第54話 洲宮 琴とデート(後編)
車で1時間ちょっとかかって、目的のナイトプールに到着した
「な、なぜ、このような場所に、、」
「で、デートなので、、」
「と、とは言っても大胆すぎでは、、」
「えっと、、あ~、あっ!コラボ中なので!」
「コラボ?あっ!そうか!今こと様たち4期生がコラボしてるんでしたっけ!」
そういえば、こと様たちがこのプールとコラボしているところで、コラボグッズも現地限定で販売されていたはずだ
オレは、こんなパリピしか来ないような場所には怖くて近づけなかったので、申し訳ないけどスルーして、忘れていたのだった
「なるほど!やっぱりコラボしてたら現地は気になりますもんね!
実はオレも来たかったんですけど!こんなところにボッチで来るわけにもいかず!泣く泣く断念したんですよ!」
「そ、そうですか、それは、ちょうど良かったですね
じゃ、行きましょうか」
「はい!あとでグッズ売り場見てもいいですか!?」
「もちろん、いいですよ」
ふふっと笑顔をむけてくれた
なんだか、今日のこと様は優しい気がする
ナイトプールのチケットを買って、2人で入場する
オレはレンタル水着を借りて、ささっと着替えて、プール内でこと様を待っていた
プールは屋外に広がっており、全体的に煌びやかな電飾が施されている
大きなバルーンアートも設置されていて、音楽はいわゆるノリノリ系だ
オレはあんまり聞かないジャンルだが、昔のオリコンにのってたような有名曲は聞き覚えがあった
「お待たせしました、、」
「いえいえ、、」
こと様が、さっき、オレが選んだ水着を着て、目の前に現れた
なんだか、感動する
「あの、、」
「あ!似合ってます!可愛いです!最高です!」
「いえ!そんな!催促したつもりではなく!
さっきも褒めていただきましたし、、」
「そ、そうですか?、、はは」
「ふふ、そうです、じゃ、遊びましょ」
「はい!」
ナイトプールなんて、初めて来た
たしかにイメージしていた通り、パリピ系の人が多いし、すこし怖いが、別に絡まれるなんてことはない
こちらが男女ペアだからナンパなんかもない
身構えていたが杞憂だったようだ
それに、今はこんなに可愛い子が目の前にいる
正直、そちらに釘付けだ
周りのことなんか気にならなかった
「ほら!あれ乗りましょうよ!」
テンションがあがってきた こと様はウォータースライダーを指差した
でっかい浮き輪に乗るスライダーだ
「いいですね!行きましょう!」
スライダーの行列に並ぶと、1人用の浮き輪か2人用の浮き輪かを選べるみたいだった
「えーっと、浮き輪の種類、2種類ありますね」
「そうですね、それがなにか?」
「あー、、いや、2人で乗りますよね?」
「もちろん、そうですよ、1人ずつなんて寒いじゃないですか」
「ですよね、、」
結構密着するんだけど、こと様は気にならないのだろうか?
「ちょ!ちょっと!変なところ触らないでくださいよ!」
「わ!わかってます!安心してください!」
やっぱり気にしとるやんけ
いざ、自分たちの順番になったら、こと様が騒ぎ出した
体制としては、オレが後ろで、こと様が前に乗ってるのだが、
オレが広げた足の間に、こと様が挟まる形になっている
両手は浮き輪のサイドに取っ手があるから、それを掴んでいる
カップルなら抱き合ったりするだろうが、もちろんそんなことはしない
「それじゃいきますよー!」
係員のお兄さんに声をかけられて浮き輪が押された
「わー!結構早いですねー!」
「そうですねー!」
ビュンビュンと、浮き輪は加速していく
そして、狭い通路から、すり鉢状の広い円の中に放り出された
結構左右に揺れる
「きゃっ!」
「うおっ!」
お、オレの足に、、こと様の柔らかいものが、、
「へ!へんたい!」
「不可抗力です!」
そんなトラブルもあったが、無事生還
ザブンッ、と出口に辿り着き、ぷかぷかと浮きながら陸地へ向かう
係員の人に浮き輪を押さえてもらって、浮き輪からおりた
「へんたい、、」
こと様が両手で自分を抱きしめながらジト目で睨んできた
「そ、そんなこと言われても
す、すみません、、」
「、、ふふ、なんだか、おじさん、謝ってばっかですね」
「あはは、そうかもですね」
「あの、、」
「なんですか?」
「もし良かったら、私には敬語使わないで欲しいです」
「え?でも、こと様はこと様だし、洲宮組としてのマナーというか」
「ダメ、ですか?」
怒るでも、怒鳴るでもなく、悲しそうにされてしまい、いつもと違う様子に焦る
「いえ!ダメじゃありません!
あっ!ダメじゃないよ!うん!敬語やめれま、、やめれるよ!」
「そ、そうですか!じゃあそれでお願いします!」
ニコッと笑いかけてくれてドキッとする
「じゃ、じゃあ、こと様も、、」
「いえ!私は年下なのでちゃんと敬語を使います!」
「そ、そう?こと様がそれでいいならいいけど」
「はい!大丈夫です!」
そのあと、またプールで遊んで、違うウォータースライダーにも乗って、
と存分にナイトプールを楽しんだ
そして、プールを後にして、グッズコーナーに向かう
着替え終わった こと様を横目で見ると、
タオルで長い髪を拭きながら歩いていた
、、濡れた髪ってなんでこんなに色っぽいんだろう
「この辺りがコラボコーナーですね」
「お?あぁ!ホントですね!」
こと様を見るのをやめて、グッズを見る
こと様たち4期生の3人が水着衣装を着ているグッズが置いてあった
キーホルダー、タペストリー、アクスタ、タオル、そんなラインナップだ
「やっぱりアクスタは買おうかな!」
「サイン、、してあげましょうか?」
「ホントに!!めっちゃ嬉しい!!」
「ふふ」
オレたちがわきあいあいとしてると
「なんだこれ!オタクグッズかよー!
こんなところにも侵食してきてキメーなー!」
「、、、」
後ろから来た金髪の若いにいちゃんが隣でそんなことを言い出した
「おい!やめろって!」
周りの友達3人は気まずそうだ
「だってよ!ナイトプールに来てまでこんなん買うやつおらんやろ!」
オレたちのことは見えないのだろうか?
「おまえさー、これはVTuberっていって、かなり有名なんだぞ?
ファンの人に怒られるから静かにしろって」
「VTuber?それってYouTuberみたいなやつ?
あー!いいよなー!オレもゲームして大金持ちになりてー!
楽でいいよなー!気楽でさー!」
イラッとした
VTuberが気楽?みんなの苦労も知らないで、なんだコイツ
つい、睨んでしまう
「あ?なんすか?オレになんか用すか?」
「いや、べつに、、」
「いやいや!睨んでたっしょ!言いたいことあんなら言ってくださいよ!」
「おい!やめろって!ホントすみません、、」
「いえ、、」
「あー!だりー!チキンやろーがよー!」
「ちょっと!なんなんですか!あなた!失礼でしょう!」
こと様が口を挟む
「お?おぉ、、可愛いのに、怖い女っすね
ねぇ、そんなチキンより俺とデートしましょーよ、おねえさん」
「おまえ、ほんとやめてくれ、なぁ、こいつ酒入ってるの?」
「さっき飲んでたわ、、」
「まじかよ、、」
「するわけないでしょう!」
「こと様、その辺で、、」
「おじさんも怒ってください!」
「お、おじ?おじさん!ははっ!彼氏じゃないんすか!
ならなおさらデートしてくださいよー!」
「すいません!すいません!
おい!お前らも手伝え!」
周りの友達3人が騒いでる金髪くんを取り押さえ引きずっていく
「おねえさーん!オッサンより俺の方がいいってー!なー!」
そして、そいつはいなくなった
「、、ごめんなさい、、」
「え!?なんでこと様が謝るの!!
オレがあいつを睨んだからで!!」
「いえ、私がいつまでもおじさんなんて呼んでるから、恥をかかせてしまって、、
とっくにおじさんだなんて、思ってなかったのに、、
、、これからは、ちゃんと呼びます」
「ちゃんと?」
「おにいさん、、とか?」
「おにいさん、、」
「変でしょうか?」
「え?いや、変ではないけど、、」
なにかに、目覚めそう、、
こんにちは、妹フェチの世界へ
「おにいさん、ならバカにされないですよね?」
「た、たぶん?」
兄弟と思われるか、特殊プライと思われるか、、
「じゃあ!おにいさんって呼びますね!」
頭の中で逡巡していると、こと様はその呼び方で決定してしまった
抗えなかった、おにいさんと呼ばれてみたい、という誘惑に
「わ、わかった」
「じゃあ、気を取り直して買い物しましょ!」
「そ、そうだね!そうしよう!」
このあと、こと様の水着アクスタを買って、後日、動画編集勉強会のときにサインを書いてもらう約束をした
そして、もう遅いから帰ろっか、と声をかけて車まで戻った
もう少しで、こと様との1日が終わってしまう
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