第79話 三すくみの修羅場
「ぶっぶー!!そこまでっすー!!」
ビクッ!
2人してビクつき、声がした方に振り返る
そこには、あめちゃんが
それに、こと様が立っていた
「はーい!ひま先輩抜け駆けぶっぶー!!
それ以上はやらせないっす!!
ダメっす!!
許さないっす!!」
「え、えと、、あめちゃん?
あれ?帰ったんじゃ?それに、ことちゃんも
な、なんで??」
「ひま先輩!そうやってリスナー相手にソロライブやるなんでズルっす!
そんなの落ちるに決まってるっす!」
「お、落ちる?、、ひま、そんなつもりじゃ、、」
「はぁー!これだから天然は!
ひま先輩のバーカ!!」
「な、なになに?なんでそんなに怒ってるの?」
「そんなの!!
わたしが あらあらパイセンのこと!大好きだからに決まってるでしょ!!」
「、、え?」
「わたしもパイセンのために歌うっす!」
ずかずかとあめちゃんが近づいてきて、オレの胸ぐらを両手で掴む
「わたしもあなただけのために歌います!
ちゃんと聞いてください!!」
「あ、、あの、、」
バッ!と踵を返し、パソコンを操作し始めるあめちゃん
「あ、あの、、ごめんなさい、、割り込んで、、」
「ことちゃん?、、ことちゃんは、、ち、ちがう、よね?」
「いえ、、
おにいさん」
「え?はい、、」
「おにいさん、好きです」
「あ、、え、、?」
「私も男性として、おにいさんが、あらとさんが、好きです
私の歌も聞いてください」
「あ、、、えっと、、」
こと様もあめちゃんの方に歩いていった
「、、、」
ひまちゃんは黙っている
「行くっすよ!こと!」
「いいわよ!」
音楽が鳴り出し
2人がオレたちの前に踊り出る
「わたしだって!負けてないっす!
ディメコネ初代がなんぼのもんじゃ!」
「私も!負けません!これは宣戦布告です!ひま先輩!」
「、、、」
2人は、ことだまの新曲を披露してくれた
とても可愛くて、すごくテンションがあがって、自然と身体が動いてしまう
でも、こと様に言われたことの衝撃と
今の状況にはついていけていない
それでもオレは、大ファンの子たちがオレのために歌っている姿から目が離せなかった
「はぁはぁはぁ
ど、どうっすか、、
この曲、、踊りながら歌うのキツすぎっす、、」
「はぁはぁ、、ほんとそうね、、」
「ど、どうですか!パイセン!
わたしもひま先輩に負けてないと思うっす!」
「え?えっと、、それは、、」
あめちゃんに迫られて、ドギマギする
「さっきチューしようとしてましたよね!?」
「えぇ!?ひ、ひま知らなーい!」
「ぶりっ子おつ!」
「なっ!?ちがうもん!」
「あらあらパイセン!」
「はい!」
「わたしもチューしてあげます!」
「ええ!?」
「はい!どうぞ!」
あめちゃんが背伸びして目を閉じ、プルプルと震えている
「落ち着け!」
こと様があめちゃんの頭をチョップした
「いたっ!なにするんすか!このバカ女!」
「バカはあんたよ!お二人とも引いてるわよ!」
「こんなことでパイセンは引かないっす!」
ぎゅっと腕にまとわりつかれる
「なな!?」
ひまちゃんは驚愕していた
「やめなさいー!」
「いやっすー!」
あめちゃんを引き剥がそうとすること様
離れそうとしないあめちゃん
わなわなしてるひまちゃん
「はわわわ、、」
こ、これって、、しゅ、、修羅場?
脳がフリーズしそうになる
天を仰いで突っ立っていると
「、、あらとさん?」
「へ?」
隣を見ると、ひまちゃんがにっこり微笑んでいた
影のある笑顔だ
怖い、、
「は、はい!」
「ずいぶん2人と仲良いんだね?」
「そ!そんなことありません!」
「そんなことあるっす!
あらあらパイセンはわたしたちとデートもしてイチャイチャしてるし!
毎月わたしたちは、あらあらパイセンの家で色んなお勉強をしてるんす!
色んな!」
お!おい!このクソガキ!誤解を生むようなこと言うな!
、、う、うそではないけど、、
「あらとさん?」
「はい!」
「どういうこと?」
「ど、どうとは?、、」
「ひまと結婚するんでしょ!」
「そ、それは!」
「しないの!?」
「しません!パイセンはわたしのっす!」
「あめちゃんは黙っててよ!」
「いやです!バーカ!」
「こ、このー!
あらとさんはひまのなのー!」
あめちゃんが抱きついてる方とは逆側の腕をひまちゃんに抱きつかれ
引っ張られる
「あばばば」
「わたしのっすー!」
2人は手加減を知らない、思いっきり左右に引っ張られる
「ふ、2人とも!おちついてー!」
こと様だけが冷静だった
「わ、私も好きなんです!」
あめちゃんを引き剥がすのをやめ、
あろうことか、正面から抱きついてくること様
は!はわわ!
な、なにが、、何が起こって、、
ぐいぐい、ぎゃーぎゃー、と引っ張られつづけ、
なにをどう考えて、どう答えればいいのか、グルグルと脳みそが回転する
そして、限界がきた
ガクッ、、
「?おにいさん?
、、きゃー!!死んでる!?」
「そんなわけないっす!
あ、あれ?動かない、、」
「あらとさーん!!」
・
・
・
完
バーチャルに恋する
をご愛読いただいた皆様
ありがとうございま、、
・
・
・
目を開けると、知らない天井だった
「おぉ、、テンプレだ、、」
「なに言ってるんすか?」
「あめちゃんの可愛いお顔が目の前にある」
「あらとさん大丈夫?」
「ひまちゃんは今日も可愛いなぁ」
「おにいさん?」
「今日も美少女ですね、こと様」
「、、、
こいつ、、なんとかした方がいいっす、、
すけこましやろーです、、」
「、、さいてーです、おにいさん」
「あらとさんが、、こんな人だったなんて、、」
「な、なになに!?」
バッと起き上がると、さっきまでいた撮影スタジオだった
「あれ?オレ?」
「おにいさんは気絶したんです」
「き、きぜつ?」
「10分くらいっすけどね」
「ごめんね、ひまたちのせいで、、」
「え、、いや、、元はといえばオレが、、」
ここまでズルズル結論を出してなかったからで、、
「それで、おにいさんは結局誰なんですか?」
「えっと、、」
「わたしはいつでも大丈夫っす
3年後でも5年後でもわたしを選んでくれるなら待ってます」
「わ、私はちゃんと答えてほしいです」
「ひまは、、ひまのことが好きなんでしょ?」
「えっと、、
ご、ごめん、、答え、、れない、、」
「ひどいです!おにいさんのすけこまし!」
「ごめんなさい!」
「ひ、ひま一筋だって信じてたのにー
ひーん!」
「はいはい、ぶりっ子おつっす
わたしはいつでも大丈夫ですよ♡
大好きです♡パイセン♡」
「、、、ごめんなさい、、」
「まぁまぁ、みなさん、
このすけこま、じゃなかった
あらあらパイセンはハッキリできない男なんですよ
結局、誰か決めれないんですよね?」
「う、うん、、」
「それはなんでですか?」
「み、みんな、、魅力的だから、、」
「ですよね!
だから、これからは誰が1番最初にパイセンを落とせるか勝負しましょう!」
「しょうぶ?」
「そうっす!もちろんどんな手を使ってもイイっす!
これからは競争っすよ!」
「きょ、きょうそう、、」
「メー、あんた、なに勝手なこと、、」
「ひま、、ひま負けない!
あらとさんはひまのヒーローだもん!」
「ぶりっ子には負けないっす!」
「ぶりっ子ぶりっ子って言わないで!」
「その喋り方でぶりっ子じゃないって方がおかしいっす!」
「ちがうもん!」
「じゃあ天然!天パー!」
「パーマじゃない!」
「天然のくるくるパーの略っす!」
「ひどい!あめちゃんのバーカ!!」
「なんすかー!やるんすかー!」
「ちょっと2人とも!おにいさんがまた倒れそう!」
「え?」
「あ、、」
2人がこちらを見る
オレは青い顔でもしているのだろうか
「ご、ごめんね?大丈夫?」
「大丈夫っすか?すみませんっす、、」
「い、いや、、オレが、、
全部オレが、、わるい、、から、、ううっ、、」
「な、泣いてる、、すけこましのくせに、、」
「メー!あんたイイ加減にしなさい!」
「はいはい
ま、そういうことなんで今日はかいさーん
あ、下にタクシー呼びますね」
「、、、」
こうして、オレは地べたに座ったまま、今日のメインイベント、三すくみの修羅場は終了した
終了したというか、先延ばしになった
ボーッとしていると、こと様に促され、部屋から連れ出されてタクシーに放り込まれる
あめちゃんが運転手さんにオレの家の住所を伝えていた
オレは3人に手を振ることもできず、その場を後にする
ディメンションコネクト5周年記念ライブ 当日
今日味わった感動を
全て上書きするような出来事がおこり
オレの頭はパンク寸前だった
家についたら、なぜか料金は請求されずにタクシーを降ろされる
トボトボと部屋の扉を開け
なにも考えることができず、
そのままの格好で、ベッドに倒れ込んだ
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