第157話 貸切風呂へのご招待
みんなで展望台からの景色を楽しんだ後、
オレたちはまたロープウェイに乗って下山し、電車で温泉街に戻ることにした
駅についたらコインロッカーから荷物を取り出し、オレが全部持って宿に向かう
みんなはそれぞれ
持つよって言ってくれたが、大丈夫だ問題ない
これで道ゆく人から
なんだあいつ?冴えないやつのくせに可愛い子はべらせやがって、クソが
という視線を向けられないで済むからだ
ま、被害妄想かもしれないけど
「はい、それじゃあ、これ」
宿についたら、みんなにお土産の袋を返して、一旦解散となった
ことあとはお風呂にでも入ってのんびりしたあと、また豪華な食事会だ
「あー、今日も楽しかったなぁ」
そう思いながら、エレベーターに向かい、自室の鍵を取り出そうとボディバックの中をガサゴソと漁る
「ん?なんだこれ?」
カバンの中を漁ると、カードキーを見つける前に
見覚えのないメモ用紙?が入っているのに気付いた
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17時に貸切風呂、翡翠の湯、へ来て
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そう書いてあった
「なんだこれ?」
ふーむ?いつこんなもんが入ったのだろう?
宿から出たときはもちろん入ってなかった
つまり、4人と遊んでいた間に入ったことになる
誰かが入れた?
誰か、となるとあの4人の誰かだ
「ふーむ?」
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17時に貸切風呂、翡翠の湯、へ来て
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文字は丸みを帯びててかわいらしい感じだ
みんなのサインを思い出す
サインの雰囲気からして、このメモの文字は、、
「んー、わからん、、」
メモの語尾に着目してみる
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へ来て
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という言い回しからして、こと様ではない気がする
こと様なら、
来てください
だろう
でも、急いで書いてあるようにも見えるし、最後まで書ききれなかったのかも
のんちゃんならどうだ?
へ来て、かなぁ?
来い
の方がしっくりくる
いや、そんなことないか、、なんかごめん
ひまちゃんやあめちゃんでも、この語尾に違和感はない
つまり、結局のところ、誰かわからん
誰からのメッセージなんだろう?
ん?てか、貸切風呂でなにを?
、、、混浴?
、、ははっ、、いや、、まさか、、
「新井くん?」
「ひゃい!?」
オレがメッセージの意図を解読しようとして、邪な想像に向かおうとしていると、
突如後ろから声をかけられた
「おわっ!?なんだい、びっくりしすぎじゃないかい?」
振り返ると結木課長がそこにいた
さらに後ろには二宮さんやリル姫
つまり、この旅行に参加している残りの人たちがずらりと揃っていた
「こんなところで立ち尽くしてなにしてるんだい?」
「え?いや?特には?部屋に戻るところです??」
「なぜに疑問系?」
オレはさっきのメモのことが気になりすぎて、まともに課長の相手ができなかった
貸切風呂にあの4人の誰かがオレを呼び出した
一体なんの目的で、、ゴクリ、、
「なにその顔?」
「はっ!?」
課長が不思議そうな顔でこっちをみてくる
「い!いやー!今日も楽しかったですね!課長たちも観光ですか!?」
「え?あーうん、そうだよ
キミがあめちゃんを連れてっちゃったから、、
皆さんをお誘いしたんだよ?」
あ、地雷だった
ちゅぱかぶらから呪詛の言葉があふれ出る
「ハハハ!」
「なに笑ってるんだい?ぶっ飛ばすよ?」
「ハッハー!ではこれで!」
オレは逃げるようにその場を後にする
階段で行こう、階段で
このまま留まっていたら呪われそうだ
「おい、、いっちゃった
あ、お待たせてすみません、私たちも戻りましょう」
?
なんだろこれ?
わたしは、新井さんが去って行ったときに落とした紙を拾う
なにか大事なものだったら返してあげないと
そしたら、なにかご褒美くれないかな、、
また叩いてもらっちゃったり、、へへ、、
ぶんぶん
わたしは頭を振る
新井さんはSっ気あるけど、いきなり叩けとか変だよね
こういうのは少しずつお互いのことを理解して、、それからたくさん、、
そんなことを考えながら、紙に書かれている文章を読んでみる
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17時に貸切風呂、翡翠の湯、へ来て
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「、、貸切風呂?」




