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第161話 変態混浴男の断罪裁判

「そんで?」


「、、、えっと、、」


「はよしゃべらんと警察呼ぶでぇ?」


「そんなご無体な!!」


ばっと顔を上げる


オレは脱衣所でタオル一枚を腰に巻いて正座させられていた


「あらとさん?ひま、顔あげてイイって言ったかな?」


「ご、ごめんなさい、、」


すっかり私服に着替えたひまちゃんに笑顔で睨まれてオレは顔を下げる


「それで、変態の!おにいさんは、リルとこんなところで何してたんですか?

2人とも、、裸で、、変態」


「せやなぁ、回答次第ではボコボコにして豚箱や」


ひまちゃんの両サイドにいる鬼たちがそんなことを言っていた


阿吽の呼吸である


いま、脱衣所にはこの4人しかいない


リル姫は服を着せられて外に追い出され

あめちゃんは佐々木さんの介抱のために外に出ていた


「な、なにも、、してないです、、」


「はぁ?2人でお風呂入ってたやろぉ?

ことちゃん、110」


「はい、、おにいさん、残念です、、」


こと様が悲しげな顔でスマホを操作し始める


「ちょちょ!チョットマッテヨ!!

ホントになんもしてないんだって!

リル姫が勝手に入ってきて!むしろオレは被害者だよ!」


「ひがいしゃ〜?へー、あっくんは往生際がわるいなぁ?」


「往生際もなにも!真実だよ!」


「あらとさん?」


「へい!!」


ひまちゃんの暗い声に姿勢を正し、すぐに返事をする


「ホントのこと、話して?」


「ほ、ほんとのこと??

いや、、だから、、」


「だから?だからってなに?あらとさん?」


「いえ!説明させてください!

私がこちらの貸切風呂に来たのはですね!

どなたかわかりませんが呼び出しを受けたからです!

17時に翡翠の湯に来て

そう書かれたメモをいただきました!

ですので!こちらに参ったのですが!

18時になっても誰もこず!

ああ!イタズラだったのかぁ!

ひとっぷろ浴びてくかぁとなったわけですね!

はい!

で!1人でお風呂に入っていたところ!

あのマゾ女が!

いえ!リル姫さんが突然入って来てですね!

お仕置きして欲しいとかなんとか言ってきて!

すぐに逃げ出したところ!皆様の素晴らしい御姿を見せていただいて!!」


「素晴らしいお姿?って??」


「おにいさんの変態!!」


「あっくん、、うちらのことそういう目で見てたんや、、」


「どういうこと?Kanonちゃん?」


「、、あっくんはうちらの下着姿見て、興奮してたんやって」


「こうふん??

、、っ!?

あらとさんのえっち!!サイテー!!

怒られてるってわかってるの!?ひま怒ってるんだからね!!」


「は!はい!

わ!わかっております!

失言をば!!

誠に申し訳ありません!!」


オレは平に平に頭を下げた


It’s a 土下座 style


ピピ、ウィーン


「お説教終わったっすかぁー?

おぉぉ、、ジャパニーズドゲザ、、」


入口から入って来たあめちゃんがそんなことを言ってくる


オレは必死なんだ、なんとかしてくれ、そもそも元凶はキミじゃないか、、


ん?元凶はキミ?

なぜ、そう思った?


「、、ねぇ、、あめちゃん、、」


「ナンスカー?」


「あのメモって、、」


「ナンノコトスカー」


顔を少しあげて横を見ると、

あめちゃんがめちゃめちゃわかりやすくとぼけた顔をしながら口笛を吹いていた


音は出てないけど


「あ!あいつ!あいつが犯人です!皆さま!!」


オレは必死に今回の件の元凶らしき少女を指差し無罪を主張する


まだ死にたくない


「犯人〜?」


「メー?」


「あめちゃん?」


「、、ぴゅ〜〜」


そして、あめちゃんの口から間の抜けた口笛が聞こえてきた


「メー、、あんた!!」


「なんすか!!みんながついてきたのが悪いんす!!

帰れって何回も言ったっす!!」


「そういうことじゃないでしょ!!

おにいさんをお風呂に呼んでるなんて思わないじゃない!!

この痴女!!」


「痴女とは失礼な!

ちょっとセクシーなだけっす!」


「ちょっとってなによ!!

裸で混浴しようとか!痴女でしかないわよ!

あんた!それ以上する気だったんじゃないでしょうね!?」


「それ以上!?それ以上ってなんすか!!

ことはホントにむっつり女っすね!!

混浴風呂であらあらパイセンとエロいことするの想像したんすか!

ことの方が痴女っす!!」


「なっ!?あんたねー!!反省しなさいよ!!」


「いやっす!!バーカ!!」


「こいつ!!」


「ことちゃん、ちょっと黙って」


「ひ、ひま先輩?」


暗い声のひまちゃんがずいっと前に出て、あめちゃんに近づいていく


「ねぇ、、あめちゃん?」


「な、なんすか、、」


ずいずいと壁際に追い詰められるあめちゃん


背中は壁だ、もう逃げられない


「説明、、してくれるよね?」


「、、は、はい、、」


ひまちゃんの圧に屈したあめちゃんがペラペラとことの発端について話し始めた


オレのことを誘惑しようと思って、こっそりメモを渡し貸切風呂に誘導したこと


そのメモが誰からのものかオレは知らなかったこと


そのときのメモがなぜかリル姫の手に渡り、

こと様たちに部屋を出るのを邪魔されて待ち合わせ時間に大幅に遅れたこと


その間にリル姫がお風呂に突撃してしまったこと


そんな具合の話であった


「、、、このクソガキ、、うち、このツインテール引きちぎりたいわぁ」


「私もです、、」


「ははは、2人とも怖いっすよ〜

、、冗談っすよね?」


いつの間にかオレの隣で正座させられてるあめちゃん


罪人AとBの図である


あれ?なんでオレは解放されないの?

この子のせいじゃん?


「あらとさん?なに自分は悪くない、みたいな顔してるの?」


「え?」


まだ笑顔が張り付いたままのひまちゃんがオレを睨む


「あらとさんは女の子に混浴風呂に誘われてホイホイやってきた変態さんだよね?」


「い、、いやいや!!

わたくしめは30分以上早く到着して混浴はダメだよと断ろうとしておりましたゆえ!!

紳士でございます!!

けっして!けっして変態ではございません!!」


「ふーん?」


「し、信じていただけないでしょうか、、」


「むー?

ことちゃん、どう思う?」


「え?私ですか?うーん、そうですねぇ、、

おにいさんが嬉々として混浴に応じる人とは思いませんが、、

さっき私たちの下着見て喜んでましたし、、

怪しいものですね」


「そ!そんな!?」


「あらとさんはだまって」


「はい、、」


「Kanonちゃんはどう思う?」


「うちはとりあえずこのガキと変態男をボコボコにしたい」


「なるほど、一考します」


一考しないでほしい、、


「で、あらあらパイセンは誰と混浴したかったんすか?」


「は?」


「え?」


「、、、」


あめちゃんがとんでもない爆弾を放り込んだ

場の空気がシーンと凍り付く


「、、あらとさん?」


「え?なに?」


「答えて」


「こ、答えて?なにを?」


「だから!あらとさんは誰と混浴したかったの!!」


「いやいや!!そんなありがたいこと考えてませんよ!?」


「ありがたいって言ってます!ひま先輩!!」


「この変態はやっぱりボコボコにせぇへんと」


「えっち!!あらとさんの変態!!」


「ち、ちがうのに、、、」


ほろり、、


精神の限界がきたオレは、気づけば瞳から大粒の涙が流れだした


「泣いても解決せぇへんで」


「あ〜あ、みんなしてパイセン泣かして〜

かわいそうに、お~よちよち」


口を尖らせながらオレの頭を撫でる隣のツインテール


「あめちゃん、、そもそもキミのせい、、」


「むっ、撫でるのやめるっす」


「あっ、、」


ポロポロ、撫でられて引っ込みかけた涙がまた流れ出す


「、、、とりあえず、佐々木さんを部屋に運びましょうか」


「こと様?」


「おにいさんへの罰は後で考えましょう

いつまでも裸にさせておくと風邪引きそうですし」


女神か、女神のお許しが出た


「あ、ありがとうございます、、」


そして、オレはまた平に頭を下げたのだった

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