空賊との邂逅(1/2)
どれくらい飛んだのかもわからない。
唯一分かるのは燃料である蒸気が相当減り、あと少しで燃料切れになることだ。
雲の中で視界は無いに等しく、方位磁針でしか進んでいる方角はわからない。
「確かこのあたりだったんだが.........」
一枚の擦り切れた紙を見つつ、地図を確認した。
この紙は、数日前に寄港した国で親切にしてくれた老人から貰ったものだ。
そうこうしているうちに
「..................???」
雲の先からわずかに汽笛が聞こえてきた。
「もしや?」
速度を上げ、雲を抜けると青空の前には既に旧式化した飛行戦艦が3隻飛んでいた。
「あった!難民船だ」
それに近づいていくと、戦艦から発光信号が向けられた。
『ブキヲステロ、ユウドウニシタガエ』
同時に、もう一隻の飛行戦艦から小型の武装飛行船が2隻こちらに近づいてきた。
発光信号に従い、腰の拳銃を船外に捨て、機関銃の弾を外した。
そのまま、前と後ろに武装飛行船が付き、飛行戦艦の内部まで誘導される。
上から降りてきたエレベーターに船底を乗せ固定し、飛行戦艦の内部に格納された。
「貴様はどこから来た?名前は?」
「私は帝国の飛行都市から.........」
突然左右から拘束され地面に倒された。
「やめろ!やめてくれ!」
「貴様、帝国と言ったか!?ここに何しに来た!?」
「俺は!俺は!」
弁明しようとするも、ガッチリと捕まれ小さな部屋に押し込み鍵をかけられた。
「そこでおとなしくしてろ」
元戦艦のせいか窓がなく、辛うじてドアの隙間から漏れてくる光で、足元だけが見える状態だ。
「ここに行けば空賊のブラックギアの隠れ家まで案内してくれると聞いたのに.....」
しかしこれまでの長旅が祟ってか、地面に座り込み、寝てしまった。