第74話 ライブが始まる その前に
5周年ライブ前日、会社にて
「明日は、早めに合流してカフェで決起会やろうよ!」
「そうですね!気合入れていきましょう!」
「決起会?うちら観客なんやけど、、」
「わかってないな〜のんちゃんは」
「わかってないな〜Kanonちゃんは」
「いらっ、、」
「事前にどの曲を歌うのか、コールはどこで入れるか、みたいな話をしてワクワクを整えるのが楽しいんだよ!」
「ですよね!しっかり予習しておかないと!」
「うーん、、」
のんちゃんだけが乗り気でないまま、話は進む
オレと課長はお昼ご飯そっちのけで、明日の5周年ライブの打合せをしていた
ちなみにオレは決起会なんてしたことはない!なぜならボッチだから!
でも、楽しそうだったので課長に同調しているのだ!
「何時にしましょう!」
「そうだね!17時会場、18時開演だから14時くらいかな!」
「それって3時間も話すってことなん?」
「いや!2時間くらいかな!16時には並んでおくし!」
「チケット持ってるんやし17時くらいに並べばいいんちゃう?」
「のんちゃんはわかってないな〜」
「Kanonちゃんはわかってないな〜」
「、、はぁ、、」
「同志たちとまだかまだかと並んで待つのがいいんじゃないか!」
「うち、、15:30に合流するわぁ」
「そう?オレは14時に行きますよ!」
「だよね!ワクワクするなー!」
「ですねー!」
「合流場所だけ早めに教えてな〜」
のんちゃんは興味を失ったようで、お昼ご飯を食べはじめる
その後、オレと課長は、
どの曲歌うかな最近の配信の傾向からして、なんて夢中で話す
明日、早めに合流するのに話したくてしょうがない2人であった
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「ども〜、2人ともちゃんと寝れた〜?」
「あんまり!でも元気!」
「私も!はぁはぁ!早くあめちゃんのライブが見たい!」
「、、ライブ中に倒れたりせんといてなぁ」
ライブ当日、15:30
カフェにのんちゃんが合流した
オレと課長は、14時よりも早く到着していて、のんちゃんがくるまでディメコネトークに花を咲かせていた
「コーヒー注文してくるわぁ」
「いてらー!」
のんちゃんがコーヒーを飲んでる間もオレたちの会話は止まらない
もうちょっとで始まる、もうちょっとだ
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「すごい人やね、、」
「そうだね!これだけの人がみんなディメコネファンなんだ!」
今回の記念ライブで使う幕張メッセのキャパは7000人くらいだったはずだ
ぱっと見何人いるか分からないくらい長蛇の列が既に出来ていた
列の最後尾に向かいながら、並んでる人の様子を伺う
「あ!あの人ちゅぱかぶらだ!」
「あっちは花守りがたくさんいますね!」
その人の服装が誕生日記念などで販売されたTシャツだったり、カバンにぶら下げられているキーホルダーだったりで、
その人の推しがわかる
課長は、あめちゃんのTシャツ、あめだまを舐めてる怪物が描かれたTシャツを着ていた
さっきトイレで着替えたのだ
「課長のそのTシャツって、、」
「これ!?これはね!あめちゃんの1周年のときのグッズでね!
あめちゃんの手書きデザインなんだよ!
あめちゃんの手書きはこれが最初で最後なんだ!
いやー!あれから4年かー!あっという間だったなー!
また手書きのグッズでないかな!?
あ、でも、出たら出たでこのTシャツのレア度が、、いや!でもやっぱまた欲しいな!」
「そ、そうですか、、」
課長のオタトークに引き気味の のんちゃんであった
「あっくんのTシャツは今日のライブのやつなんやね?」
「うん!」
オレが着てきた服は5周年ライブ記念グッズのフルセットに入っていたTシャツであった
胸元には今回のライブのロゴが入り、背中にはディメコネメンバーたちの名前がローマ字で刻まれている
1番上はもちろんひまちゃんだ!
ちなみに、若干恥ずかしかったけど自宅からココまでこの服装で歩いてきた
「そうなんや、こういうときって最推し?のグッズを着てきるもんなんとちゃうの?
てっきり、ひまちゃんのTシャツ着てくると思ったわぁ」
「えっと、、それは、、」
「?どうかしたん?」
「ううん!ライブ楽しみだなー!」
「落ち着きなぁ」
「はーい!」
のんちゃんに痛いところをつかれた
そう、オレ自身もどの服で来るか最後まで悩んだ
でも、決めれなかった
だからこれは折衷案だ
ブブブブ
?
ポケットのスマホが震えている
電話だろうか?
「っ!?ちょっ!ちょっとトイレ!」
「うん?いってら?」
スマホの着信元の名前を見て慌てて列から外れる
「は!はい!もしもし!」
「やっほ〜あらとさん♪こんにちは♪」
「こ!こんにちは!お疲れ様です!」
ひまちゃんであった、このあとステージに立つ相手からの着信
驚くに決まってる
「あはは、なにそれ〜
あらとさんって今もうライブ会場ついてる?」
「うん!並んでる!えと!大丈夫なの!?電話してて!」
「うん、もうリハも完璧だし大丈夫だよ
はじまる前にあらとさんの声聞きたくって電話しちゃった♪」
はわわ、、オレなんかの声を、、
「が!がんばってください!応援してます!」
「あはは、うん!がんばるね!
ところでさ、今って列のどの辺にいる?」
「えと、、真ん中くらいかな?」
「そうなんだ、入口の辺りに来ることって出来るかな?」
「うん、列から外れたところなら」
「なら、ちょっときてくれない?」
「わかった」
ひまちゃんの言う通り、列の先頭付近
会場への入り口まで歩いて行った
そこには何人ものスタッフがスタンバイしていて、5周年ライブの看板がデカデカと掲げられていた
「あ!見えた見えた!」
「なにが?」
「あらとさんのこと見えてるよー!」
「ええ?」
キョロキョロと見渡す
すると、看板の上辺りに大きなカメラが設置されていた
「もしかしてあのカメラ?」
手を振ってみる
「そうそう!あらとさん、いま手振ってるでしょ?」
「うん!見えてるんだ!」
「あ、大きな声出しちゃダメだよ」
「そ、そうだよね、ごめん」
それはそうだ、周りはファンだらけ、もしオレの電話の相手がひまちゃんだなんてバレたらえらいことになる、、
「ライブがはじまる前にあらとさんのこと見れて安心しちゃった♪」
「そ、そう、なんだ、良かった」
なにかしたわけでもないけど、ひまちゃんの緊張を少しでもほぐせたなら本当に良かった
「じゃあ、そろそろ切るね?ライブ、楽しんでって!」
「うん、ありがと、全力で楽しむね」
「えへへ、あのね、、
今日はもちろんみんなのために頑張って歌うけど、、
ひまのソロは、、あらとさんのこと思って歌うから、、」
「え、、それって、、」
「あははー!はずかし!じゃあまたね!」
ブチッ
ひまちゃんとの通話はそれで終了した
「、、、」
ひまちゃんがオレのために?
こんなに沢山ファンがいるのに?
長蛇の列を見ながら鳥肌がたつ、そしてまだ始まってすらないのに泣きそうになる
「ひまちゃん、、」
、、楽しまないとな!全力で!それに!応援するから!
オレはペンライトを握りしめてそう固く誓う
「まもなく開場でーす!焦らずゆっくりと進むようお願いしまーす!必ず歩いてくださーい!」
「あ!やべ!戻らないと!」
スタッフさんのかけ声で我にかえり、のんちゃんたちのところに戻る
いよいよ開場だ
ディメコネ5周年の集大成まであと少し
はやる気持ちとひまちゃんのさっきの言葉を思い出し、心臓がバクバクいってるのを感じながら、オレは入場ゲートを通過した
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