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第10話 『再戦』

 


 俺はベットの上で目が覚めた。

 そうだダンジョンだ。戻ってきた。窓のない石造りの部屋がそう実感させる


 伸びをして体を完全に目覚めさせようとしているとボレロが入ってきた。


「シャト君帰ってきていきなりで申し訳ありませんが仕事です、冒険者達が来ましたよ。」


 もう来たのか早いな…いや本来は昨日来るはずだったんだ。

 そう思うとなんだか申し訳ないな、せっかくダンジョンを一緒に攻略しようって決まったのにタイタントスネークに俺が飲み込まれてきっと死んだと思っているだろう。

 それでパーティの士気が下がってないといいけど


「第二階層でいいですかね?」

 だが仕事は仕事だ、ここに戻ってきた以上。

 そういったものは切り捨てなければ…。


「ええ、前回の働きぶりから安心して任せられますよ、また見つからないでくださいね?」

 相変わらず不敵な笑みを浮かべている。


「はは、からかわないでくださいよ」

 そう流しつつ俺は持ち場に急いだ。


 道中、ミーミルとリアに出くわした。

 すれ違いざまにミーミルは手を振ってくれたがリアは何か言いたそうな顔をした後そっぽを向いてしまった。


 すれ違ったあとミーミルがリアになにやら注意をしていたような気がするが…そんなことより俺は彼女に嫌われているのだろうか。

 まぁ早々に失態を犯してしまうような先輩の下では不安だよな。でもどうか許して欲しいぜ。


 リアの見た目は完全に人間だがやはり魔族なのだろうか…。まぁ聞いても教えてくれなさそうだし失った俺の株を上げて話してくれるまで待つか。

 そして第二階層管理室に到着し扉を開ける。


 そこにはチムデビル達がチムチム話し合っていた。そんな中あの時のチムデビルが俺を見た瞬間泣きながら飛びついてきた。

「…!チムゥゥゥゥゥ…。」

 まるで自分のせいでと言わんばかりに、まぁ確かに半分くらいはこいつが悪いのだが…こう泣かれる程なら不問にせざるを得ない。よかったな見た目が可愛くて、ゴブリンみたいな見た目だったら一発ぶっ飛ばしていたかもしれない。

 そんな冗談は置いといて俺は足にしがみついているチムデビルを持ち上げ話しかける。


「みんな久しぶり!まぁまぁ驚く気持ちも分かるけど俺は死んでない、前回は半分失敗したけど今回は絶対に成功させるつもりでいる。

 そのためには君たちの力が必要だ、手を貸してくれるかい?」

 最初はざわざわしていたが一匹のチムデビルが声を上げると続けてチムデビル達は歓声をあげた。

 そう今回は四匹ではなくチムデビルの隊を預かっている。

 前回は五分の四がミーミルの指揮のもと動いていたが今回は全て俺の指揮だ。

 出来れば全員無事で終わりたい。


 今回の仕事内容はこうだ。

 前回に引き続き、冒険者達の成長が目的だが前回みたく撤退させるのではなくボスまで辿り着かせること。

 そう俺が居ない間にボスであるタイタントスネークが成長したのだ。

 俺を手荒に迎えに来てくれた個体でもある。

 前見た時は普通の蛇サイズだったような気がするがダンジョンの環境は少々特殊らしい。

 まぁあのデカさまで普通に待ってたらダンジョンの仕事は数十年に一回くらいだろうからな。

 話が逸れてしまった。

 簡単に言うと今回はいい感じに疲弊させて、次の階層に進ませる。

 前回と同じように思えるが前より難しい。

 前回は撤退させることが目的なのでパワーでゴリ押し、撤退させるまで徹底抗戦で良かったのだが今回は弱すぎても強すぎてもいけない。

 うーむどうしたものか、かといって犠牲は出したくない。

 俺は思考をぐるぐる巡らせて色々考えた。

 よし、これでいこう。

 数分思考を巡らせた後、俺はチムデビル達に作戦を伝えた。


 前回は擬似五匹行動というイレギュラーをやったが今回は普通に四匹行動だ。

 普通にやれば冒険者達も普通に第三層へ行ってくれるだろう。

 ただ犠牲は出したくない。

 ミーミルは多少の犠牲は仕方ない、時には全滅もありえるといっていたがそんな事にはなりたくない。

 完全なる俺のエゴだ。


 ということで主に三部隊を戦場に立たせ、残りの二部隊を救助という名の待機組とした。

 そうすれば前回みたいに気絶したチムデビルを俺が助けに行こうとしなくて済むはずだ。

 待機組は救助に行くまで暇なので俺のサポートをさせることにした。

 前線の三部隊もただがむしゃらに特攻させるのではなく前衛、中衛、後衛に分けて配置している。

 ただ彼らにその概念は無いので思う通りに動いてくれるかは分からないが…。その時はその時だ。


 各々が配置に着いたあと、通信パイプから声が聞こえてきた。

「あー、あー、ミーミルだよー。

 こっちは大体準備おっけー!」


「こっちも大丈夫です。チムデビル達を二つに分けたので前線が三部隊だけですけど大丈夫ですかね」


「あ!またなんか変なことやろうとしてるでしょ。

 前回のこと聞いた時にびっくりしちゃったよー

 あ、もちろんいい意味でね。

 だから今回はシャトにチムデビルを任せてるってのもあるけどそんな事はいっか、

 三部隊でも大丈夫だと思うよ、残りの二部隊に何をさせる気か知らないけど冒険者達を帰らせちゃったら怒るよー」


「あははは…だ、大丈夫ですよ。今回は普通にやるので…はは」

 マジか、前回の作戦はチムデビル達しか知らないはず、しかも俺のチームのやつらしか。

 アビゲイルが見てたのかな?それとも警備員か?


「ま、期待してるよー」

 そう言ってパイプの蓋が閉じた。

 ふぅ、まぁ期待もされてるし怒られないようにがんばりますか!


 さてと冒険者達は今どこらへんかな…。

 壁に手を付き目を瞑って索敵を始める。

 暗い頭の中に景色が見えてくる。

 二階層…にはまだ来てないな騒がしくなかったし、

 ってことは一階層か…一階層は罠しか無いはずだけど何か新しく追加したのかな。

 そう思って索敵の視点を動かす。

 二階層の廊下を抜け一階層への階段を登る。


 うわっ!


 思わず壁から手を離し目を開けてしまった。

 ちょうど降りてくる彼らに出くわしたのだ。

 出くわしたと言っても相手からこちらは見えないが。

 もうそこまで来てたのか、一瞬なにやら会話をしているように見えたが声までは聞こえない。


 よし、行くか。

 そう思い待機組を引き連れ監視通路へと足を進める。

 戦闘はもう始まっていた。

 今のところは大丈夫そうだ。

 後衛からとんでくるカメルの適切な遠距離魔法に少し苦戦しているようだがダンプやトリルから一撃喰らわなければ沈むことは無い。


 俺も罠を作動させチムデビルを援護する。

 前の時はなんとも思わなかったが良くしてもらったからかちょっと心苦しいな…。

 っていかんいかん。

 仕事に私情を挟んではつとまらない。

 俺のサポートもあってか待機組は今のところ出番は無い。

 暇そうに監視通路から他のチームの戦闘を見ている。

 まるで危機感が無いな…全く。

 待機組の中には前の俺のチームが全員いる。

 なんで前線じゃないんだという態度をしていたが

 すまないな、俺は前回お前たちの指揮をしているのもあって少しばかり思い入れがある。

 前線に突っ込んで簡単に死んで欲しくないのだ。

 もちろんそれは他のチムデビル達も同じだが。


 まぁいい余裕そうなら安心だ。

 それより引き際をどうするか…第二階層はほかの階層と比べてとても狭い。ほぼ一直線と言ってもいいだろう。高さはそれなりにあるが…。

 うーん…。

 そんなことを考えていると重い一撃がチムデビルを襲うのが見えた。


 なっ!罠は作動させてたはず…何故。

 そう思いダンプたちをよく見てみる。

 するとムーが手に草のようなものをもって罠がある位置にそれをねじ込んでいた。


 失念していた…。機械草(マシンリーフ)だ。

 なんで忘れてたんだ、買うところに立ち会ってただろ…。

 後悔は後だ、急いで待機組に指示を送り負傷したチムデビル達の回収に向かわせた。

 二チームいる理由は片方が回収、片方が殿をするためだ。

 罠が発動できない以上チム達に頼るしかない。


 ダンプ達は急にチムデビルの数が増えたことに驚いており、無事回収は終わった。


 機械草は確か一束しか買ってなかったよな、いや束になってるから一回きりとは限らないか。

 仮に一回きりならまだ下があるのにここで使うのは懸命な判断とは言えない。

 とはいえ罠も機能しなくなったしそろそろ引き際か。

 俺は戻ってきたチムデビル達に三階層へ撤退しながら冒険者たちと戦ってくれと伝え、管理室に戻りミーミルに冒険者が三階層へ行ったことを伝えた。

 どうやらチムデビル達はうまくやってくれたらしい。救助を行った一チーム以外は全員帰ってきた。 数匹負傷したものの…。いやダンプの一撃は…。

 た、多分大丈夫だろう。


 大体三十分弱といったところだろうか。

 短すぎたか?いや今回時間は指定されていない、それに罠も作動できなくなったんじゃ俺の仕事は終わったも当然だ。

 まぁ罠が使えないならチムデビル達を死ぬまで戦わせろなんて言われたらおしまいだが…。

 後は三層のミーミルに任せよう。


 そういや今回ミーミル以外の人はどこの配置なのだろうか、前回二階層分立ち回っていたアビゲイルが四層、五層…ボスフロアがボレロかな?

 いや社長は事務所にいてアビゲイルが四層と五層の二階層分を担当しているのかもしれない。

 リアは…ミーミルと一緒かな?

 すれ違った時に二人でいたし。


 それにしても暇だな、さっきまでの戦闘が嘘みたいだ。

 チムデビル達には機械草の除去にあたってもらっている。

 暇だから俺もそれをやりたかったんだが、もしダンプ達が戻ってきて鉢合ってしまったらとんでもないことになると思ったからやめた。


 除去作業にあたっていないチムデビルたちと戯れているとパイプの蓋が開いた。


「シャトー、三階層で冒険者達が休憩を始めてしばらく動かなそうだからこっちにきてもいいよー」


 どうやらダンプ達は先の戦闘で思ったより疲弊したらしい。


 俺が管理室を後にしようとすると一匹のチムデビルが俺の足元にちょこちょことついてきた。

 俺が冒険者に見つかった元凶デビルだ。

 まぁ誰よりも俺の心配をしていたみたいだし可愛いものだ。

 ひょいと持ち上げ肩に乗せたあと、管理室を後にした。

 残りのチムデビル達には二階層の監視を命じた。


 監視通路を渡り、階段を降りる。

 監視通路はこちら側から向こうは見えるが、向こうからこちらは見えないという不思議な魔法がかけられている。

 マジックミラーみたいだ。

 ただ、実際に穴が空いているところもあり、そこからチムデビルたちが行き来している。

 ほぼチムデビル専用みたいな大きさなので冒険者達が入ってくることは無い。

 そこをぶっ壊されたら終わりだがダンジョンの壁は異様に硬い。

 まぁ簡単に壊れたらあれだもんな…。

 でも最強の名を冠する厨二連中はダンジョンぶっ壊せるんだもんな、なんちゅー強さだよ。

 そんなことを色々思いながら薄暗い道を通り、さらに階段を降りる。

 まだ知らない通路はたくさんあるが主要な通路は大体覚えた…が、四層五層はまだ怪しい。

 俺たちの部屋がある六層からそれぞれの層に直通で行けるため用がない限り行くことはないのだ。

 そして三層の管理室の前にたどり着き、扉を叩く。

 どうぞーと声が聞こえたので失礼しますと一礼して部屋に入る。


 そこにはミーミルとリアがいた。

 ミーミルは普通な様子だったがリアはバツが悪そうな顔をしている。

 昨日まであんなに挑発的な態度だったのに一体どうしたというんだろう。

 悪魔に憑かれたか…?なーんてね。


 そんなことを思ったがミーミルが話しかけてきたので会話する。


 犠牲ゼロは凄いとか、隊を分けたのはそのためかとか主に先程のことについて色々話した。

 リアは何かずっと言いたそうにしている。

 ちょっと本当に怖い、あまりにも昨日と態度が違いすぎて怖い。

 俺は勇気をだして話しかけてみることにした。


「リアはもうここになれましたか?」


 リアは驚いた顔をしたあと少しづつ話し始めた。

「うん…あ、はい。なれました。」


 わお、何があったんだ本当にミーミルにそんなにキツく怒られたのかな。

 最初は生意気くらいが元気があって丁度いいと思っていたが心配なってきた。

 チラッとミーミルの方を見るとにっこり笑っていた。

 あれが調教の成果と言わんばかりに…。


 リアとの会話はその一言だけで終わった。

 もっとなにか言った方が良かっただろうか、いや彼女もあまり話したく無さそうにしていたし、そしてまたミーミルの方をみると困ったような顔をしてリアの方を見ていた。

 この様子だと調教ではないか、流石にな。

 自分の冗談に自分で笑う。

 だが何かしら事情があるのだろう、やはり待った方がいいな。


 そう思っているとパイプの蓋が開いた。


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