傷
飲みすぎたぞぅ・・・
アパートまで徒歩1分の距離で転んだ。帰るまであと少しなのに、俺の足取りは重く永遠に辿り着かないように感じた。
本当はまだ酔っていたいからなのか、はっきり覚えていない。
早く帰って、転んでできた傷を癒したい気持ちがある一方で、帰宅して素面になり、「虚無状態」になることを恐れていた節もある。
その日は、会社の最終出社日だった。
唯一の美人スタッフであり、俺の理解者かつ愚痴相手だった葵ちゃんに俺の送別会を開いてもらい餞の言葉を貰って送別会は平穏に終わった。そこまでの記憶は、ある。
でも、俺は根が暗いサラリーマンだから、確か1人で飲み直していたんだ。
そうしたら、燻っていた職場への不満、自分への不満がつい再燃してしまった。
なぜこうも勢い任せで辞めてしまったのか
そもそも辞めたくなるような上司が集まる職場がおかしい
どうせなら、もっと早くやめるべきだった。
なぜ貴重な20代をしょうもない仕事で浪費してしまったのか。
今、こうやって振り返っているだけでも、気が滅入るな(笑)
ということは、当時の俺は相当精神的にやられていたんだろう。
酒浸りになりたい気持ちも分からんでもない。
今思えば、そういう精神的に限界の時だったからこそ、「異業種転生エージェント」に遭遇したのかもしれない。
まさか無職0日目で転職して、形だけは同僚美女達とハーレム状態になるとは思わなかった。
それだけでもギャルゲーのような転生体験なのに、1番の誤算は「傷」を自分の手で治すチャンスが得られたことなんだよな(つづく)




