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第76話 5周年記念ライブ(後編)

ひまちゃんの挨拶の後、すぐに2曲目が始まる


一度ステージは暗転し、2人のシルエットが表示された


「こと!ちゃんとついてくるっすよ!」


「メー!あんたこそ!遅れないでよ!」


「ことだまぁぁぁ!!」


2番手は、こと様とあめちゃんのコラボユニットだった


ポップで可愛らしいアップテンポの曲がはじまる

もうきたか!この曲はライブ2ヶ月前に突如として発表された新曲だ!後半に持ってくると思ったのに!


「あめだま!あめだま!」

「ことさま!ことさま!」


ソロパートではそれぞれの名前が合いの手で叫ばれる


「ことだま!ことだま!」


サビではユニット名だ

こうして全力で合いの手をいれた2曲目も終了する


「2人ともすごいね、、」


「うん!最高だね!」


そして3曲目だ、オレは推していない人たちだったが全力でペンライトを振る

3曲目が終わると、一旦音楽は続かず、

ステージ上に2人の姿があらわれる


「あめちゃーん!!」


自然と声が出る

あめちゃんとこと様だった


「おまえらー!楽しんでるっすかー!」


「おぉぉぉぉ!」


「全力で楽しんでますかー!」


「わぁぁぁぁ!」


「すごい熱気っすね!」


「そうね!」


「はい!今日はディメコネ5周年記念ライブにお越しいただき!

ありがとうございまーーす!」


「わぁぁぁ!!」


「なかなか訓練されてて良いじゃないすか」


「メー!あんた失礼すぎ!」


「はははは!」


あめちゃんの冗談に会場が湧く


「いやいや、ここまで訓練されてるのは立派なもんすよ

こともその小さい胸を張るといいっす」


「はぁ!?私のなにが小さいって!?

それに訓練されてることと私の胸は関係ないでしょ!!」


「、、ツッコミ、ごくろうさまっす」


「むきー!!」


「はははー!」


ことだまのいつものやりとりだ

リスナーは自然と笑顔になる


「そんなツッコミ担当のことにも、ここでやりたいことがあるんすよね?」


「、、はぁ、、そうね」


「お、台本を守るいい子ちゃんっすね」


「いらっ、、

はい!私はあれをやってみたいです!ウェーブ!」


「なるほどっす〜ライブ特有ですね

じゃあ、みなさん準備はいいっすか〜?

わたしたちがこっちから走るので、ペンライトを徐々にあげてくださいっす〜」


「いきますよー!」


「わぁぁぁぁ」


あめちゃんとこと様がステージの左端から右端に向かって走ると、観客のペンライトがそれに合わせて上下する


「すごーい!すごいわね!」


「ほんとっすね〜きれいきれいっす」


「なにその石鹸みたいな反応」


「おぉ~、おもしろいっす〜」


「や、やめて、、恥ずかしい、、」


「はい、みなさん、今のアドリブっすよ

滑ってましたね〜

かわいそうですね〜」


「あはははは!」


「みなさん、、忘れてください、、

あ!そろそろ次のメンバーの準備が整ったようです!

行きますよー!!」


「わぁぁぁぁ!!」


こうしてトークパートが終わり、次の曲が始まる

このあとは、しばらく推しではないメンバーの曲が続いた


もちろんソロ曲もあって、

あめちゃんやこと様のときは声が枯れるまで叫んで応援した


「やっほ〜みんなー!!こんひまー!!」


「こんひまー!!」


「今日は5周年ライブに来てくれてありがとー!

ひまたちのステージ楽しんでくれてるかなー!」


「うおぉぉぉぉ!」


「だよねだよね♪ひまもとっても楽しいの!

こんなにたくさんのリスナーさんに囲まれて!

こんなに大きなステージで歌えるなんて!

ひま!夢みたい!

みんなはどうかな!?夢みたいじゃない!?」


「わぁぁぁぁ!」


「だよねだよね!でも!ここまでこれたのもみんなのおかげだよ!

だから!この歌を捧げます!

聞いてください!

、、みちしるべ」


ひまちゃんの宣言と共に、ひまちゃんがデビューしてから2年目にリリースしたシングルが流れる

バラードだった


ひまちゃんの活動が思うようにいかず苦戦してたとき、でもがんばろうって気持ちをひまちゃん自身が歌詞につづった名曲だった


観客は曲に合わせてゆっくりとペンライトを振る


泣きそうだ、泣いてる人もいるだろう

それにオレにはあの言葉が涙を後押しする


『ひまのソロは、、あらとさんのこと思って歌うから、、』


「ぐすっ、、」


オレは涙を堪えれなかった

涙でにじむ視界を服で拭きながら、必死に前を向く


あのひまちゃんが歌ってる、オレを救ってくれたひまちゃんが、、オレのことを思って、、


みちしるべは応援歌でもある、その歌詞を聞いて、自分が応援されているような気持ちになった


「〜♪

、、すぅ、、ありがとうございます、、

これからもよろしくね♪」


パチパチパチパチ


拍手が鳴り止まない


その様子を鑑みてか、しばらく暗転が続いた

そして、また動画が流れ出す


今年の配信画面ばかりだ、今年話題になった動画が次々と流れる

そして、メンバー全員のシルエットが真ん中のスクリーンに表示され、

エンディング曲が始まった


全員、今日のライブTを着ている


ひまちゃんはセンターで、Tシャツを右側で結んでおへそを出してるスタイルで着こなしていた


曲に合わせてペンライトを振る

合いの手をいれるような曲ではないので、しっとりと、今日のライブを思い出して、ゆったりとした気分で、その歌声を最後まで楽しんだ


「みんなー!ありがとー!6年目もよろしくー!」


プシュ!!


「わぁぁぁぁぁ!!」


ステージから、無数の金色のテープが空中に舞い上がり、客席の方へ放物線を描きながらゆっくり降り注ぐ


その様子をみて観客たちは大いに叫んだ

ここぞとばかりに

ここですべてを使い切るといわんばかりに




「、、、すごかったね」


「、、うん、ほんとに、オレ、泣いちゃった」


「あはは、ひまちゃんとこでしょ?うちもうるっときたもん」


会場は明るくなり、ブロックごとに退場してくださいというアナウンスが入る

オレたちは自分のブロックが呼ばれるまで待機していた


「あ!のんちゃん、ちょっと前失礼!」


「なに?」


オレは通路に落ちている金テープを拾った

フィナーレにステージから発射されたやつだ

そこら中に落ちている


金テープには、ディメンションコネクト2023と刻まれていた

オレはそれをそっとカバンに入れる


「持って帰るん?」


「うん!記念に!」


「まぁこんだけ落ちるんやし、ええんかな?」


「たぶん!」


周りの人がやっていたので真似したのだが、後から怒られる、ということはないと信じたい

記憶では、去年のライブでもテープを持ち帰ってる人がいたはずだ

Xで呟いてた気がする


「それじゃ帰ろっか」


「せやね」


自分達のブロックが呼ばれたので立ち上がる


「うちも、、こんなステージに、立てるかな?」


「え?うーん、、がんばろ」


「うん、せやね」


正直、1人だけしかVTuberがおらず、この事業に本腰を入れていない会社では難しいだろう

でも、今はそんなことは言わない

ライブの余韻を味わうのに夢中だった


そのあと、のんちゃんとポツポツと会話しながら駅まで歩き、乗り換え駅でのんちゃんと別れた

なにを話したかは覚えていない


ぼーっとしながら電車に乗り続け、自宅の最寄駅についたので電車を降りる


ブブブブ


「?誰だろ?」


スマホが振動したので手にとる

ひまちゃんからのメッセであった


「ひまちゃん?ひまちゃん!」


ボーっとする頭を覚醒させ、焦ってLINEを開く


今日のライブどうだったかな!

楽しんでくれたかな!

あのね、無理かもしれないけど、今からディメコネの本社来れないかな?

裏口で待ってます


!!?

な、なにこれ!?


「あわわわ、、」


さっきステージで歌ってたあの子からの突然の呼び出しに慌てふためく


返信しないと!


しばらく固まっていたが我に帰って返信文を打ち、反対側のホームに走る


すぐ行きます!!


23:00

オレはディメコネの本社目掛けて電車に乗り込んだ

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