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しょまのおまけ  作者: おおらり
二周目
11/46

ロアンとウィローのお茶会(82話の後日談)


 ロアンとウィローは、ふたりでお茶を飲んでいる。


「ウィロー 先日は、嘘をついてごめんなさい」

「嘘?」

 ウィローは目をまるくした。ロアンが嘘をつくというのが想像できないようだ。


「リアが熱がでていると」

「ああ」

 ウィローは合点がいったようだ。

「大丈夫でしたか?」

「大丈夫って、何が?」

「……? いえ、リアが結構怒っていたので。ウィローに『真剣にお嫁さんになりたい』って伝えるって言ってたんですけど」


(ちょっとロアンをからかってみようかな)

とウィローは思う。


「押し倒されたよ」

「は?」

「リアってば情熱的だよね。枕で殴って押し倒してキスしてくるんだ」

「枕で殴っ……? 押し倒……? キ……?」

 状況を想像して、ロアンは思考が停止する。

(枕で殴ったってことは、リアはそれを、ベッドの上でし……たのか?)

「……ウィローに手を出……違……手を出させようとしたってことですか?」

 そうだとしたら、ロアンは怒りがわく。

(何が『真剣にお嫁さんになりたいと伝える』だ!)


「いや、ロアンが思ってるほどの考えはあの子にはないよ。ぼくがキスされたら困るって知ってたから、キスしただけなんじゃないのかな」

「ウィローの困ることをするってわかってたら、嘘に協力なんてしなかったのに……」

 ロアンは悲しそうな顔をする。


「ぼくがわかってたから大丈夫だよ」

「え?」

「いずれ、なにかもう一回ある気がしてたんだ、警戒もしてたんだ。最近おとなしかったから忘れてただけ」

「もう一回?」

 ロアンの頭に疑問符が浮かぶ。


「それで、ウィローは押し倒されてキスされて、リアに手を出したんですか?」

 ロアンは混乱しつつ、聞く。


「手を出してたら、どうする?」

 ウィローはロアンをからかう。

「ど、どうもしませんけど……ちょっとリアには早いかな、とは思いますけど」

 ロアンは顔を赤くして目を背ける。


(ロアンは、さてはテイナとまだ寝てないな)

 真面目なロアンのことだから、結婚するまで寝ないつもりなのかもしれない。『アステル』も人のことは何も言えない。


「……ぼくが可愛いリアに手を出すわけがないじゃん」

 ウィローは両手を顔の横であげて笑ってみせる。

「押し倒されてキスされて1ミリも手を出していないんですか?」

「もちろん」

「はへー ウィローはすごいですね」

 修行中の聖職者かなにかなのだろうか。どちらかというと、正反対に、魔物の疑いがあるのだが。


「リアはテイナに子どもの作り方を聞いたんだって」

 ロアンは飲んでいたお茶を吹き出しそうになる。

「でも、そのあとリアにどう聞いたの?って聞いたら『男女が裸でだきあうことだ』って言うんだ。『じゃあ、さっきの流れで子どもができたらリアはどうするの』って聞いたら『え!? 服着てるから……』ってごにょごにょ言うんだ。可愛すぎるでしょ」

「アホ以外の何者でもないじゃないですか……」

 ロアンは呆れる。


「ぼく、かなり嫌がったんだけどやめてくれなかったんだよ。あやうく、もうちょっとでリアを触りかけるところだった」

「そんだけされてたら、触り返してもよかったのでは?」

「いやいや、ダメだよ。一回触っちゃったら、もっと触りたくなるでしょ。ダメだよ」

 

 お茶を飲むウィローを見ながら、ロアンは首を傾げる。


「ウィローはさっきから、そういう経験がありそうな口ぶりですけど、私、ずっとウィローと一緒でしたし、でも恋人がいたそぶりなんて……いつそんなことがあったんだろう? って思うんですよね」


「ぼくの知らないきみがいるみたいに、きみの知らないぼくだっているよ」

 ウィローはロアンにそう言って、微笑んだ。

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