8月15日 夜
8月15日 夜
月子は疲れてしまったのか早々に眠ってしまった。
今この部屋にいるのは俺だけだ
なるべく月子を起こさないようにと静かに生活している
不意に昨日のことを思い出した
「…そうだ、彼岸花の花言葉」
俺が使っていた書斎へと足を向ける
確か花言葉だけがぎっしりと書いてある本を
何のためだか知らないが持っていた気がする。
まさかこんな時に役に立つとは思っていなかった
過去の自分に感謝した
目次を見ると、彼岸花の名があった。
「…月子…」
月子はこれを言いたかったのか。
やっとあの時に隠された言葉の意味がわかった。
帰らなくてはならない
自分が本来いなくてはならない場所に
還らなくてはならない
いつまでもここでゆっくりと幸せに浸りながら過ごしていることは不可能なのだ
二人が住む世界は同じようで違う。
始まりがあれば終わりがあるように
この生活は長くは続かない。
明日は送り火の日だ。
死者の魂が再び冥土へと帰る日。
自分がそうだということは初めから知っていたが
明日が、最後の日なのか。
ふと窓の外を見ると、家の外に咲いた彼岸花が
月の月光に照らされて
きれいに輝いているように見えた。
月子はこのことをしっているのだろうか。
明日が一緒にいられる最後の日なのだとしたら
俺は月子にすべてを話さなくてはならない。
明日の夜には灯篭流しが行われるはずだ。
月子と一緒にいこう。
刻一刻と時間は迫っていた。
一話一話なんだか短いですね^^;
長文を書くのは苦手です!(笑)