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Memory of the Ring  作者: 夜空に奏でるカノン
コスモスの女神
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第2話 森を探検する二人の冒険者

第一章 ~コスモスの女神~

2,森を探検する二人の冒険者


 私たちは文字通り、ミーティング会議で魔物と遭遇した時の対処法や、森林の地形などをある程度把握してから、冒険を開始した。

 図鑑にも載っていなさそうな草に、見るからに怪しいキノコなど、歩けば歩くほど珍しい植物があちこちに生息していた。森林は思っている以上に荒れ果て、私は軽く後悔していた。

「ねえ、いつになったら目的地に着くの?」

「まだ一時間しか歩いてないじゃないですか。しっかりしてくださいよ。」

「結構歩いてるじゃん。何で美夜(みよ)ちゃんはそんなに元気なの?」

「まあ、普段から歩いてますから。逆にこっちの方が信じられないです。本当に冒険者なんですか?」

「そんなこと言わないでよ。ちょっとで良いから休もうよ。」

「…仕方ないですね。ちょっとだけですよ。」

「やったね!そうだ。クッキー持ってきたから一緒に食べよう。」

「のんきですね。」

 とか言いつつ、美夜の口元を見るとほんの少し口角の端が上がっていた。何だかんだ言って、言葉は辛辣で根が優しんだよね。

 少し土が盛り上がった丘の上に座って、軽く休息していたその時だった。


 ガサッ


 茂みに隠れて最初は気づかなかったが、林の茂みからヌッと黒い物体が現れたのだ。

「な、何あれ。へび⁉」と怯える私。

「蛇の化身でしょうか。いや、討伐しきれてなかった魔物かもしれないですね。さっさと片づけてしまいましょう。」と冷静な美夜。

 二人は目を合わせた。

「魔物と遭遇するたびに反応してたら、疲れちゃうじゃないですか。」としびれを切らした美夜。

「そうだけど、そうだけど‼怖い物は怖いんだよ…。」

「いいから剣を構えてください‼」

「はいぃ。」

 私は半泣きしながら、大蛇に向けて剣を構えた。すると突然、大蛇の体がみるみる小さくなっていき、気づいたら人間の男性が現れた。

「お嬢さんたち、こんにちは。」

「「は?」」と二人の声が重なった。

 二人は、蛇に化けていたその男性には聞こえないように、ひそひそ話した。

「私たち、話しかけられてる?」

「そうみたいですね。どうしますか、美空(みそら)さん?」

 見るからに害はなさそう。第一印象は優しそうな好青年である。だが、見た目に騙されてはいけない。しかし…。

「そんなに考え込まなくても、僕はそんなに怪しい者ではないですよ。少しで良いのでお話しませんか。」

((心を読まれた‼))

 二人はしぶしぶ承諾した。

 私は、〝世界を救う九つの指輪〟を探していること、コスモスを元に戻す方法を探していることを説明した。

「この森林のどこかに指輪が存在するんです。確証はありませんが…。」

「うん。君たちの話は理解できたよ。実は、僕たちも森林に隠された秘密を研究していたんだ。コスモスの女神、コスモ様についてね。僕にとってコスモ様は心の支えであり、理想そのものなんだ。」

「そうなんですね。私もコスモ様が大好きなんです。奇遇ですね。」

 知らなかった。私以外にもコスモを想う人がいたなんて。

 急に親近感が湧いてきたからは、思い切ってそのお兄さん、天野川(あまのがわ)を指輪を探すパーティーに加わらないか提案してみることにしてみた。

「君たちと冒険するのも悪くないね。ただ、僕はもう少しこの地にとどまって研究を続けたいしなぁ。そうだ。僕の弟子を連れて行かせるのはどう?」

「「お兄さんのお弟子さん?」」

 まぁ、こんな危険地区に一人で来る方が珍しいか。そういえば、さっき「僕たちも森林の研究をしに来た。」って言ってたっけ。どんなお弟子さんかな?

「今一人で薬草を探させているんだけれど…。あ、いた。あそこにいるのが僕の一番弟子の流星だよ。」

 年齢は十六歳ってところかな。天野川よりも背が高く、目がシュッとしていて眼光が鋭い。ただちょっと困ったところがあるとすれば…

「よろしくね。流星君。」

「…どうも。」

 人見知りなのか、返事を返すだけで何だかそっけない態度を取られてしまった。どうしよう。嫌われちゃったかな?

 何かに察知したのか、天野川がつかさずフォローをする。

「この子、あんまり表に感情を出すことが無いから分かりづらいけれど、根は良い奴だから、仲良くしてやってね。」

 こうして天野川は素早く荷物をまとめると、急ぎ足でその場を離れていった。

 これから私たち、大丈夫なのかなぁ。

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