第2話 はじめてのオフイベント
2ヶ月後
「よし!一日一善!今日も皆の元気のために!
行ってきます!」
オレはなんとか仕事をつづけていた
なんてことはない
会社がイヤな原因だった上司が部署異動になったのだ
とはいっても、あの日から1ヶ月くらいはイヤな上司と仕事していたからツラかった
でも、家に帰ってあの子の配信をみたら元気になれた
なんとかやってみようって前向きな気持ちになれた
ドルオタデビューである
いや、VTuberだから、Vオタか?
まぁいい
とにかく救われたのだ、あの子に
「新井くん、あの企画どうなった?」
「あ!はい!あのお菓子の企画でしたら部長からもOKでたので、次の打合せでパッケージのデザインを決めていきます!」
「はーい、了解、引き続きよろしくね」
「わかりました!」
お菓子メーカーでの企画の仕事も少しずつ上手くいくようになってる
人間なにがきっかけで気持ちが変わるかは分からないもんだ
あの時のツラさはまだ忘れられないけど、自分の企画が認められることでヤル気もとりもどしつつある
そう、それに、、なにより、オレにはこれがある、、
ひまちゃんのライブチケットー!
くぅぅ涙ぐましい努力で手に入れたこのチケット、あのときの記憶が蘇る
バーチャルYouTuber、花咲ひまわりちゃん、ひまちゃんのファンになったのは2ヶ月前
そのときにはもうライブチケットの先行抽選は終わっていて、一般販売の争奪戦に参戦することになったのだ
一般販売当日はチケット販売開始の12時前にPCの前に待機
アカウントの登録をすませ、クレカの登録もすませ、万全の状態だった
そして12時になった瞬間、
購入ボタンを連打!
更新!
連打!
無惨にもチケットは5分で”売り切れ”と表示された、、
というか何がなにやらページがグルグルしてるだけでクレカ決済のページにすら進まなかった、、
さすが人気VTuberである、、
だがしかし、オレは諦めなかった
それから20時間、更新ボタンを押し続け、翌朝の8時に奇跡的にチケットがとれたのだ!
電子チケット販売では購入のキャンセル分やクレカ決済ができなかったチケット分を改めて販売するタイミングがあるのだという
その都市伝説にかけたのだ、神に祈りつつ
そう!そして手に入れた!
しかも!限定50人の2分間おしゃべりチケットつきのやつ!
これは奇跡中の奇跡ではないだろうか!?
いや、そうに違いない!
くそー!楽しみすぎるー!
人間は現金なものである
夢中になれるものがあったり、たまたま上手くいってると調子にのるのだ
ライブ当日
深夜2:00
カチカチカチカチ
「やばい、、終わらない、、」
徹夜2日目である
自分が企画したお菓子のパッケージにミスが発覚、各方面に頭を下げデザインを再作成、印刷所への発注、発売時期の調整、
とにかくそんなこんなを昨日からずっとやっている
デザインをやるのがオレだから、結局そこが終わらないと何も進まない
明日はライブ当日、土曜日だがオレのデザインに部長の印鑑をもらうまでは帰れない
とにかく朝9時には仕上げないとダメなのだ
「なんで、こんなことに、、
いや、いまはそんなことはいい!
とにかくライブに間に合えばいい!」
8時までに仕上げて各方面に連絡、9時に部長に印鑑をもらって発注開始!
10時までに各方面から受注完了の連絡がこればなんとか間に合うはず!
ライブは12時開始
会社から会場まで1時間だから余裕はあるはず!
そう考えながら、せっせと仕事に取り組んだ
・
・
・
10:48
「はい!はい!
ありがとうございます!
この度はご迷惑をおかけしました!
今後とも宜しくお願い致します!」
「お〜新井くん、なんとかなったか〜
やるね〜」
「はい!ありがとうございます!
すみません!急ぎなので帰ります!」
「お?お〜おつかれおつかれ〜」
やばいやばいやばい!
ギリギリだ!
駅まで5分!電車で1時間!駅から会場まで5分!
10:53
あばばばばば
走れ!はしるんだおれ!
「はぁはぁはぁ、、、」
な、なんとか間に合った!
5、4、3、2、1
みんなー!今日はきてくれてありがとー!!
全力で盛り上がっていこー!!
・
・
・
ライブ後
あぁぁよかったぁ、、
天使すぎるだろ、、
昇天しかけたわ、、
ライブは約1時間半ほどで、ひまちゃんの単独ライブだった
オリジナル曲やカバー曲をたくさん披露してくれて、どれも大好きな曲だったから全力ではしゃいでしまった
いやーあそこであの曲を歌うとはなー
ライブのことを思い出しながら、会場内の自販機前でジュースを飲んでいた
そう、おしゃべり会までの待機勢である
あー楽しみだ
なにをしゃべろう
ここ2日徹夜でなんにも考えれてないなー
「48番の方ー」
お、あと2人だ、そろそろ並ばねば
「次、50番の方ー」
「は、はい、、」
「2分間ですので、よろしくお願いしまーす」
「わ、わかりました、、」
「あ、こんにちはー!
記念すべき最後の人だー!
よろしくおねがいしまーす!」
ひまちゃんがそこにいた
オレに話しかけている
あのひまちゃんが
おしゃべり会の会場には人一人分くらいの縦長のモニターが置いてあり、
そこにひまちゃんが映し出されていた
モニターの上にはカメラがあって、
オレが入ってきたタイミングでひまちゃんが手を振ったことから、こっちの姿は見えているんだと思う
オレはそのモニターの前のイスに座っていた
「あれ?固まっちゃった?
大丈夫かねー?ちみー?」
「あ!うん!
いや、はい!だいじょぶです!
えと、今日のライブ最高でした!
だ!だいすきです!」
「あははは!
めっちゃ緊張してんじゃん!
でもありがとー!
うれしいよ♡
ひまのことはいつから応援してくれてるのー?」
「えと、2ヶ月前からの新参でして
その、お恥ずかしいです、、」
「えー?そんなことないよー!
応援してくれてるんだから長さなんて関係ないない!
じゃあ聞いちゃうけど、ひまのどんなとこが好きなのー?
”だいすき”なんでしょー?(にやぁ」
(ひまちゃんがニヤついているような気がしたがテンパっててよくわからない)
「えと、、ひまちゃんの元気なところ、というか皆に元気になってもらおうっていう姿勢っていうか、
あの!毎回言ってる”一日一善、みんなの元気のためにー!”っていう挨拶が大好きで!
元気をもらえてるっていうか」
(あれ?何言ってんだ、言葉がまとまらない)
「実は2ヶ月前すごいつらいことがあって、そのときひまちゃんが配信してて!
あーこの子ゲーム下手なのに楽しそうにしてるなって!
あっ下手とか言ってごめんなさい!」
「でも!そう思って!
そのときマグマにダイブして全ロスしてすごい笑って!」
(クラクラする、ひまちゃんも黙ってるじゃん)
「そのとき、オレ最近笑ってなかったなって!」
「き、きづいて、、、」
(視界がじんわりボヤけてくる)
「だから、、
ひまちゃんが元気をくれたっていうか、、
うっ、、」
言葉はつまるのに涙は出てきてしまう
「、、、うん、大丈夫、伝わってるよ」
「うん、、それで仕事もなんとか頑張ろうって気になって
ははっごめんね、急にこんな話、、」
「はーい、2分でーす」
「あっ、、」
「マネージャーさん!あとすこしだけ!」
「ひま?んー?まぁ最後の人だし、もうちょっとね」
「うん、ありがと♡」
「あ、、」
「大丈夫だよ、つづけて?」
「えと、それから仕事の方はなんとかなって、てかイヤなやつがいなくなっただけなんだけど
それからは前向きになれて、やりがいも出てきてさ、、
今日も実は2徹なんだけど全然余裕で、ひまちゃんのライブあるからって」
「、、で、そんな感じで毎日ひまちゃんの配信みてがんばろう
って
オレも誰かに元気をあげたいって思うようになって」
「えと、だから、、、
配信してくれてて、
いつも元気をくれて、
あのとき助けてくれて、
ありがとう、、ございます、、、」
そこまで言ってボロボロと下を向いて涙を流す
はずかしくって腕で拭うが止まってはくれない
「、、、うん、うん、、グスっ」
(あれ?ひまちゃん泣いてる?)
「、、ずるいじゃん、そんなこと言うの、、
、、、
すっごいうれしい!
ひまのほうこそありがとう!
あ!ございます!
えへへ」
「いや、そんな、、」
(あー天使だ天使がいる)
「ひま、そろそろ、、」
「マネージャーさん!もうちょっとだけ!」
「って言ってもほかのファンの目もある、、」
「あっ!大丈夫です!
たくさん時間もらってありがとうございます!
今日は最高でした!
それじゃあ!」
そういってオレは勢いよく立ち上がって頭を下げる
フラッ
(やばい、、立ちくらみ?? 2徹で はしゃぎすぎた??)
一瞬そんな考えが脳裏によぎったところで、オレの意識はなくなった
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