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しょまのおまけ  作者: おおらり
未分類の話(しょま)
38/46

みじかい丈のワンピース(ウィロー、ロアン、リア)

 リア12歳、ロアン15歳、ウィロー18歳。


 3人は、リアの新しい服を買いにアズールの市場に着ている。港町らしく、今日は異国からたくさんの品物が入ってくる日のようで、賑わっている。


 リアは「これもかわいいな」「あれもかわいいな」と話をしている。店主に許可をとり、気に入った服を広げてみて「これはどう?」と肩のところで持ち、体にあてるようにして見せてくる。ひらひらっとスカートの裾が揺れる。

 ウィローはすべての服に「かわいいよ」と言い(心の底からの言葉のようだ)、ロアンは(はやく決めてくれ〜)と思いながら「はいはい……」と受け流していた、のだったが。


「これ、すっごくかわいい!」

「た、丈が、短すぎるでしょう 破廉恥な!」

 ロアンは顔を真っ赤にする。

 ワンピースの丈が、膝上くらいの丈なのだ。コルネオーリの文化からしたらありえない長さだ。

(こんなの絶対ウィローもダメっていうに決まっている!!!)


「……」

「……ウィロー?」

 口に手をあてて考え込む主人を、信じられない気持ちでロアンは見る。

「……いいと思う」

「ウィロー!?」


 ロアンはウィローにつめよる。

「何言ってるんですか、短すぎますよ!!」

「たしかに短すぎるけど……でも、リアがあんなふうに、自分の見た目を気にせずに、楽しそうに服を選んでいるのが良いと思ったんだ」

「見た目を気にせず?」

(ウィローは、おかしなことを言う)

 ロアンから見てリアは、それなりに美しい少女であったし、そうであるからウィローは人目を気にしておしゃれをさせないのだとロアンは思っていた。


 けれどいざ、服を買いにきたら……リアが楽しそうなのを見てウィローも楽しんでいる様子なのだ。

(ウィローは、あれはダメこれはダメと言うと思っていたのに……)

 ウィロー説得のあの苦労はなんだったんだ、とロアンは不満にも思ったが……リアの楽しそうな、嬉しそうな様子。それを見るウィローの楽しそうな、幸せそうな横顔を見ていたら、自分だけ仏頂面なことが馬鹿らしく思えてきて、ロアンは自分の機嫌をなおそうとする。


「リア、その服は異国の踊り子の衣装みたいだね」

「え、そうなの? アズールの街で着ていたら、目立つかな」

「そうだね、目立つかもね」

「じゃあ、やめる……あ! これもかわいい」

 

(いやいや、やっぱり、この買い物も長そうだぞ)

 ロアンはまた仏頂面にもどる。こんなことなら、家にいれば、やりたい仕事がたくさんあったのに……と思ったからだ。

(でもふたりきりでアズールの街にだすのは、ウィローがおかしくなりそうで心配だ……いろんな意味でこのふたりに、護衛は必要だから……私がしっかりしないと)

 ロアンは背筋を伸ばすが。リアがきゃいきゃいとしてまだまだ続きそうな買い物に、嘆く。

(でも……はやくおわってくれ〜)


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