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しょまのおまけ  作者: おおらり
一周目
3/46

ハッピーシンシア、その後(いちゃいちゃの攻守交代)


 朝、シンシアが目覚めると、シンシアは昨夜のままの黄色いドレス姿で、なぜかコルネオーリ城のアステルの部屋で寝ていた。


「シンシア、おはよう」


 ……。

 そして、なぜか、アステルはシンシアを押し倒している。アステルも昨夜と同じ服装だ。しかし、薄いグレーの背広は脱いで椅子にかけてあるようだ。アステルが白いシャツの襟に巻いていた青いタイは、ほどけて、襟についているだけだ。


 アステルは白い袖をまくって、シンシアのことを両腕の間に閉じ込めている。


 シンシアは真っ赤になる。


「アス……アステル、殿下? 朝、ですよ?」

「そうだね、朝だね」

「なにかあったのですか?」

「なにも覚えていないの? そう……」

 アステルは目を伏せる。

 そのあと、何か言いたげに、シンシアを見つめた。

 

「アステル?? なにか、怒っていますか???」

「怒っているわけじゃないよ。ただ、ぼくはきみに、いたずらしたい気持ちなだけ。もう一晩中、いたずらしたい気持ちだっただけ」

「あの、朝なんです、殿下……殿下???」


 アステルは、シンシアの口に軽いキスをする。

 シンシアは口を一文字に結んでいる。恥ずかしすぎるからだ。


「アステル、あの、恥ずかしいの。明るいから……」

「明るいところでするキスは、嫌い?」

 アステルは微笑む。


 アステルは、シンシアと両手を繋ぐ。両方、恋人繋ぎにする。アステルは起きあがるとともに、シンシアのことも引き起こす。シンシアはホッとする。がーー

 アステルは、そのままシンシアに、何度もキスをする。長いキス、短いキスーー恋人繋ぎした手に、キスするたびに、ぎゅっと力を込めながら。


 シンシアは、本当に恥ずかしくて、顔をそむける。アステルは、シンシアの頬にキスを落とすと、キスするのをやめる。


 そして、繋いだ手をほどくと、言った。


「これは、仕返しだよ、シンシア」

「え?」 

「ぼくはきみが昨夜、ぼくにしたことをしているだけ」 

「え???」


 記憶になく、ぽかーんとした顔のシンシア。


「きみ、お酒を飲んで酔っ払って、すごく……可愛かったよ」

「よ、酔っ払ったんですか、私!?」

(お酒を飲んだことも、味すら覚えていないのに!?)


「そうそう、こんなこともぼくにしたよ」

 アステルは、シンシアの肩に頭を乗せて、首に擦り寄る。シンシアはもう、耳まで真っ赤だ。


「ほ、ほほほ本当に、そんなことをしたんですか?」


 アステルは、こくりと頷く。


「とにかく、ぼくは、そんな状態から、きみが寝ちゃって。一晩中きみに触りたくて仕方がなかったのに、我慢していたわけ」

(触りたくて仕方なかったのに???)

 アステルがそんなことを言うなんて、珍しい。

 シンシアは頬を染めたまま、そっぽを向く。


「……夜のうちに、触ってくれても、よかったのに」

「ダメ。幸せそうに寝ているきみを、起こせないから」


 アステルは、首を横に振る。

 そのあと、いたずらっぽく笑いかけた。

「でも、もう、起きたよね?」


「だから、ぼくは今から、きみを抱くから」


 シンシアは、朝一、アステルの顔を見上げたときーー(そういうつもりなの? 朝から? どうして? なんで?) と思った。でも話の流れから、アステルはただ、仕返しがしたかっただけなのかなーーとホッとしていたところだったのだが。


「アステル、私、昨夜、そこまではしてないんじゃ……」

「でも、誘った」


 アステルは、シンシアの肩をそっと押して、シンシアをベッドに寝かせる。

 襟の青いタイをとって、捨てる。

 シンシアの白い髪に、それが落ちる。


 シンシアは起きようとする。


「ねえ、朝なの、アステル。さっきからずーっと言ってるのだけど、朝なの。 明るすぎるの! 待って、お願いだからーー私の部屋に行くとかーー」 


「いやだ、遠い」

 アステルは、笑う。


「これも、きみが昨夜言ったことだよ、シンシア」


(昨夜の私は、本当に、何をしてたのー!?)


 もう、お酒は飲まない。飲んだとしても、のまれないようにするーーと、シンシアは、心に誓う。


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