音楽と私
私は音楽が好きです。
体調が悪い時は音楽を聴くなんて考えられませんでした。あらゆる音が耳と頭を刺すようで辛かったです。そんな中で私が音楽に再び出会えたのは、とある小説のおかげです。それはピアノが出てくる小説でした。その小説を読み終えた時に「久しぶりにピアノを聴いてみたい」と思いました。
早速、YouTubeでピアノを検索し、とある奏者さんのチャンネルに出会いました。その方の演奏で、ピアノってこんな多彩な音色を出せるんだなぁと思いました。そして不思議とピアノの音色が苦痛ではないことに気がつきました。それと同時に「ピアノを弾いてみたい」と思いました。
幼い頃ピアノは習っていましたが、練習が大嫌いで全く上達しませんでした。ピアノもそんなに好きではありませんでした。そんな私が初めて積極的に「ピアノ弾きたい」と思ったのです。
何ごとに対しても意欲が持てない状態だったのに、そんな風に思えた自分が嬉しかったです。
実家にはアップライトピアノがありますが、一人暮らしのアパートには何もありません。そこでキーボードを購入することにしました。
キーボードを購入して以来、ほぼ毎日弾きます。とはいえ自分が弾ける曲だけ。あくまでも趣味だから上達しなくていいと思えば気が楽です。
キーボードを弾いていると昔習っていたピアノの先生のことを思い出します。その先生はとても穏やかな先生でした。毎週毎週、練習してこない私に対して怒ることはありませんでした。諦められていたのかもしれませんが、それでも嫌味など一切言われたことがありません。今はそんな先生はいないと思いますが三十年前はたとえ習い事であっても怖い先生はいました。同じようにピアノを習っていた人に聞けば、練習していかなかったら手を叩かれたとかつねられたとか聞きます。
でも、私の先生はそんなことはしませんでした。そして大人になった今、気づいたのですがピアノを習った年数に等しいだけの教本を教えてくれていました。
本来なら教本は最初から順番に全曲練習していくのだと思いますが、私にそれをさせたら永遠に終わらないと悟った先生は「この教本ならこれははずせない」という曲だけを課題にしてくれていたのです。
ピアノの発表会の今日も同様です。ピアノを習ってきた年数に相応しい曲を提示してくれていました。完成度が低くてもよしとしてくれていました。
もし、私がピアノを習っていたのが、あの先生でなければピアノに対する感情はもっと負の感情だっただろうし、またピアノを弾きたいなんて思わなかったと思います。そう思うと私に気長にレッスンをしてくれた先生に感謝しなければと気づきました。
先生が今もお元気でピアノレッスンを続けておられることを願っています。
読んでいただき、ありがとうございました。
みなさんにも恩師はいますか?