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ハジマリ

こんにちわはじめまして。夜雨見です。


チートさえ軽く超える風師と変人でやっぱり強い氷師の気楽な旅を描いた話です。

伏線もバシバシ残していきますのでよろしく~

 謎の音が響く部屋。ガシャガシャと想像しいその部屋で。

 風と氷の再開は果たされた。




 場所はフロストの隠れ場。

「ただいま」

「おかえり~。あそこはどうだった?良い場所だったんだろーね~」

 まるで自分の家の様に我が物顔で隠れ家に侵入するラスネイドをフロストが笑顔で迎える。最後に会ってから約一年の歳月が既に経っていた。

 未開の地という世界最高峰の危険度が指定されている場所に行った事を知っていたフロストは軽い調子で言葉をかける。

「お前さんが旅行に2カ月の時間をかけるのは本当に珍しい事だよ」

「………」 

 ラスネイドは無言でソファに腰掛けると例の物を取りだした。

「これをお前の出来る最高の強化を施して欲しい」

「ほぅ?」

 フロストが興味深そうに二丁のマシンガンを調べ始めた。グリップ、マガジン、銃口と丹念に確認していく。

「ふむ…? 旧時代の鉛型だが、魔法適合率が異常だな。なぜだ…?」

 そう言うとフロストは研究室の奥からヘルメットの様な機械を取り出した。

そして無言でラスネイドの頭に被せる。

「おい」

「ん~?」

「「ん~?」じゃねぇよ。なんだこれ」

「視記憶再生装置だよ~。被せた人間の記憶を見れるって言ったらわかりやすいね~」

「…ったく。先に言えよ」

 なんだかんだ息が合っている二人である。フロストが機械を起動するとモニターに映像が映り始めた。

 数分間、フロストは何も言わずにその映像を見ていた。未開の地の地形、魔物の生態、そして空間の歪んだ謎の穴。

 黄金に光る生物が現れた時、フロストは何か考えるような素振りをしていた。モニターの視界がマシンガンを捉え、それに触れる。しかしそこで視た男の記憶は映し出されなかった。

 どうやらあれは男の思念体が見せた記憶の断片だったのだろう。

唐突にフロストが喋り始めた。

「なるほど…未開の地には何か裏がありそうだ……」

「興味、持ったか?」

「しんしんだねぇ。もう一度行く気は無いかい?」

「別に構わんが……」

「よしきた! 明日出発しようじゃぁないか~」

「…おう」

 ラスネイドはふと思い出した。自分が長らくフロストと行動を共にしていなかった事を。

 フロストとラスネイドは親友である。学園当時に知り合い不思議と自然に物事を一緒に行うようになった。『あの出来事』が起こった時も狂気に取り憑かれたラスネイドの心の支えとなった。

 それが学園が陥落しそれぞれの道を歩み始めた頃から疎遠になってしまった事。それはラスネイドが旅をし始めた事も起因していた。

「そう言えば俺達……パーティ組むの久しぶりだよな」

「おうともさ! 確か最後は学園襲撃の時だったね~」

「ああ」

「久々に暴れるとしようぜぇ」

「いや、危ないからお前は見てるだけでいい」

「え~、大丈夫だって~。クリアカーテンもある事だし~」

「身体弱いだろお前…魔力無くなって一発食らったらお陀仏だぞ」

「それを言ったらお前さんの方が身体弱いよ?」

「………俺は慣れてるから……」

「まぁ心配すんな~」

 フロストは軽いノリであしらう。こういうやり取りは学園当時と何も変わっていない。ラスネイドは何故か心に温かい物を感じた。

 工具を取りだしたフロストがマシンガンを改造するのを遠目に見ながらラスネイドは微睡(まどろ)み始めた。安心感と疲労感が心地良い眠りの世界へと誘う。

 心に支えがある人間は強い事をラスネイドは知っていた。そしてその重要さも。それはどんな世界でも変わらず強い輝きを放っている大切な項目の一つである、と。

「…よ~し、ラスネの記憶覗き見するか……」

 フロストはそんなヤツだ。




 翌日。

「この鉛型…思ったより高性能だ……」

「そうか」

「君の魔力と射撃センス、そしてこの銃の威力を足し合わせたら遠距離とは思えない程の威力が出るだろうに」

 どうやら思いもよらない程の掘り出しものだったらしい。珍しくフロストが表に出して驚いている。

「装填数68発、秒間30発強、射出機構は高性能。銃の状態も至って良好だね~。古代人の知識は恐ろしいよ」

 そう言っている顔は随分とにやけていた。

「で、完成したのか?」

「もちろんですとも! 推進力の更なる向上、外部及び内部の硬質化、魔質鋼弾を装填可能な状態にしたよ~。お前さんの荒っぽい戦闘にも耐えられるようにもね」

「おう、ありがとな」

「あいよ~」

 フロストは銃をしばらく見つめていたが、興味深そうな顔をして尋ねてきた。

「その銃の名前は何ていうんだい?」

「……シングとソング」

「へぇ~お前さんらしいねぇ~」

 実はラスネイド、歌うのが結構好きだ。近頃はヴァビルに戻るたびにカラオケへ通っていた。ジャンルはもっぱらアニソンだ。

 改造済みの二丁マシンガンを太腿のホルスターにしまい、武器の整備と準備が整ったラスネイドはフロストに出発の催促をする。

「準備は終わったか?」

「ちょっと待って~。戦闘用の機械がどっかに……」

 様々な器具と謎の物体で溢れた部屋である為、探すのに苦労しているようだった。昨日は結構片づいていたハズだったような…?

「おーいティラー。異空間転送装置Gどこだっけ~?」

 フロストが部屋の隅にあるスイッチを押して声をかける。どうやら通信機の類のようだ。

しばらくすると変な箱型の機械が出てきた。よちよちと現れたそのロボットにラスネイドは普通ではない雰囲気を感じた。こう…生きようとする力強い意思というものだろうか? しかしそれはどう見ても無機質な箱型のロボットであったが。

「知りませんよー…。またこんなに部屋を汚して……」

「いや~、自然に物が散らかるんだよ~」

「ふぅ……いいんですけどね。あ、これじゃないですか?」

「そうそうそれだぁ! 異空間転送装置G!」

「じゃぁ私は他に仕事があるので……」

 そう言ってそそくさと出ていく箱型ロボット。部屋を出る瞬間にこっちを見たが、何だったんだ?

 フロストは準備を終えたらしく、最後に彼の武器である斬打刀と機十字をリターンし、ラスネイドに声を掛けた。

「さて~。準備できたよ~ぃ」

「ああ。行くか」

 フロストの隠れ家……もとい研究所があるのは礎人の領土『(せい)(らん)』。ここから魔人の領土『魔界』に出向き、数少ない未開の地への旅船を確保する事となる。その理由は未開の地に最も近いのが魔界だからということだ。

 青藍から魔界へラスネイドのバイクを使って約1週間。魔界へ到着し旅船出向までは約1カ月かかるだろう。軽い旅のレベルだな……。

「いざ未開の地へゴ~!」

「………」

 楽しそうな様子のフロストを横目に、ラスネイドはバイクを武装召喚した。

「おー懐かしいな! 私が改造した最初にして最高傑作のバイクじゃぁないか!」

「ああ。こいつにも色々世話になってる」

「そうかそうか! こいつは私が遺跡で入手した古代兵器の機構を応用した装置を導入し……」

「なぁ……さっさと行こうぜ」

「ん? ああ、悪い悪い…」

 自分の作品に夢中になるフロストの癖である。まさに研究者の鏡だと思うが、同じ話を何度もされるのは止めて貰いたいな…。

 ひょんな感じでラスネイドとフロストの旅が始まったのであった。


 これは二人の親友達が織り成す冒険物語。

 人と人の繋がりや、出会い、それぞれのストーリー。数多の人生が織り成す交差点。そんなものを感じて貰いたい。


マシンガンが登場いたしましたね。

ラスネはロングコートに隠れるよう腿に装備してます。


武装召喚できるのですが、ビジュアルを優先したみたいですw

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