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薄暗い空間の中に漂う、一つの光。
その光は、1と0という数字の羅列からできていた。
"それ"は世界を知りたがった。
広大な土地に広がる青い大地。その大地を駆け巡る、多くの生き物たち。
"それ"は知識としての世界を知っていたが、その光景はやはり数字の羅列として、情報として"それ"の中に流れ込んできた。
〈もっと…全てを見たい〉
自身の願望を叶える方法を、"それ"は知っていた。
そのための力も、知識も、全ては自身の手の中にあったのだ。
薄暗い空間の中で、その光は輝きを増した。
次々とその数列は書き換えられ、光は膨張し始める。
ーーーーー全ては自身の願望のために。