第91話 セクハラに暴言
翌週末、今日も同じ会議室で2回目のプレゼンを行う
具体的にどのお菓子とコラボするのか
過去にコラボしたアイドルたちのときは、どれだけ売上が伸びて、
今回のコラボはそれと比較してどれだけの効果が見込めるのか
そんな話を補足する予定だ
会議開始前になると、続々と人が集まってきて、
今日もあの人は開始ギリギリ、社長よりも遅く入室した
目は合わせられない
見たくもなかった
「それでは始めさせていただきます!」
課長が話し出す
オレとのんちゃんは窓際の椅子に座っていた
発表は15分ほど、質疑応答で40分ほど
1時間くらいで会議は終わった
「結木くん、ちょっといいかな?」
「はい!社長!」
課長は社長に呼ばれて部屋を出て行く
「片付けて戻ろっか」
「うん」
のんちゃんに話しかけられて、片付けはじめる
そこに
「お疲れさん、シンジン」
「あ、、、お、つかれさまです、、」
あの人が話しかけてきた
部屋には3人しかいない
「はきはきしゃべれ、はきはき
これだからシンジンは」
「す、すみません、、」
「なんで、おまえが発表しないんだ?
こういうのは発案者がやるもんだろ?
資料には一丁前に名前書いてあるじゃないか」
ピラピラと今日の資料を見せながら、そんなことを言ってくる
「それは、、」
「まぁ!この前のような情けない発表するやつには任せられんか!
ははは!
いつまでも新人気分でいいよなー!おい!」
「、、、」
「あの、新井は新人じゃありません
3年目ですし、うちの部署では彼が私たちを引っ張ってくれています」
「あぁ?なんだ?おまえは?」
「鈴村と言います
Kanonとして活動している」
「あぁ、おまえがVTuberだかなんだか訳分からんヤツの中身か
はっ!よくわからんオタク文化を持ち出しおって」
「結果は出ています
それにこれは社長が認めた企画です」
「、、おまえ、何年目だ?」
「はい?2年目ですけど」
「たった2年で偉そうに部長に意見するな!!」
やつが突然大きな声を出す
「っ!?な、なんですか急に、、」
のんちゃんは驚いて、怯えていた
「はは、女の分際で俺に意見するからだ
わきまえろ」
「おんな、、セクハラですよ?」
「最近の女は、セクハラセクハラとうるさいやつらだ
バカ女どもが」
「なっ!?」
「イヤな世の中になっちまったなぁ
もう行くわ
それじゃあな、シンジン、しっかり働けよー」
そして、あいつは部屋を出ていった
「なんやアイツ、ムカつく
おんなおんなって、完全にセクハラやろ
それにバカ女って、うちが言われたみたいな感じやったし
あームカつく!
ねぇ?あっくん」
「、、、」
「あっくん?大丈夫?」
「え?、、うん、、」
「大丈夫やなさそう、座ってて?」
「うん、、ごめん、、」
オレはあの人が話し出すと力が抜けていくようだった
のんちゃんに甘えて座り込む
「ふぅ、、」
地面と自分の足を眺める
こんなんじゃダメだ、克服しないと
オレがしっかりしないとダメなんだ
オレの企画だ
負けるな、負けたくない、あんなやつなんだっていうんだ
「、、、」
「あっくん、あっくん、歩ける?」
「え?うん、、」
のんちゃんがノートパソコンを持って話しかけてきた
片付けは終わったようだ
「ごめんね、、」
「ううん、いこ?」
「うん、、」
2回目のプレゼンは無事?
終わった
課長に後で聞いたところ、社長の反応は上々で、コラボが現実味を帯びてきたとのことだった
最後、もう一度プレゼンして、上層部の過半数以上の同意が得られたら本格的に動き出すそうだ
「やったね!新井くん!」
「はい、そうですね、、はは、、」
「、、んー、まだ元気出ないよな
力になってあげれなくてごめんよ、、」
「いえ、オレが克服すればいいだけの話なので、、」
「んー、これは管理側の問題だから、新井くんが責任感じることじゃないんだけどな、、」
「あの、課長、この後少しいいですか?」
「もちろんいいよ、Kanonちゃんからなんて珍しいね?
なにかな?」
「いえ、仕事の後、飲みに行きませんか?」
「おぉ、こりゃまた珍しい提案だ
新井くんも行くかい?」
「え?えーっと、、」
「いえ、女同士で飲みましょ」
「そうかい?ごめんね、新井くん、Kanonちゃんのリクエストならしょうがない
また別の機会にパーっと飲もうよ」
「はは、そうですね、、」
2人はこの後飲みに行くようだ
定時になったら一緒に会社を出て駅前で2人と別れる
「それでは、お疲れ様です、、」
「おつかれー!週末はしっかり休むんだぞー!」
「おつかれ〜」
のんちゃんと課長に見送られて、オレは改札をくぐった
「あっくん、元気になりませんね
それどころか、どんどん弱っていってるように見えます」
「そうだね、心配だ」
「今日は、その件で、あとその原因を作ってる人のことについて話させて下さい
個室の居酒屋を予約したので」
「なるほど、やっぱそのことか
わかった、私もどうにかしたいと思って動いてたんだ」
「ありがとうございます」
「ははは、私は2人の上司だしね
愛する部下を守るのが私の仕事だ」
「いつもそんな風に頼りになる感じなら、かっこええのに」
「なんだい、Kanonちゃんは厳しいなぁ
ま、とりあえずお店いこうか」
「そうですね、いきましょう」
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