いちゃつくカップルとそうはなりたくないルキ(小話)
※リョーちゃんとアサナシア、ルーキスとリーリア
◯リョーちゃん少年の姿のころ
「魔王なのに、風邪をひいた……」
「マスター、ごはん、食べられますか?」
アサナシアは熱々のお肉をフーフーして、寝ているリョーに串ごと差し出す。
(ヒ、ヒロインムーブだ……ありがたい……肉、ありがたいか……?)
リョーは起き上がる。
「はい、マスター あーん」
「あー」
リョーは少し照れながら歯で串から肉を外す。
アサナシアはとても嬉しそうだ。
◯ リョーちゃん結婚後
「マスター ちょっとこれ 味見してみてください!」
アサナシアは、木のスプーンに入ったスープをリョーの口元に運ぶ。
「はい、マスター あーん」
「あー」
リョーは特に照れもせず、口にいれる。
「美味しいですか? マスター」
「ああ、美味しいよ、アサナシア」
ふたりは楽しそうだ。
リョーは視線に気づく。
「どうした、ルキ」
「いえ……」
ルーキス少年はふたりのいちゃついたやりとりが嫌そうだ。はしたない、とでも思っているのかもしれない。
リョーのとなりからアサナシアが顔を覗かせる。
「ルキちゃんも食べる?」
「いえ、結構です」
アサナシアから目を逸らし、ルーキスはその場から去る。
◯ ルーキスの結婚後
ルーキスの執務室で、リーリアがソファーに座り、ガラスの器に入った赤い小さな実を食べている。
「ルーキスさんも食べる?」
根詰めて仕事をしているルーキスを和ませようと、リーリアはやってくる。
リーリアは、ルーキスの口元に赤い実を運ぼうとする。
「はい、どうぞ」
ルーキスは書類を書く手をとめてリーリアを見るが、淡々と拒否する。
「はしたないこと、やめましょう、リーリア」
「そう?」
リーリアは少し考えて、こうお願いする。
「私にやってみて」
ルーキスは聞こえなかったかのように書類を書き続けるが、一区切りつくと、ガラスの器に手を伸ばして赤い実をひとつとる。
そしてリーリアの口元にはこぶ。
リーリアはすこし笑いながら、赤い実をついばむ。
「よさ、わかった?」
「いいえ」
「それは残念」
リーリアはルーキスに微笑む。




