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Memory of the Ring  作者: 夜空に奏でるカノン
コスモスの女神
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第3話 古城の住人 その②

第一章 ~コスモスの女神~

3,古城の住人 その②


視点:美夜(みよ)


「こすもって言うんですね。素敵(ステキ)な名前ですね!」


 わたしたちは目的地に到着するまで、こすもに立て続けに質問をしていた。


 こすもは色々と謎が多い人で、何を聞いても面白いから何でも聞きたくなってしまう。

 例えば、「どうしてあんなに逃げるのが上手なの?」とか「どうしてあのオペラ座にいたの?」とか。

 けれどこすもは、ちっとも嫌な顔一つしないで一つ一つ答えてくれた。本当、優しいのね。


 わたしの勝手なイメージなんだけれど、率直に言ってこすもは、しっかりしていて頼りがいのあるお姉さんみたいな感じ。

 それと対照的なのが流星の師匠、天野川(あまのがわ)だ。彼は何だかフニャフニャしていていつもニコニコしているが、こすもは見た目からしてビシッとしていて、マントの下に隠れているYシャツはパリッと着こなしている。それが何ともカッコイイのだ。


「そういえば、〝世界を救う九つの指輪〟のことなんだが…。」とこすもが話題に持ち掛けた。


「詳しいわけではないんだが、ひょっとしてこの指輪もその一つではないだろうか?」と言って、こすもの胸ポケットから取り出して見せてくれたピンク色の指輪は、小さな植物や花、文字が彫られていた。美空が見つけた指輪と比較すると、どちらも文字が彫り込まれていた。


 わたしは、指輪に小さく刻まれた文字にある共通点を見つけた。


「美空さんとこすもさんの指輪に、同じ古代文字が使われているんですね。なんて読むんですかね?」


 二つの指輪を同時に見比べていると、こすもはすっと顔を近づけた。


「アモネス……」

「もしかして、この文字読めるんですか?」と驚いた美空。


「百年前の言葉だけれど解読できるよ。少し表記が変わっている箇所もあるが、文法は今と変わらない。君たちも読めるはずだよ。ゆっくりで良いから発音してごらん。」と、こすもの指輪を差し出した。


 わたしと美空は目を擦りながら、一緒に発音してみた。


「「こ・す・も・す」」

 思ってるより、そんなに難しくはなかった。 確かに、今の時代の文字の方が古代文字よりもずっと読みやすく、文字の表記が一部省略しスッキリと綺麗(きれい)な形になっているだけで、文章自体は難しくないのだ。


「これからも冒険を続けるなら、これくらいは読めていた方が今後に役立つよ。」とこすもがアドバイスしてくれた。


「……ですよネ。これからは気を付けます。」と美空がちょっと落ち込んでいるように見えた。まぁ、いつものことだけど。


「それともう一つ。よく今まで指輪を探せたね。その歴史書も同じ時代の言語だよ?」とこすもが驚きの発言をした。


「そう考えると美空さんって、無謀(むぼう)な旅をしてきたってことですよね?」


 ひょっとすると今の今までやばい奴しかいなかったってこと?何とか道に迷わずに旅を続けられたことが奇跡のようにも思える。


 だけれど、美空は特に気にしていなさそうな雰囲気だった。


「単語さえ読めていれば楽勝!人生なんくるないさーって言うし、大丈夫デショ?」


「大丈夫じゃない。」と流星のツッコミが入る。

 いったい二人で何をしているのやら。


 流星と美空が後ろで取っ組み合いが始まってしまっていたが、くだらなくて構っていられない。


「とりあえず、読めなさそうなのは、ここ?」とこすもが話題を指輪に戻した。


「そうですね。このページだけ見たこともない文字が綴られていて…。何かの暗号でしょうか?」

「これは、アモネスの大陸の方の言葉だ。すまない、私には分からない。」


 知らなかった。話している言葉は一緒でも、大陸をまたいだら言葉の表記が変わってしまうこともあるんだ。


「わたしたちの方こそ教わることが多くて助かります。お役に立てず、すみません。」

「いや…」とこすもの顔がちょっとだけ沈んだような気がした。


「ね、あそこじゃない?きっと、そうだよね!」と美空が目的地に向かって指を指した。


 わたしたち四人は大きな木造の門をくぐり、次の指輪を探すことになった。

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