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第77話 大規模ライブの後の個人ライブ

23:35


オレはディメコネ本社の最寄駅までもう一駅というところまで来ていた


ひまちゃんは何の用なんだろう

でも、今日、最高のライブを見せてくれた彼女からの呼び出しだ

何の用でも良かった

とにかく会いに行かないと


駅に着いて、電車のドアが開く

本社まで走れば5分くらいで着くはずだ

オレは迷わず駆け出した


夜道、街灯は明るいけど人通りは少ない中を走る


「はぁはぁはぁ」


ディメコネ本社にはすぐ到着した


「ふ、ふぅー、、えっと、、裏口は、、」


キョロキョロするがビルとビルの間にはフェンスがあり人は通れない


「そうか、迂回しないとダメか」


それに気づいたオレはまた走り出して、本社ビルの裏口が面している道路に回り込んだ


「よし、、ふぅ、たぶん、ここだな」


スマホを取り出して、ひまちゃんにメッセを送る


今、裏口に着きました


すぐに既読がついて


開けに行くねー!


と返ってくる


ドキドキ、、


ひまちゃんに会いたいというはやる気持ちを抑えて裏口の前で待機する


ピピ、ウィーン


「やっほ♪」


鉄の自動ドアが右側に開き、ひまちゃんが現れた

ジャージにTシャツ、運動靴というラフな格好で右手を上げていた


「ひまちゃん!!今日のライブ最高だったよ!!」


「しー!あらとさん!まずは中入って!」


「あ、ご、ごめん、、」


そそくさとビルの中に入る


「ごめん、、オレ、、あわてちゃって、、」


「ううん、来てくれてありがと♪

こっちこっち」


手招きされるまま、エレベーターに乗る


「もう大きな声だしてもいいよ?

ふふ」


「あ、えーと、今日のライブまじで最高だったよ!!

楽しすぎて!感動して!オレ泣いちゃったよ!」


「ありがと♪そんなに楽しんでくれて、ひまも嬉しいな♪

今日のライブ、すっごい練習したんだー」


「そうなんだ!そりゃそうだよね!

あれだけのパフォーマンスだもん!」


ウィーン


エレベーターのドアが開く


「あ、こっちきて」


「うん」


ひまちゃんの後について歩いていく、エレベーターホールの階数を見ると6階だった


前、課長と来たのは5階だから、一つ上の階だ


ピピ、ガチャ


ひまちゃんがカードキーをかざすと扉のロックが解除される

中に入るとだだっ広いフロアだった


そのフロアには、何台ものカメラが設置されていた


カメラは、床にカメラスタンドで立てられているものもあるが、

天上に取り付けられた鉄骨からもぶら下がっているものもある


一体何台あるんだろう、20台?30台とか?


「ここ、は?」


「ここはね〜、3Dモデルの撮影スタジオだよ

今日のライブはここから中継してたんだ♪」


「え?そうなの?

あれ?でもライブは幕張で、、

あ、でもよく考えれば、これだけの機材、ライブ会場まで持って行くの難しいか、、」


「そうそう、それにVTuberだしね」


「なるほど」


たしかに、VTuberのライブは本人がそこにいなくても実施できる

大袈裟に言えば、海外に住んでいても撮影スタジオとネット環境さえあれば、日本のライブ会場にいるように振る舞えるのだ


「なんか、知ってはいけない裏側を知っちゃった気分だ」


「あはは!そうだよね!

ひまも最初のころは、ライブ会場と違う場所で歌って踊ってるの違和感あったもん」


「でも、会場の様子がわかってるみたいなリアクションしてたよね?」


「それはね、あのモニター」


ひまちゃんは奥に設置されたデッカイモニターを指差した

縦は人間1人分、横は2人分くらいある


「あのモニターに会場の様子がリアルタイムに映るんだよ

だから、ウェーブとかちゃんと見えてたし、みんなのペンライトも見えるんだ♪」


「へ〜、面白いね

あ、もしかして、電話してくれたときも?」


開場前にひまちゃんが電話してくれて、入り口のところでカメラに手を振ったのを思い出した


「あれはマネージャーさんのノートパソコンでこっそり見てたの

さすがにあの大画面で電話しながらやりとりしたらみんなにバレちゃうもん」


「あ、そりゃそうか、あはは

でも、あの電話!すごく!めちゃくちゃ!嬉しかった!」


「うん、、それなんだけど、、えっと、、」


「どうかしたの?」


なんだか暗い顔をするひまちゃん


「あのね、、ひま、、あらとさんに謝らないといけないことがあって、、」


「ひまちゃんがオレに??」


なんだろう?なんにも心当たりがない


「あの電話でね、ひま、、ひまのソロはあらとさんのこと思って歌うって言ったよね?」


「うん!すごく嬉しかったよ!ありがとう!」


「あ、、うん、、

でも、、実際にステージに立って、リスナーのみんなを見たら、、

みんなのために歌わないとって思って、、

それで、、

ごめんなさい!!」


バッ!と頭を下げるひまちゃん


「え?ええ!?そんな!大丈夫だよ!

なんでひまちゃんが謝るの!?

最高の歌だったよ!

あ、頭あげてよ!」


あわあわと、頭をあげさせようとする


「ううん!あらとさんとの約束!やぶっちゃったもん!

だから!ごめんなさい!」


片手を胸に当ててオレのことを真っ直ぐ見てそう言ってくれた

オレにひまちゃんに対する怒りなんて微塵も無かった

たしかに、オレのために、って気持ちが後押ししたけど、それが無くても泣いてた自信がある


「全然大丈夫だよ!

あんなにたくさんのファンを前にしたら、アーティストとして当然のことだよ!

オレのことなんか忘れてくれて大丈夫!」


本心からであった、あんな最高のパフォーマンスを見せてくれた彼女に頭を下げさせてしまっていることの方が気まずいくらいだ


「でも!それじゃダメなの!

電話で伝えた気持ちも!本気だから!」


「あ、、ありがと、、すごく嬉しいよ」


「だから、リベンジさせて!」


「リベンジ?」


「うん!3Dじゃないから、違うかもしれないけど、、

今からココで、あらとさんのためだけに歌いたい!」


「え?今から?ここで?」


オレのために?ひまちゃんが歌ってくれる?


「やっぱ、、リアルだと、違う、、かな、、」


「そ!そんなことないよ!

すごく嬉しい!

びっくりし過ぎて頭がついてこなかっただけで!

うん!いいのかな!そんなことしてもらって!

花守りのみんなに怒られないかな!」


「えへへ、そ、そっか

ん〜怒られるかどうかは〜

ひま、わかんな〜い」


ニヒヒと可愛い笑顔を見せてくれる


「どきどき、、」


「あはは、口で言っちゃってるよ」


「はっ!?ごめ!はず、、」


「ううん、じゃあ、準備するね

こんな時間だから、大きい音は出せないけど」


「う、うん」


ひまちゃんが離れていき、機材が集まっている場所のパソコンを操作しはじめる

その様子をみて、これから、ひまちゃんが歌ってくれるんだと実感すると、心臓がバクバクと早鐘を打ち始めた

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