第42話 リスナーに楽しんでもらう方法
今日は、あめちゃんのApex配信を見ている
あめちゃんは、全身機械のロボットキャラを使っていた
お〜、あのケアパケ、クレーバーっすか〜
無理してでもとりたいっすね〜
2人ともいけますか〜?
パーティの2人に確認すると、2人とも屈伸していた
いけるぞ、ということだ
今回の配信は、メンバーシップ限定の参加型配信で、
視聴は一般ユーザーでも出来るが、参加はメンシプの人しか出来ないようになっていた
じゃ、慎重に迅速にぜんしーん
言いながらケアパケを取りに行く
ケアパケとは、飛行機からランダムに投下される物資だ
その中に強力なスナイパーライフルがあることがわかったので、それを取りに向かう
でも、そんな貴重なアイテム、取り合いにならないわけもなく
敵襲!ケアパケから右斜め前!
あめちゃんがケアパケに到達した瞬間、銃撃がはじまった
すぐに後ろの味方の1人がダウンを取られてしまう
2対3だ
あたしのクレーバーが火を吹くっすよ〜
しかし、あめちゃんのスナイパーライフルが相手をとらえる
あっという間に2ダウンをとって、戦況を巻き返す
あ〜確キル取られたっすか〜
すまんな、ちゅぱchu、おまえの勇姿は忘れない
もう円も終盤だ
味方を起こす場所はなかった
場所取りは最高っすね
あめちゃんたちはデカい家の屋根上を取った
有利ポジションだ
円が縮んでくると、敵同士のやり合いがそこら中から聞こえはじめる
漁夫しま〜す
あそこ、3対1っすか〜
1人の方に味方してあげましょう
そしてスナイパーで数が多いパーティの方を撃ち抜く
数を揃えて潰し合わせるためだ
そして、円は縮まって最終円、残り3パーティだ
建物内潰します
収縮が始まる前に室内に押し入り、フルパだった3人を2人で蹂躙する
そして、収縮が始まった
やっば、武器変えれなかった
最終円は近距離戦だ
スナイパーでは部が悪い
相手の姿が見える
2対2だ
いくっすよ
撃ち合いがはじまる
味方と敵が1人ずつほぼ同時にダウン
残り1人
あめちゃんはキャラの特性をいかして急接近し、最後にそいつの脳天にスナイパーを叩き込んだ
チャンピオンあざっす
優勝だ
甘梨あめだま、11キル、3000ダメージ
コメント欄
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化け物で草w
プロかよw
カッコよすぎ、切り抜き決定やな
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そんなコメントで溢れていた
じゃ、今日はこれくらいで〜
おつでした〜
また見てくださいっす〜
「やっぱ、あめちゃんの配信は見応えあるなー!」
オレはチュートリアルしかやったことがないApex配信を見終わって呟く
あれだ、なんだかよくわからないけど凄いことはわかる、みたいな感じだ
他のFPSはやったことあるんだが、オンラインの銃ゲーって当たらんのよなー
それをバンバン当ててる、あめちゃんが凄いってのはわかる
実際、他のディメコネのメンバーの配信を見たときは、全然当たらずにすぐにやられていた
あめちゃんはディメコネ屈指のFPSゲーマーだ
「今日の配信も楽しかったなー
よし、そろそろ風呂入って寝るかー」
オレは明日の仕事に備えて眠ることにした
・
・
・
会社
「それじゃ、歌ってみた動画で投稿するのは、
アスノヨゾラ哨戒班で決定でいいかな?」
「はい、それでいきましょう」
オレたちは数ある候補の中から、今でも人気曲であるアスノヨゾラ哨戒班を選んだ
最近だと、アイドルとかでも良かったのだが、Kanonの歌唱力をよりアピールできそうな曲で人気のもの、という観点で最終的にはこれに決まった
まぁ流行りの曲を出すとしたら、流行ってる瞬間に誰よりも早くアップするくらいのペースじゃないとあんまり伸びないしね
アイドルは、すでに多くの人気VTuberたちが歌っていて出遅れた感がある
次の流行曲は逃さないようにしないとな
「あと、マイクラ実況の方のテコ入れだけど、例の案で大丈夫かな?」
「そうですね、試してみるのはありだと思います」
と、いうのは、のんちゃん1人でお菓子の国作りを続けているのだが、会話がないので、どうしても説明口調になってしまい、面白味が少ない
あめちゃんとコラボしていたときの、掛け合いはすごく面白かったから、それと近いことをしたいと考えた
だから、オレがスタッフAとして、のんちゃんとの掛け合い担当になろうというアイデアだ
だけど、もちろん声出しはしない
あくまで、スタッフとしてテロップで会話するように演出するつもりだ
もし、仮にオレが女性だったとしたら、声だけ出演しても良かったのだが、残念ながらオレは男だ
アイドル的な売り方をしたいKanonには、男性との接触はなるべく避けてもらう方針なのだ
「うん、うちもあっくんとしゃべる感じなら楽しくゲームできそうやね」
「おっけ、じゃあ、このアイデアで何本か撮ってみましょう」
「わかった、それじゃ、今日の会議はこれで終わり、歌ってみた投稿のための音源依頼をKanonちゃん
テロップの準備を新井くん、お願いできるかな」
「はい」
「わかりました」
こうして、オレたちは自分の席に戻った
「これで、また再生回数伸びるといいね」
「まぁ、そんなに期待しない方がいいよ
こういうのは気にしすぎて、上手くいかないと嫌になるしね」
こと様のことを思い出しながら話す
「そういうもんなんや〜」
「だね〜、まぁ気楽にやろうよ」
「うん、わかった〜」
・
・
・
数日後、テロップでしゃべるアイデアについて、どうやって実現するのかが決まった
やり方は単純で、
のんちゃんがマイクラをやってるのを見ながら、その場でオレが思ったことをキーボードで打ち込む
すると、その文字がのんちゃんのゲームモニターの隣のモニターに表示される
見てほしいときは、ピロン、とのんちゃんにだけ聞こえる効果音を鳴らせるようにした
で、撮影し終わったあとに、テロップの内容は編集で追加する
こんな感じだ
「よし、じゃあ、さっそく撮ってみようか」
「うん、やってみよ」
「特技は歌
趣味も歌
みんなの心に響かせたい
夢味製菓、新人VTuberのKanonです」
〈こんにちは、スタッフAです〉
「はい、皆さんには変なテロップが出てると思いますけど、今日からうちのスタッフさんがツッコミ担当?ボケ担当?のよくわからないポジションで手伝ってくれることになりました」
〈ん〜ツッコミ担当かな、のんちゃんは天然なとこあるから〉
「ないわ!また、うちのことバカにして!」
〈いや、別にしてないっす。ただの事実です〉
「ハラ立つわぁ〜、ま、スタッフAのことはほっといて、今日もマイクラやっていきましょー
今日の建築アイデアは、チュールぺろぺろさんからいただいた
板チョコハウスでーす!
可愛いアイデアの応募ありがとうございます!」
〈ありがとうございます、猫ちゃんからの投稿なのかな?〉
「、、なぁ、スタッフAの入ってくるタイミングって自由なん?」
〈そうですけど?〉
「ま、まぁええわ、、
え〜それでは、チュールぺろぺろさんには後日、特別なお菓子セットをプレゼントします!
楽しみにしていてくださいね!」
〈お菓子じゃなくて、チュールの方がいいですかね?猫ちゃんみたいですし〉
「、、また、なんか言っとる、、
ねぇ、ツッコミ担当なんじゃないん?
完全にボケなんやけど」
〈じゃあ、のんちゃんがツッコんでください〉
「え〜いややわ
じゃ、チュールさんのアイデアを見ながら建築していきますね〜
でっかい板チョコで美味しそうなお家ですね」
〈こんなに食べたら太っちゃうね〉
「太る前にリバースしそうやけどな」
〈のんちゃん、アイドルなんだから、そういうこと言っちゃダメ〉
「え?そうなん?気をつけるわ」
〈まぁいいんだけどね〉
「いいんかい!はぁ、ペース乱れるわぁ」
〈ツッコミ下手くそですね〉
「む、ムカつく、、」
〈ははは
そういえば、猫ちゃんにはチョコ食べさせたらダメなんだよ
中毒になるからね、これはスタッフAとのお約束だ〉
「へ〜知らんかった
意外と豆知識持ってるんやね
まぁなんか説明の仕方は、イラッとするけど」
〈のんちゃんはイライラしてるからチョコ食べた方がいいんじゃない?〉
「今ので、もっとイライラしたわぁ」
〈ははは〉
こんな感じでやり取りをしつつ、動画を撮影してみる
会話の内容はともかく、のんちゃんが1人で黙々と建築をしているよりは、のんちゃんの毒の部分が出ていて面白いような気がする
これをどう捉えられるのかは、リスナーの皆さんに見てもらって反応を見るしかない
撮影を終えて、のんちゃんに感想を聞いてみる
「撮影どうだった?」
「うん!1人でやるよりずっと面白い!
これからも続けたいな!」
「ホントに?
それは良かった!
のんちゃんが楽しいのが重要だから、これからも続けていこう」
やっぱり、ゲーム実況は楽しんでいる配信者の姿を見るのが楽しい
のんちゃんが楽しさを感じているなら、続けるべきだと思う
撮影データをサーバーにアップしてから、オレたちはスタジオを出て自席に戻る
次は動画編集だ
「なんか、あっくん編集上手になった?」
「ホント!?実は家で勉強してるんだー!」
こと様とあめちゃんに教えてもらってる、とは言えない
けども、褒められるとやっぱり嬉しかった
2人に教えてもらったことが活かせていると実感できる
「へー、あっくんは努力家やなぁ
うちも歌の練習がんばろうかな」
「のんちゃんの歌は今の時点で最高じゃん」
「、、ありがと、ま、まぁ!そうかもやけど!
慢心はよくないからなぁ」
「そっかそっか、うちの歌姫も努力家やなぁ」
軽口を叩きながら動画を編集し、
週末にはスタッフAが登場する初めての動画を投稿した
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