第53話 洲宮 琴とデート(前編)
土曜日
こと様から送られてきたQRコードをコインパーキングの精算機にかざすと、受付完了のマークが出た
車に近づくと鍵が空いたので乗車する
こういうサービス使うのはじめてだな、なんか面白い
コンパクトカーに乗り込んだオレは久しぶりの運転に緊張しながらもアクセルを踏んだ
「あ、ナビに住所入れないと」
駐車場から出る前に気付いて、こと様から送られてきた住所を入れる
都内の一等地であった
そこに向かって車を走らせる
ナビはスマホと連動できたので、こと様のオリ曲を聞きながら、ルンルンでドライブを楽しんだ
「ここかな?」
駅前のタワマンの正面ロータリーに到着した
ここ家賃いくらなんだろー?
てか、待ち合わせ場所あってるんか?
疑問に思って、こと様に到着した旨を連絡しようとしたところ、
コンコン
と助手席の窓ガラスをノックされた
こと様だ
「あ!どうぞどうぞ!」
オレはすぐに車をおりて、助手席のドアを開ける
「おはようございます!」
「、、なんだか、専属運転手みたいな動きですね、、」
「そうでしょうか?」
「そうです、もっとリラックスしてください
、、その、、で、、」
「で?」
「デート、、なんですから、、」
「え?、、」
オレが呆然としてると、赤い顔のこと様は車に乗って、バタンとドアを閉めた
デート??
「ほら、行きますよ」
窓ガラスが開いて、声をかけられる
「あ!はい!」
オレはあわてて運転席に乗り込んだ
「ど!どこに向かいましょう!」
「そうですね、どこに行きたいですか?
私とデートするなら」
「え、えっと、、それは、どういう??」
改めて、こと様を見る
薄い水色のロングスカートに
足首にベルトが巻き付いている茶色のサンダル、
肩が出ている白のブラウス
麻のカバンを持っていて、すごく夏らしい服装だ
清楚だ、清楚の塊だ
髪の毛をみると、いつもと違って、一部の髪を三つ編みでまとめて、後ろで結っている
なんというんだろう、森ガール?的な感じだ
見慣れない髪型にジロジロ見てしまう
「なんですか?ジロジロ見て」
「あ!すみません!なんだかいつもと雰囲気が違って!」
「そうです、今日のためにおしゃれしたんだから当たり前です」
「そ、そうなんですか」
「そうです、、、
あなたのために!おしゃれしたんです!」
なんか怒ってる
「ご!ごめんなさい!」
「ごめんなさいってなんですか!」
「いや!なんか怒ってるので!」
「怒ってません!この朴念仁!!」
「ごめんなさい!」
再度謝る
「、、はぁ、、今、私が言ったこと、ちゃんと後で考えてください、、」
「わ、わかりました、、」
「それで、、どうなんですか?」
「え?」
「私の、この格好、、」
胸の前で手を組んでギュッとする こと様
「あ!すごく!可愛いです!清楚な感じが!すごく!こと様に似合ってます!」
「、、ありがとうございます」
「、、い、いえ、、」
「最初から、そう言えばいいんです」
「ご、ごめんなさい、、」
ふんっ!
そんな感じで腕を組んで向こうをむいてしまう
「あ、それで、どこ行きましょうね?」
「デパートに行きます、ここです」
こと様がスマホで場所を教えてくれた
「ふむふむ」
近づいて確認する、あ、なんかいい匂いが、、
ぶんぶん、心の中で頭を振って雑念を振り払う
「わかりました!では行きましょう!」
「お願いします」
「了解です!」
オレは安全運転で車を走らせた
20分もかからず、目的のデパートに到着、地下駐車場に車を停める
「服かなにかを見るんですか?」
「、、ちがいます」
「ではなにを?」
「、、いいから!ついてきてください!」
なんだかプリプリしたまま先に歩いて行ってしまった
急いで後を追う
こと様についてエレベーターに乗ると、最上階のボタンを押す こと様
エレベーターの扉が開くと、すぐにデカデカと主張している垂れ幕が目に入った
夏フェア!水着コレクション!
「水着?」
「い!いきますよ!」
こと様に腕を掴まれる、ひきづられるようにエレベーターを出た
「え!えっと、このフロアで合ってます!?」
「合ってます!
さ、さぁ!わた!私に似合う水着を!選んでください!」
は?この子は何を言っているんだ?
「、、、」
脳みそがついていかずフリーズする
「こ、こここ!これとかどうでしょう!」
セクシーなビキニをこと様が自分の身体に合わせて見せてくる
「え?」
「ここ!こっちの方がいいですか!?」
さらにセクシーな水着を合わせて見せつけてくる
「ちょちょちょ!ちょっと待ってください!
どうしたんですか!?」
「どうもこうもありません!
選んでください!
このスケベ!!」
な!なんで!?
「こと様!?ちょっと声がおっきいです!
落ち着いて!」
公衆の面前でオッサンがJKにスケベ呼ばわりされるのは非常にまずい
現に何人かに振り向かれた
「わ!私は落ち着いてますけど!?」
「わかりました!選びます!選びますから!
こっちきて!」
「あっ、、」
こと様の手をとって、このセクシー専門みたいな店から離れる
同じフロアには、いろんなコンセプトの店舗があって、それぞれ扱ってる水着の雰囲気がだいぶ違う
こと様に似合いそうな、清楚系のお店に連れてきた
「ちゃんと!選びますから!」
「は、、はい、、」
あれ?大人しくなったな
「こと様はですね、自分が思うに、もっとシンプルで素の素材を活かすものがいいと思うんですよ
あんなに派手な水着じゃなくていいんです」
あれ?オレもテンパってる?
女の子の水着なんて選んだことないのに、ペラペラと口が動いていた
「例えば、この辺とか、この辺とか、どうでしょう?」
「こういうのが、好きなんですか?」
「え?好き?あーえっと、好きというか、こと様に似合いそうだと思って、、」
「そ、そうですか、じゃあ、試着するので見てください」
見てください??
「あの、試着お願いします」
「は〜い、あらあら、彼氏さんに選んでもらったんですね!
きっと似合いますよ〜
こちらにどうぞ〜」
若い店員さんがとんでもないことを言う
「か!、、」
彼氏じゃない、こと様の前でそういうのも、なんだか失礼な気がして口を閉じる
「あらあら、すみませんね〜、手を繋いでたら試着できませんよっ!彼氏さん!」
「あっ!すみません!」
ずっと握ってたのか!あわてて手を離す
「あっ、、」
「あら〜?また後で手を繋いでもらいましょうねっ!こちらにど〜ぞ〜!」
こと様が奥の試着室に肩を押されて連れていかれた
「彼氏さんはココにいてくださいねっ!」
店員さんに試着室前を指定される
大人しくそこで待つことにした
後ろの試着室から、しゅる、ぱさっ、っと布が擦れる音がする
後ろでこと様が、、、
やめろ!考えるなオレ!
「あの、、着ました、、」
「あ!はい!」
「で、では、、」
ゆっくりとカーテンが開けられた
腕を後ろで組んで、もじもじしながら、その姿を見せてくれる
上下、白色の水着で、バストの方にはフリルレースがついていて、谷間が見えないようなデザインだ
「う、うん、ビバ清楚、、」
「な、なんですか、それ、、いいんですか?わるいんですか?」
「い、いいと思います、、」
「そうですか、、では、もう一つも着てみます」
「は、はい、、」
シャッ、っとカーテンが閉められた
ドキドキ
こと様みたいな美少女の水着姿を間近でみて、しかも感想を求められるもんだから、じっくりと観察してしまった
脳内フォルダに刻みつけねば、、
少ししたら、またカーテンが開く
「どうでしょう、、」
またもじもじしながら赤い顔で見せてくれる
今度は、青チェックの上下に、下はスカートになっている水着だ
さっきよりも可愛らしい感じだった
「はい、こっちも似合ってます、可愛い、、と思います」
「ありがとうございます、、」
「いえいえ、、」
「どっちが、良かったですか?」
「あー、、えっと、もうちょっと他のも見てみませんか?」
なんだか、この2つのどちらかで決めてしまうのは勿体無い気がした
もっと似合うものがあるはずだ
、、、決して、色んな水着姿の こと様を見たいわけじゃない
ちがうよ?
「わ、わかりました、、」
怒らずに了承してくれる こと様、少し良心が痛む
着替え終わった こと様を連れて他の店も見て回る
そして、何着か着てもらい、
色んなこと様を楽し、、、
真剣に水着を選ばせていただいた
「うん!これがいいです!これで間違いないです!最高です!」
「そ、そうですか?で、では、こちらにしますね」
終始恥ずかしそうにしていた こと様は少し嬉しそうな顔をして、水着を購入した
最終的に選んだ水着は、白ベースに青色の花柄で、同じ柄のパレオがついているものだった
パレオは少し透けていて、可愛らしさと、清楚さを両立したデザインだと感じた
それに色も こと様に似合っている
「買ってきました、色々考えていただき、ありがとうございます、、」
ペコリと頭を下げられた
「いえいえ!そんな!こちらこそ良いものを見せていただき!ありがとうございます!」
「はい?それってどういう??」
つい口が滑る
「あっ、、」
怒られる、そう思った
「、、私のこともそういう目で見るんですね」
こと様は下を向いている
そして、顔をあげて近づいてきた
もしかして叩かれますか!?
怖くて目を閉じる
「えっち、、」
耳元で、そう呟かれた
えっち??
突然のメスガキASMRをくらい、頭がクラクラする
目を開けると、そこに、こと様はいなかった
「行きますよ」
後ろから声をかけられたので、ふらふらっと振り向き、その後ろ姿をなんとか追うように専念する
「あー、、えー、、
えっと、、次はどうしましょうね?」
さっきの一言については触れないようにした
「次は、ランチに行きましょう」
時刻は14:30ごろ、少し遅めのランチだ
「わかりました」
一つ下のフロアにエスカレーターで降りると、レストラン街になっていた
「ここでいいですか?」
こと様がパスタのお店で立ち止まったので、
「もちろん大丈夫です!」
と答える
ぎこちないながらも、2人でお話ししながら食事を楽しんだ
最近の配信、面白かったです
ありがとうございます
そんな内容だったと思う
食事の後、コーヒーを頼んでのんびりしていたら、時刻は16時くらいになった
レストランの前で、こと様と次の行動について相談する
「もう夕方ですが、どうしましょう?
もう少しデパート見て回りますか?」
「いえ、次の目的地は少し遠いので、そろそろ出発しましょう」
「え?これから行くんですか?暗くなっちゃいますよ?」
「大丈夫です、夜行く場所なので」
夜行く場所?んー、、最低なことしか思いつかなかった、最悪だ
「それはどこでしょう?」
「ナイトプールです」
「ナイトプール?」
「はい、、」
「、、パリピ?」
「、、行きますよ」
「えぇ!?マジで行くんですか!?」
「マジです!!」
謎の展開に驚きつつも、こと様を追ってエレベーターに向かう
そして、車にもどって出発した
いざ、ナイトプールへ、パリピたちの楽園へ
、、正直こわい、、
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません!
ぜひよろしくお願いします!




