第80話 なぞのモテ期
月曜日
オレは会社を休んで自室の天井を眺めていた
そう、ずる休みだ
課長に体調が悪いので、と電話したとき罪悪感はあった
でも、どうにも身体が重いし、頭も回らない
こんな状態で仕事に行ってもなにもできないな、と思った
休んだ理由はもちろん昨日のことが原因だ
昨日、のんちゃんと一緒にディメコネの5周年ライブに行った
最高の時間だった
それで、満足して家に帰ろうとしたら、ひまちゃんに呼び出されて、
ディメコネ本社でソロライブをオレだけのためにしてくれて
それで、イイ感じになったと思ったら
あめちゃんとこと様に乱入された
あめちゃんは前から好きだって言ってくれてたけど
こと様には初めて言われた
好きです、って
男性として好きです、って
「、、、
そんな、、こと様が、、」
オレは3人の女性に好意を寄せられている今の状態に混乱していた
しかも、その3人がみんな憧れのVTuberで、一生関わりがないと思っていた天の上の人たちだ
毎日のようにその人たちの配信を見てるし、みんな大好きだ
もちろん、VTuberとしての姿だけでなく、
中の人たちと現実世界で交流して、みんなリアルでも魅力的だと思っている
ひまちゃんは、VTuberそのままの中身の人で、天真爛漫で明るくて、一緒にいると元気をもらえる
なにより、オレが潰れそうになってたときに救ってくれた女神だ
ひまちゃんが泣いてるとこなんて見たくない
幸せになってほしい
あめちゃんは、見た目すらVTuberのモデルとそっくりな生意気なクソガキだ
でも、そのクソガキっぷりが面白いし、可愛いし、からかわれても全然イヤな気持ちにならない
なんなら、からかいあって笑って、すごく楽しい子だ
こと様は、すごく真面目な子で、毎朝、学生なのに朝配信をしている
その朝配信を毎日見て、こと様のいってらっしゃいって言葉をもらって会社に出掛ける
こと様のおかげで今日も頑張ろうって思える
真面目すぎて少しずつ暴走することもあるけど、それも彼女の長所だと思う
オレのことを頼りにしてくれるのがすごく嬉しい
「、、、」
はぁ、、最低だな、オレ、、
あんなに良い子たちを、、
、、なんでこんなことに、、
思い当たらないことが全くない、と言えば嘘になる
ひまちゃんの場合、VTuberをやめるかどうかってときにたまたま出会って、
トークイベントのときに、ひまちゃんに救われたことを伝えて、目の前で泣いて、
そのあと、酔っ払いに絡まれてるひまちゃんを助けた
まぁ、助けたっていっても、いかつい兄ちゃんの目の前に出ていって、殴られて気絶しただけだけど
とにかく、そんな衝撃的な出会いをしてから、何度もやり取りをして、
それでひまちゃんが引退するかもってときに、オレの手紙で引退を思い止まってくれたんだ
オレとしては本当にひまちゃんのことを考えて、ツライならVTuber辞めてもいいんだよって伝えたけど、それが逆に辞めないきっかけになったようだった
「ひまちゃん、、オレのこと、ヒーローって言ってたな、、」
ぜんぜん、そんなんじゃないのに、、
あめちゃんはあれかな
顔バレ炎上がきっかけなんだろうか
彼女はあのとき、自分のことをブスだって思っていた
全然そんなことなくて、すごく可愛いのにだ
原因は、昔太ってたことで男の子たちにデブだブスだとからからわれたからだった
でも、今は痩せてて、とても可愛くて、キミは可愛いんだって伝えた
それで泣いちゃって、本音を話してくれて、自分が可愛いって認めさせた
だから、そんな可愛いあめちゃんは実写で配信すれば良いって提案して、本当にそれを実行して炎上はおさまった
それからお互いにからかい合うような関係に進展していって、悪友みたいになれたと勘違いした
そんなときに好きだって告白された
「うん、、オレも、、あめちゃんといて、、楽しいよ、、」
こと様の場合、やっぱりチャンネル登録者数が伸び悩んでいたときにアドバイスしたことがきっかけなのだろうか
こと様は当時、4期生の中で1番チャンネル登録者数が少なかった
原因は真面目すぎて面白みがないこと、オレはそう思った
だから、リアルと同じように毒を吐いて、怒ったり、笑ったり、照れたりしてるのを配信でも見せればいいって伝えた
それに、ひまちゃんが大好きなことを隠すなって
そして、ダメ押しの剣道道場企画だ
これからがハマって、こと様のチャンネル登録者数はグングン伸びた
オレのおかげ、なんて微塵も思っていない
全部、こと様が努力して頑張ったからついてきた結果だ
でも、その結果を見て、こと様はオレのことを評価してくれたんだろうか
、、たしかに、こと様が大胆なことし始めてるって気づいてた、、
でも、勘違いだって、、目をつぶってた、、
「、、、はぁ、、
なんで、オレなんかが、、」
ファンとして、リスナーとして、大好きな彼女たちを応援したいと思って行動した
でも、良く考えたら女の子を落とすことに必死だったようにも見える
ひまちゃんに至ってはオレから愛してるって言った
ひまちゃんとの関係が壊れそうだったから、とか
のんちゃんが絡んできたせいだから、とか
オレも酔ってたから、
なんて言い訳はできない
告白したも同然だ
、、、ダメだ、、考えがまとまらない
スマホを見るともうお昼すぎだった
グー、、
「腹は減るんだな、、」
悩んでて気は沈んでいるのに、お腹は減るようだった
「コンビニ行くか、、」
そう思ってベッドから降りようとしたとき
ピンポーン
チャイムが鳴った
なにかAmazonで注文したっけ??
オレはボーッとした頭で玄関に向かう
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません!
ぜひよろしくお願いします!




