背くらべ (ほのぼの ウィロロアンリア)
アズールの家 秋のはじめ
「ウィロー! 見て!」
アズールの家の居間の壁に、ロアンとリアが並んで立っている。リアはせいいっぱい背伸びをしている。
「私、大きくなったと思わない?」
「全然、小さいですよね?」
ロアンは呆れている。
リアはすごく必死な様子でつま先だちだ。
ウィローはおかしくてしょうがない。が、笑ったら、リアの気分を害するだろうなと思い、目をつむり腕を組み、あごに手を当てて考えている風を装う。
「うーん、確かに少し大きくなったような……そうでもないような……」
ロアンはとなりに並ぶリアの頭に、背を測るように手を置く。
「リアは小さいですよ。たぶん、他の12歳の子どもより小柄ですよ。私が12歳のころもっともっと大きかったです。そんなに大きくならないタイプなんじゃないですか?」
リアはロアンにふくれる。
「わからないじゃない! 私、すっごく背が高くなるかもしれないわ ウィローやロアンに負けないくらい伸びるかもしれないでしょ!」
リアは真っ赤な顔でロアンをにらむ。
「ロアンに勝って、その顔を見下ろしてやるわ!」
「ふふっ」
ウィローは堪えきれずに笑いだす。
「あはは!」
「なんで笑うの、ウィロー! ウィローにも私、勝つんだから!」
涙がでるほど笑っているウィローを、(そんなに笑うことか?)と見るロアン。
顔を真っ赤にして、むきになっているリアの前に、ウィローはわざと膝をつく。下からリアの顔を見上げる。
「期待してるよ、お姫様」
(可愛い可愛い、ぼくのお姫様)
ウィローは心の中で、そう、付け加える。