第85話 3人からの告白:甘梨あめだまの場合(前編)
「そろそろ、こととひま先輩と話したっすか?」
「う、うん、なんでわかったの?」
「なんとなくっすよ、ひま先輩は気持ちの整理に1週間くらいかかりそうですし、
ことのやつはちゃっかり翌日にでも会いに行ったんじゃないすか?」
「、、、」
恐ろしいほど当たっている、こいつ、実は2人に聞いただけなんじゃないだろうか
ひまちゃんと仲直り?デートした翌日の夜、自宅でまったりしていたら、あめちゃんから電話がかかってきていた
「その反応、当たりっぽいっすね?」
「心読むのやめてもろて、、」
「ま、そんなことはどうでもいいんすよ」
「そ、そんなことって、、」
オレにとっては一大事だったんだが
「じゃ、とりはこのあめだま様っすね
今度の土曜空いてます?」
「空いてるけど、、とりって?」
「だから、最後にわたしで2人の記憶を上塗りしてやるってことっす」
「言い方、、」
「だってこれは勝負なんすよ?」
「う〜ん、、」
勝負と言われてもピンとこない
オレがちゃんと誰かを選べれば、、
「じゃ、暇人のあらあらパイセンは土曜日1日開けといてくださいっす〜」
「まぁ、わかったけど、暇人のあめちゃん様
なにするの?」
「それは当日のお楽しみっす
あと、あんまり舐めてると痛い目みますよ?」
「、、べつにこわくないし、、」
「へ〜?」
「お、お手柔らかに、、」
「はい、ざ〜こ、ちゃんとわかってるじゃないすか
それじゃ、土曜日に、集合場所はラインするっす」
プツ
「、、、クソガキ、、」
今日もクソガキは絶好調であった
あめちゃんに関しては、正直あんまり気まずくはない
なぜなら、あの騒動を起こした張本人と言ってもいいし、
以前から、待ってあげる、なんて言われてその言葉に甘えてる面もあるからだ
でも、ほんとは、それもよくないよなぁ、、
わかってはいたが、改めて認識する
いつまでも、あめちゃんに甘えてるのはよくない
、、しかし、どうすることもできず、
クローゼットを開けて、土曜日に着ていく服のことを考え出した
まぁ、現実逃避だよね
・
・
・
土曜日、駅前
集合時間の10時まであと20分くらいある
少し早すぎただろうか
オレは今日もマネキンが着ていた服を一式真似した服装で、あめちゃんを待ち構えていた
今日もやつの思い通りにはならないぞー、と気合を入れる
そうしないと翻弄されっぱなしになるからだ
ふんす!と心の中で気合を入れてしばらく改札の前で待っていると、改札からあめちゃんらしき少女が歩いてくるのが見えた
美少女だからというのもあるが、服装もあいまって、周りの男性の目線を集めていた
め、目立つ、、あれだな、、
案の定、その目立つ少女はオレの前に歩いてきて
「ちゅぱっ、、
こんちはっす、パーイセン♪」
あめちゃんがチュッパチャプスをとりながら話かけてきた
「んー、、アイドルかな?」
「はい?まー、そうですけど」
「いや、服装が」
あめちゃんは、いわゆるアイドル衣装というか、派手な制服というか、あれだ
乃木坂とか欅坂みたいな服でオレの前に立っていた
「あー、これすか?
かわいくないすか?この前、原宿で買ったんです」
ヒラヒラとスカートを持ち上げながら、オレの方を見てくる
「、、スカートもつのやめなさい、はしたない」
「あー、パイセンには刺激が強かったっすね?
はいはい、ごめんなさいっす」
まったくごめんなさいって顔じゃない
ニヤついている
「でも」
「なんすか?」
「すごく似合ってる、可愛いよ」
「、、、ふん」
「赤くなった」
「なんすか?大好きな人に褒められて照れたらダメなんすか?」
赤い顔でむーっとこっちを見てくる
「そ、それは、反則では、、」
照れさせようとしたら、より強い反撃が返ってきた
唐突に大好きとか言わないでほしい
「べー!あらあらパイセンのクセにキメ顔でキザなこというからっす!」
「あめちゃんがはじめた戦いだよ?」
「なら継続っす、わたしたちの戦いはこれからっす」
「打ち切りかな?」
「もー、アホな会話はやめて行きますよ」
「あいあい、ところで今日はどこに?」
「とりあえずカラオケに行くっす」
「カラオケ、なるほど」
2人で密室に入るのか、少し緊張する
「2人っきりのカラオケははじめてっすね♪」
「、、そうだね」
「密室ですね♪」
「まぁ、そうだろうね」
「、、緊張してるくせに、、」
「あめちゃんこそ」
「、、、」
「、、、」
しばし睨み合う
「、、この近くにカラオケ全機種歌えるお店があるんすよ」
「へ、へー」
あめちゃんの方から話題を変えてきた
決着はまだつけないようだ
「それって、DAMもJOYも同じ部屋で歌えるってこと?」
「そうっすそうっす、あっちです」
スマホを見ながら指をさす
「じゃあ行こっか」
あめちゃんが指差す方をみて、歩き出そうと声をかけた
「そうしましょー」
ぎゅ
「、、なにしてるの?」
「腕組んでるっす」
右側を見ると、あめちゃんがオレの右腕に抱きついていた
「、、、」
「ドキドキしてください、たくさん」
言われなくてもしていた
「や、」
「言っておきますけど、やめる気はないっす」
先回りされてしまった
「、、じゃあ、いこっか」
「はい♪」
オレに拒絶されないことが嬉しいのか
ニコッと笑う
その笑顔を見て、予想が当たっているのではと錯覚する
いや、錯覚じゃないのか?
気持ちを落ち着かせるために歩き出すことにした
、、しまった、歩くとあめちゃんのご立派な双丘がふにふにと腕に当たる
落ち着け、落ち着け、オレ
「今日はたくさんアピールするっす」
目を閉じたら話しかけられた
「え?、ふ、ふむ、、」
「余裕なくなってきたっす?」
「ま、まだまだ、、」
「じゃあ、もっと頑張ります♪」
お手柔らかに、、心の中でそう呟いて、オレたちはカラオケに向かって歩いていった
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