表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/167

第83話 3人からの告白:花咲ひまわりの場合(前編)

金曜日


オレはなんとか出社し、今週も仕事をやり遂げた


月曜日にずる休みした反動で、次の日も休みたいって気持ちがあったが、

こと様に励ましてもらった手前、行かずにはいられなかった


「ふぅ、、疲れた、、」


自宅に帰ってきて、そう呟く

夕食は帰り際に済ませてきたので、すぐにシャワーを浴びることにした


シャワーから出て、部屋着に着替えてパソコンをつけながらスマホを見ると、

ひまちゃんからメッセージが来ていた


「、、、ごくり」


先週末、ディメコネ本社でライブをしてもらってから、はじめての連絡だ


オレからは、優柔不断でごめんなさい、みたいな文章を送ろうと思ったが、なんか違うと思って結局送れていなかった


緊張しながらメッセを開く


やっほ、元気してる?

ちょっと気まずくって連絡遅くなってごめんね?

明日ってあいてるかな?

会いたいな


「、、、」


怒られるかと覚悟していた

結婚するならひまちゃんしか考えれない、なんて叫んでおいて、

3人に迫られて即答できないオレのことを怒るんじゃないかって、そう思っていた


こちらこそ、連絡してなくてごめんね

正直、ひまちゃんになんて声をかければいいかわからなくて、、

でも、もちろん、ひまちゃんが会ってくれるならオレも会いたい

明日、何時でも大丈夫です


そう返信して、何度かやり取りする

そして、翌日の土曜日にひまちゃんと会うことになった



翌日、10:45、若草公園


「あ!あらとさーん!こっちこっち!」


公園についてからキョロキョロしていると、ブランコに座っているひまちゃんを見つけて駆け寄った


「待たせてごめん!早めに来たつもりだったんだけど!」


待ち合わせは11時だ

15分早めにきたのだが、ひまちゃんはすでに到着していた


「ううん!今日は打合せが早く終わったからたまたま早く来れたの!

そっち、座ってくれる?」


「うん」


指差された隣のブランコに腰掛ける

ひまちゃんは、ブランコの鎖を両手で握って、キコキコ前後に揺れていた


「あらとさん、元気になった?

この前、ずっと顔色悪かったけど」


「う、うん、、一応」


「そっか!なら良かった!」


笑顔のひまちゃんに申し訳なさが込み上げてきて、

どうしようもなくなり、立ち上がる


ひまちゃんの前に立って頭を下げた


「ご!ごめん!」


「?なにが?」


「あの!あんな!結婚とか言ってたくせに!

ひまちゃんだけだって!言えなくて!」


「ん〜、、それなんだけど、ひまも考えたんだ〜

あ、座ってて大丈夫だよ?」


「え?うん、、」


また座るよう促されてブランコに戻り、横目でひまちゃんを見る

さっきと同じように前後に揺れていた


「ひま、考えたんだけど、

あらとさんが揺れてるのって、ひまがすぐに答えなかったからかな〜って」


「いや!そんな!」


「待って、聞いて?」


「うん、、」


「あのとき、ひまが勘違いしてすごい怒ったから、

あらとさんは必死に気持ちを伝えてくれたのに、

ひまは待っててって曖昧な返事をしたな〜って

そんな、キープ、みたいな酷いことしてたから、他の子に気を取られてもしょうがないかなって

おもったんだぁ〜」


「そんな、、オレが、、わるいよ、、」


「ううん、あらとさんだけじゃないよ、ひまもだよ」


「ち、ちがうよ、、」


「ううん、あのとき、ひまもすきー!って言ってれば良かったことなんだもん」


「、、、」


「でもね、やっぱり、ひまはあらとさんのこと、好きなんだぁ〜」


「あ、、、」


はじめて言われた、ひまちゃんの口から

ちゃんと好きだって、、


すごく、嬉しくて、泣きそうになる


「だからね、あめちゃんも、ことちゃんも、すっごく可愛くて、すっごいライバルだけど、負けたくないなぁ〜って

ずっと考えてたんだぁ〜

あらとさんはひまのこと、まだ好き?」


「う、うん、、大好き」


「あめちゃんやことちゃんのことも?」


「そ、そう、です、、」


「最推しは?」


今もひまなの?そういう質問だ


「そ、、れは、、」


5周年ライブに、オレはひまちゃんのTシャツを着ていかなかった

5周年ライブグッズのみんなの名前が入ったTシャツを着ていった

つまり、決めれなかったんだ、最推しを


「、、、」


「そっか、いつの間にか、とられちゃってたんだ」


「今でも!花守りなのは変わらないよ!」


「うん、ありがと」


キコキコ

短く答えて、ひまちゃんはブランコに座ったまま、前後に揺れる

その感情は読み取れない、無表情だ


「よし!」


ガチャ


ひまちゃんが勢いよく立ち上がった

そして、オレの方を向き、腰に手を当てて指をオレに向ける


「また、ひまのこと最推しにさせちゃうんだから!」


「え、、」


「前みたいに!ひまのことばっか考えちゃうあらとさんにしてあげる!

覚悟してね!」


「えっと、、」


「ぷー!なにー!その反応!

もうならないってことなのー!」


「え!?そんなことないけど!

えっと、、怒らないのかな、って、、」


「怒らないよ!怒るとしたらひま自信に!だよ!

だって!キープくんしてたんだもん!

ひまも悪いもん!」


「キープくん、、また古い言い回しを、、」


「あー!ひまのことBBAだって言いたいのー!」


「いやいや!違う違う!聞きなれないこと言ってたから!つい!」


「ぷー!あらとさん最近遠慮ないよね!」


「ご!ごめん!」


「うふふ、、ううん、いいんだ、いいんだよ

ひまも遠慮なく接してくれた方が嬉しい

だって、それって、リスナーと配信者じゃなくて、

恋人になれたら、そういう関係になるってことでしょ?」


「え、、っと、、」


「あははー!ひまもわかんないけどね!

そうなのかなー!って!

なにか言ってよぉー!」


「お、オレも、、わかんなくて、、」


「そっかそっか!

じゃ!2人で考えてこ!これからのこと!」


「、、いいのかな、、」


「なにが?」


「ハッキリしなくて、、」


「ん〜、なんか、いまあらとさんを追いつめても、いなくなっちゃう気がするだもん

追いつめて欲しいの?」


「い、いいえ、、してほしくないです、、」


「だよね?」


たまに見せる鋭いひまちゃんが影を見せる

ちょっと怖い、、


「だからね、これからもーっとアピールして!

またひまを最推しにしちゃえー!って!

そう思ったの!

どうかな!?」


「ど、どうと言われましても、、」


「ふーん!あらとさんなんてひまにかかれば、ちょちょいのちょいでメロメロなんだから!」


「、、、」


「またBBAって思った?」


「オモッテナイヨ」


「むー、その顔ーなにかいいたげだなー

ふふ」


「はは」


「ふふふ!」

「あはは!」


「なんだかおかしいね!」

「そうだね!」


やっと笑うことができた


「ねぇ、やっぱり、ひまはあらとさんとこうやって笑ってたいな

楽しいなーって、嬉しいなーって、気持ち、一緒に感じたい」


「うん、オレも

ひまちゃんとの時間は本当に幸せで、オレには勿体無いって思ったりもしたけど、

今はその時間を大切にしたい」


「そっか、なら、ひまに告白したら、ずーっと一緒にいてあげるよ!」


「それは、、」


「ううん!すぐじゃなくていいから!

でも!すぐ夢中にさせちゃうんだから!」


「うん、、」


オレはすでにその少女に夢中だった

でも、彼女に並ぶ子たちと出会ってしまった


そんな中途半端なオレをもっと夢中にさせるって、言ってくれる

申し訳なくて、でも、すごく嬉しかった


「それじゃまずはその第一歩として!

今日はたくさん遊ぶぞー!」


「え、どこか行くの?」


「ん〜、とりあえず服見に行こー!」


「わ、わかった!お供します!」


「うむ!ついてまいれー!」


「ゴーゴー!」

そんな掛け声を言いながら、大きく腕を振ってひまちゃんが歩き出す


オレはその背中を追って、すぐに横に並んだ

ひまちゃんは楽しそうにしているが、ぜんぜん前を見ていない

勢いだけで突き進む


「ひまちゃん!ちゃんと前見て!」


「え?きゃっ!?」


街灯にぶつかりそうになる ひまちゃんの腕を掴んでこちらに引き寄せる


「あ、ありがと、、」


体制を崩したひまちゃんが、オレの胸に手をつく形になった

お互いの顔が近づいてドギマギする


「あはは、、あのときは事故だったね、、」


「え?」


ちゅっ


「、、、」


ひまちゃんにキスされた

唇があたったまま、目がばっちりと合う


「ん、、」


少し離れたひまちゃんの頬は赤くて、

でも、すぐに

ニヒヒ

といたずらっぽい笑顔を見せてくれる


「今度は事故じゃないよ?」


「あ、、」


オレはひまちゃんの腕を離す

力が入らなかった


「ファーストキスのやり直しだー!」


「あの、、」


「事故でひまのファーストキスを奪うなー!」


「えっと、、」


「ほら!いくよー!!」


手を握られ引っ張られる


しばらく、何も言えぬまま、足を動かすことしかできなかった

「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません!

ぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ