第63話 あちらを立てればこちらが立たず
「Kanonちゃんの動画、順調に伸びててよかったね!」
「え?、、あ!うん!そうだね!ありがと!」
「おにいさん、どうかしたんですか?なにか考えごとですか?」
「ううん!大丈夫!ははは!」
日曜日、いつものカフェで、ひまちゃんとこと様とお茶をしていた
毎月恒例になったVTuber相談会である
相談会といっても、今は困っていることがあまりないので、最近のKanonの動画について話していた
せっかく、ひまちゃんとこと様という豪華メンバーと一緒にいるのに、オレが集中し切れていないのは、水曜日のあめちゃんとのことが未だに整理できていないからだ
「また、Kanonちゃんとコラボしたいな〜
なんとかできない?あらとさん」
「ん〜、、、
この前の単発の凸待ちみたいなものなら大丈夫だと思うけど、
大々的にコラボってなると、すぐには難しいかも
ほら、うちの会社ってお堅いから、、」
「そっかぁ〜、、もっと、あらとさんとお仕事したいのになぁ〜」
机に突っ伏して拗ねる ひまちゃん
かわいいなぁ
、、でも、あめちゃんもかわいいんだよなぁ、、
いや、オレ、なに考えてるんだ、、
ぶんぶん
頭を左右に振る
「おにいさん?やっぱり変ですよ?」
「だいじょぶだいじょぶ!」
「そういえば、ことちゃんってあらとさんのこと、おにいさんなんて呼んでたっけ?
あれ?そもそも、前なんて呼んでたんだっけ?」
おじさんである
「あ〜、、新井さんとか?」
あ、ひまちゃんの手前ウソつくんだ
「ふ〜ん?で、なんでおにいさんなの??」
「え〜っと、、死んだ兄に似てるんです!」
とんでもないウソを言う
「え、、、そう、、なんだ、、」
本気にして、悲しそうにしてしまう ひまちゃん
「ご!ごごご!ごめんなさい!ウソです!
私に兄なんていたことありません!」
「そ、そう?なら、よかったぁ〜
心配させるようなこと言わないでぇ〜、ことちゃん」
「ごめんなさい、、」
ウソをつかれたことに、全く怒らず、にっこりと微笑むひまちゃんに、こと様は罪悪感を覚えたようだ
申し訳なさそうな顔をしている
「で?なんで?おにいさんなの?」
あれ?なんか、ひまちゃんの顔が、、圧が、、
「え〜っと、いろいろ助けてくれるので、理想の兄みたいな人だなぁ〜?なんて思って??」
「ふ〜ん?助けてもらったって、剣道道場のこと?
でも、いろいろって言ったよね?
他には?」
「あ、え〜っと、、実は、、」
「うん?実は?」
「じつ、は、、この前、小雪がチョコを食べて倒れてしまって、そのときに、おにいさんに電話して助けてもらったんです」
「へ、へぇ〜?
それで、小雪ちゃんは大丈夫だったんだよね?」
「はい、おにいさんのおかげで大事にはなりませんでした」
「うんうん、それは良かった
、、ふむ?ことちゃんは何かあると、あらとさんを頼るんだ、、
ふ〜ん、、」
ひまちゃんが、下を向いている、こと様を観察して
「ねぇ、あらとさん」
「はい!」
オレの方を見る
「なんで緊張してるの?」
「してません!」
「してるよね?なんで?」
「しておりません!」
「ふ〜ん、、
、、まぁ、べつに、それくらいならイイけど、、
ぷ〜
なんか、わたしが悪者みたいじゃん、、
2人してビクビクして、、」
「い、いえ、、そんなつもりでは、、」
「あらとさん」
「なにかな?」
「今日もゲーム、しよっか♪」
「ほんとに!するー!!」
「ふふ、かーわい」
「、、ゲーム、してるんですね、2人で、、」
「あ、、」
あちらを立てればこちらが立たず
これがそういう状況かー
なんて考えるが、能天気にしていても、誰も助けてはくれない
なんとか事態を収拾させないといけないと思い、2人の機嫌が悪くならないように話をまとめることに努力した
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません!
ぜひよろしくお願いします!




