては。

彼のゲーマーとしての魂が、彼の心を動かした。


カチッ


それは、メールを開くたった一瞬の出来事だった。

「…なっ!?」

彼を包み込んだのは、白く輝く数字の羅列。

「ウイルスか!?」

そう叫んで、彼は非常用の強制終了を実行しようとしーーーーー自身の身体が消えかかっているのに気がついた。

伸ばした手がウインドウ内のボタンを押すことはなく、ただ虚しく宙を切るだけで。

その腕の感覚は無くなっていて、残ったのは自分の思考のみ。

「うわぁぁぁぁぁッ!!!」

パニックになった彼は、なす術もなく光となってーーーーー散った。



後に残ったのは、強制終了のウインドウとーーーーー彼のUS表示ウインドウ。


それらのウインドウにノイズが走り、ウインドウが書き換えられた。


【ユニークスキル『空間魔法』取得】

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