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しょまのおまけ  作者: おおらり
後日談(前章)
23/46

花の植え方(アステル12歳、リア14歳)


 アステルとリアは、陰鬱屋敷の庭で植木鉢に一緒に花を植えている。

 しゃがみこんで、ふたり並んで植えている。


「この花を植えるのって久しぶりだわ。昔、あなたと植えたのよ」

「そうなんだ。ごめんね、ぼく、覚えていなくって」

「いいのよ、アステル。ゆっくり思い出していきましょう」

 

 アステルは基本、見ているだけだ。

 リアの手際の良さをじーっと見つめている。


「あれっ……私としたことが、間違えたかも……」

 リアは、植木鉢に向かい、少し微笑んだ。

「あのとき私は、花の植え方は見ていなかったのね」


 アステルは不思議そうにする。

「じゃあ、何を見てたの? シンシア。

 虫でも見てた?」

「虫! あはは、は……」


 笑うリアの目から、急に涙がこぼれだす。ぽた、ぽたと落ちて地面に円を描く。


 アステルはぎょっとして大慌てだ。


「シンシア、ごめんね! ごめんね!

 ぼくが何か変なことを言ったんだよね、ぼく、がんばるから」

 泣いている女の子をなぐさめた経験のないアステルは、あわてにあわてて、リアの背中を撫でる。

「だから、泣かないで、シンシア」



 その日の夜、アステルは目が覚めてしまって、水を飲もうと下に降りてくる。そして、ロアンの前で涙をこぼしているリアを見かける。

 暗い廊下から覗き見た灯りのついた居間に、ふたりは居る。ロアンはただただ、話を聞いてあげているようだ。リアに向ける、眼差しは優しい。


(ルアンは本当に大人になっちゃった。あんなに小さかったのに)

 アステルは、ふたりに見つからないように、廊下にしゃがみこむ。

(今のぼくじゃ、シンシアの支えにはなれない。でもいずれ、しっかりシンシアを支えられるようにならないといけない。

 だって、婚約者なのだもの)


 アステルはしばしのち、立ち上がり、まだ自分の部屋という感覚のない部屋に向かい、歩き出す。


〈参考〉

しょまのに「ウィローとリアで花を植えている回」

https://ncode.syosetu.com/n7970jb/16

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