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第149話 父親との確執

バフッ


自室に戻ったら、すぐにそのままベッドに倒れ込んだ


「、、はぁ、、」


先ほどの両親とのやりとりを思い出してため息をつく


母さんはいい

テンションが高いだけの、めんどくさいおばさんだ

悪意はないし天然だから、ほっといても勝手に話は進んでいく


しかし、問題は父さんだ


自分でも、あそこまで父さんの発言に感情を揺さぶられたことにビックリした


なんでなんだろう

いや、思い当たることはあった


あのときだ


オレが1番辛かったとき、とどめを刺したのはあの人だったからだ


いや、正確にはそうじゃない


オレがパワハラで鬱になりそうになって、母さんに助けを求めて電話したとき、

たまたま父さんが出て

たまたま上司と同じ言葉を発した


それだけだ

それだけだということは頭ではわかっている


別に父さんのことは嫌いじゃないし、

今でも警察官の父さんのこと、尊敬もしている


でも、それでも、あのときのことが忘れられなくて、

なんか、オレのことを認めてないと感じると、無性に腹が立った


なんにも知らないくせに

オレのことわかってないくせに


どんどんそんな考えが頭をよぎってくる


「はぁ、、やめよ、、考えるの、、」


今日は楽しかった、それでいいじゃん

ひとりごとをつぶやきながら仰向けになり、天井を眺める


「へへ、、」


みんなの水着姿を思い出して、すけべな笑みを浮かべた


「、、すみませんでした」


そして勝手に反省した


ブブブブ



スマホが振動していることに気づく

画面を見ると母さんからであった


ポチ


「はい、もしもし、なんか用?」


「ねぇねぇ!食事はみんなとできるのよね?」


「あーうん、できるって言ってたよ」


その件については旅館の方に依頼済みだ


「あら!それは良かったわ!楽しみねー!

あんたがあんなに可愛い子たちに言い寄られてるなんて!

母さんテンション上がりっぱなしよー!」


「あーうん、ありがたいことだよね

夢みたいだよ」


「そうよー!だから、のんちゃんといつまで経ってもくっつかなかったのね!

そりゃそうよ!母さんだって決められないんだもの!」


「ははは、、

で、なんか用じゃなかったの?」


「あ!そうそう!今からお風呂行くんだけど!

あんたも来なさいよ!

お父さんが話したいって!」


「、、あー、、」


正直いやだった

でも、断るのは変だよな、、


「なによ!いいわよね!今からえーっと、7階のお風呂いくから!

エレベーターの前で待ち合わせね!」


「あー、うん、わかったわかった」


「それじゃ!すぐ部屋出るからね!

すぐ来るのよ!」


「あいあい」


プチ


「はぁ、、めんどくせ、、」


そうつぶやきながら、お風呂に行く準備を始めた



「おまたへー」


「あら、早かったわね」


「すぐ来いって言ったの母さんじゃん」


「そうだけど、なんだかんだ、いつも遅れてくるじゃない」


「はいはい」


「、、新人、仕事の方は、いや、風呂に入りながら話そう」


「、、へーい、、」


「なによ、気のない返事ねぇ

母さんは仕事のことよりもあの子たちのことを聞きたいわ!」


「まぁ、それはまた今度ね」


「ご飯のときにたくさん聞くわ!」


「あー、、あんまり、みんなを困らせないでね?」


「もちろんよ!うふふ!母さん、最近で1番楽しいわー!」


ハイテンションな母さんと静かな父さんと一緒に風呂に向かう

そして、男湯と女湯にそれぞれ分かれて大浴場を楽しむことにした


「あのお嬢さんたちは、みんな仕事の取引先なのか?」


「うん、そーだよ」


脱衣所で服を脱ぎながら父さんと話す


「そうか、ずいぶん若そうに見えたが、VTuberというのは未成年でもできるものなのか?」


「うん、若い世代向けのサービスというか

まぁアイドルみたいな感じだから、未成年の人もたくさんいるよ」


「そうか、しかし新人、ということはだ

やはり、あんなに若い子に諭されていては男としてダメだ

もっと男らしくならなくてはな」


むっ、、


「、、はいはい、父さんみたいにムキムキでなくてすみませんね」


久しぶりにみる父の裸体は変わらず鍛え上げられていた

警察官として日々、柔道だか剣道だかで鍛えているのだろう


「そんな見せかけのことを言ってるんじゃない

心の部分の話だ」


「へいへい、がんばります」


古臭いことを言い出して、めんどうなので、適当にあしらって浴場に入る


旅館のお風呂はとても広くて、

室内のお風呂には大きな窓があり、眺めがよかった


7階という高層階にあるので、窓の向こうには、川や緑が眺めれていい感じだ


そして、奥には露天風呂もありそうだった


父さんと横に並んで座り、身体から洗い、2人して内湯に浸かる


「ふぅー、、いい湯だねぇ」


「そうだな

、、仕事は順調か?」


「うん、楽しいよ、順調順調」


「そうか、、

皆さんの役には立てているか?」


「うん、たぶんね」


「たぶん?ホントか?

少し前は辛いだのなんだの言ってたが大丈夫なのか?」


は?

、、あの時の電話のことを持ち出してるのか?


「、、はぁ、、露天行くわー」


オレは話す気になれず、露天風呂に逃げる


しかし、父さんも後ろからついてきた

めんどいなー


露天風呂は岩風呂のようになっていて、一部に木製の屋根が設置されていた

雨が降っても温泉を満喫できそうである


「あったけー」


風呂に浸かりながらひとりごとを呟く

なるべく話しかけられたくなかった


「それで、ホントに仕事は順調なのか?みなさんに迷惑かけてないか?

やりがいはあるか?」


「、、やりがいはあるよ、順調順調

この前、オレが企画したお菓子もコンビニに並んだし、母さんから聞いてるだろ?」


「それは母さんから聞いたが、なにもおまえだけの力ってわけじゃないだろう?」


なんなんだ?なんで認めてくれない?


「あのさー、、さっきからなに?

ツラいって、みんなに迷惑かけてて上手くいってないって、

そう言ってほしいわけ?」


我慢ができなくなり、強めに反論する


「いや、そんなことは言ってない

ただ、、」


「もう勘弁してくれ、父さんと話してると憂鬱になる

もう出るわ」


「あ、おい、、」


オレは父さんの顔を見ず、風呂を出ることにした

せっかくの温泉なのに全然リラックスできない


イライラするなー


オレは無言で身体を拭き、ささっと浴衣に着替えて自室に戻った


母さんがお風呂の後でお茶しましょ、とか言ってた気がするが、無視する


「はぁ、、」


自室に戻ってから、また ため息をつく

逃げるように帰ってきたけど、後1時間もしないうちに夕食でまた会うんだよなぁ、、


行きたくないな、、

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