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Memory of the Ring  作者: 夜空に奏でるカノン
コスモスの女神
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第4話 空駆ける天馬 その②

第一章 ~コスモスの女神~

4,空()ける天馬(てんま) その②


「皆、絶対私から離れるな。良いね。」とこすもが口を開いた。


 どうやら、私たちはダンジョンのような場所に来ているみたいだった。僅かだが、微量の魔力を感じ取ることができる。その魔力の発生源が分からないまま進まなければならないため、未知の魔物に遭遇する可能性があった。おまけに、私たちのパーティには魔法使いがいないため、簡単な魔法や呪文以外は使うことができない。(美空・剣士、美夜・剣士、流星・弓使い、こすも・剣士)そのため、誰1人として離れないように皆で固まって突き進んでいく必要があった。そんな時だった。

 暗闇から人影がぬっと現れ、一同、皆は声を合わせて発狂した。


 「ギャアァァァ‼‼‼」と、四人の悲鳴がダンジョン内にガンガン響きながら、一斉に走り出す。慌てた人影が叫んだ。


「ちょっと待ってください!俺はこの洞窟(ダンジョン)守り人(まもりびと)です‼」と。

 

 私たちは足を止め、声のする方に振り返った。男性の声だった。

 声の持ち主はこの洞窟の研究者であり、〝守り人(まもりびと)〟という立派な役職を抱えていた。名は天馬(てんま)と言う。

 この地下は長い間、誰1人としてボスの所までたどり着かなったダンジョンであり、まだまだたくさんの仕掛けが隠されている。とある人物だけがこのダンジョンの最終地までたどり着けたという記録があるが、肝心の仕掛けや罠については一言も語られず、未明な点が多く残されてしまった。


「さらに酷いことに、地下へと続く階段さえも長い間塞がれて、今もなお塞がれた状態なんです。」


 こうして、天馬に案内されるがままに進んだ先に待ち受けていたのは、巨大な岩の球だった。数本の細い蔦で支えられていて、今にもちぎられそうなくらい頼りのない蔦だった。その奥に、影になって見えづらいが、女神コスモの像があったような気がした。

 コスモの像じゃないのか?と周りに話しかけようとしたが、か細い蔦で支えられていた岩の球がゆらゆらと動き出し、次の瞬間、私たちの方向に目掛けて転がり出した。ちょうど私たちがいる位置は下り坂になっていたため球の勢いは徐々に増していき、ついに目の前まで転がってきた。その道は一方通行だったため、その球は止まることを知らず、永遠に追いかけていた。


「今日の私たち、ずっと追いかけられてない⁉」と私。

「そんなことは良いからもっと速く走ってくださいよ‼美空さん‼‼」と美夜。

「やばい、追いつかれる。」と流星。

「巻き込んでしまってすいません‼」と謝る天馬。

「皆、壁にできるだけ身体を張り付けるんだ‼」と指示を出すこすも。


 言われた通り、私たち5人はそれぞれ、壁にぴったり体を張り付けて、岩の球が転がっていくのを待った。


「押しつぶされるかと思った…。」


 今まで塞がれていた入り口はすんなりと開き、あとは進むだけなのだが、いきなり全速力で走ったため、体力が岩の球体と一緒に持ってかれてしまった。他の皆もその場に倒れた。天馬はここで座り込むのは危険だと言い、少しでも魔物が発生しない安全な場所へ案内してくれた。


「この洞窟には様々な仕掛けがあり、奥に進むにつれて未解明なまま放置されてしまったフロアがあるんです。だから、何があっても僕から離れないようにしてくれませんか。」


 ここの洞窟は、つい最近まで研究者や勇敢な冒険者によって魔物狩りや鉱石など宝を探していた。しかし、おそらくこの洞窟のボスであろう巨体の魔物が出現したことにより、想像を超えた犠牲者や遭難者が続出し、あえなく危険区域として人の出入りを制限するようになった。今では度胸試しに来た命知らずな冒険者が攻略しに来るか、代々長を務める族長の親戚などが勝手な侵入を防ぐための〝守り人〟が洞窟の周りを徘徊するのみとなった。


「そういえば気になってたことがあるんだ。」


 そう言って流星は私の指輪を取り出すように指示し、指輪に魔力を込める。すると、指輪から魔力が発生し、道しるべが誕生した。どうやら、流星は微量な魔力の中から私たちが探していた目的の指輪の魔力を感じ取っていたみたいだ。


「俺、探索魔法が使えるって説明したじゃん?対象物は人間だけでなく、例えば貴金属でも半径10㎞以内であれば、探索魔法を使って対象物を探すことは可能なんだ。」


 もちろん、この魔法は天野川(あまのがわ)師匠から教わったものだと言う。私たちは天馬を先頭に、流星の探索魔法に頼りながら、洞窟の地下へ進んでいく。殿(しんがり)は任せて、と進んでこすもは後ろについてくれた。

 地下へ下がるにつれて仕掛けの難易度が高くなっていく中、どこで覚えたのか美夜はすんなりと交わし、魔物を次々倒していく。おまけに魔物を倒していくたびに、謎の鉱石を残して魔物は跡形もなく煙のように消滅していく。この不思議な現象に、天馬はもしかしたら魔物そのものは魔力によって作られたのか、または幻影魔法を見せられている可能性が高いと考察した。命知らずな冒険者の侵入が後を絶たないのは、魔物を倒した褒賞として鉱石を落としていくことも何か関係がありそうだ。

 ……そんなことを考えていくうちに、最終地の階まで進んでいたようだった。


「まさかこんな奥深くまで来られるなんて思ってもみなかった。」


 天馬は〝守り人〟として務め始めたばかりで、多くのことを知らずに引き継いでしまっていたのだ。そんな天馬の震える手を見て、何だか可哀そうになってきた。


「天馬、何があっても私たちがあなたを守るから大丈夫だよ。」

 

 声を掛けると、天馬の表情は少しだけ穏やかになった。


「そうだった。今は美空さんがいるんだったね。」

「そう言う美空が一番不安要素なんだけどね。」と、流星のツッコミが入る。いちいち流星は毒舌だな…。


 指輪から発する魔力がもうすぐ近くにあることが確定し、流星はどの位置にあるか場所も特定することができた。私たちは小走りで向かうと、こすもが何かに気付き、全員に「伏せろ‼」と言って剣を振りかざした。かなりの数のクナイが飛んできたのだ。クナイが飛んできたその先に、人型の黒い石像が突っ立っていた。その姿は天馬と瓜二つだった。


「やはりそうだったのか…。」


 天馬は先代の〝守り人〟から、物を自在に変化させて操る魔物がいることを知らされていたのだが、実際にこうやって動かしている物自体を見たことが無かった。


「さっきも言ったけど、私たちが絶対に守るから!」


 瞬きをした瞬間、こすもは黒い石像の元へ一瞬で移動し、素早く剣を抜いたかと思うと、目にも見えない速さで両の腕を切り取った。天馬たちの背後から別の石像が襲い掛かるが、負けじと私も剣を振りかざし、上下に2体に切る。


 その様子を唖然と見ていた天馬は、あることを思い出した。兄から受け継いだ銀白色の槍。

 天馬は、自分のローブに付いている四次元ポケットからその槍を取り出し、天馬と瓜二つの黒い石像へと走り出す。


 黒い石像は両手を素早く再生させると、天馬と同じようにポケットから黒の槍を取り出し、天馬の攻撃をかわした。2つの槍はぶつかり合って、洞窟内を轟かせる。その後も2つの槍は激しい音を鳴らし続けた。黒い石像は魔法で砂を作りと、天馬にそれをぶちまけた。当然のように砂が舞い、咳き込む天馬に黒い槍が投げられた。


「天馬‼?逃げて……‼‼」


 しかし、黒い槍が投げられた先に天馬はいなかった。その代わり、3m以上高く跳んだ天馬は黒い石像の胸に目掛けて槍を突いた。黒い石像はボロボロと砂くずとなって消えた。残りの石像も次々と崩れ落ち、私たち5人がその場に残った。どうやら、天馬がこのダンジョンのボスを倒したようだ。


「俺にこんな力があったなんてね。驚きだよ。」


 天馬はそういうけれど、槍を持っただけで覚醒するはずがないから影でこつこつ努力してきたのだろう。先ほどの槍(さば)きを見たときに、高く跳ぶ姿が雨上がりの空に白い翼をはためかせて、飛び立つペガサスのようにも見えた。


「そんなことないよ。天馬は強い!私も負けていられないね。」


 こうして、洗練された天馬の剣術は私たちの剣術魂に火を付けることになった。


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