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第123話 猫cafeデート(後編)

「こんにちはー!」


「あ、こんにちは〜、いつもありがとうございます〜」


店内に入ると若い女性が出迎えてくれる

ひまちゃんはこの店の常連のようだ


「いえいえー♪こちらこそですー♪

今日は2人で来ました!」


「あら?彼氏さんですか?いいですね〜デート」


「え?えへへー///彼氏さんだって///

あ!あの!いつものフリータイムで!

これ!会員カード!」


「かしこまりました〜」


恥ずかしがってるひまちゃんを横目に店内を見渡す


お店は縦長の2階建ての建物で、

1階には受付とドリンクバー、荷物用のロッカー、雑貨などが置いてあった


肝心の猫ちゃんがいない


「猫ちゃんはねー!2階にたくさんいるんだよー!」


首を傾げていると、ひまちゃんが説明してくれる


「ここで靴を脱いでね!」


「うん、わかった」


「それでね!ドリンクバーでジュース飲むときは1階だけね!

2階には持ってっちゃダメだから!

猫ちゃんがこぼしちゃうかもだからね!」


「ふむふむ、なるほど」


「で!荷物はここのロッカーに入れてください!」


「わかった」


「一緒に入れよ♪」


「う、うん」


荷物を入れていると、ピタッと横にきて肩が当たるもんだからドキッとする

それにしてもさすが常連さんだ

ひまちゃんは、店員さながらに説明してくれる


オレはスマホだけポケットに入れて、荷物をロッカーにしまった

ダイヤル式の鍵を閉めて準備が整う


「じゃ!2階いこー!」


「うん、案内お願いします」


「まかせてー!」


オレはひまちゃんの後ろについて、階段を登る

2階にあがると、すぐに腰より高い柵の扉があり、ひまちゃんがそれを開けてくれる


「はい、どーぞ♪」


「ありがと」


扉は二重になっていて、まずは1枚目の扉を開けてから鍵をしめ、

いよいよ2枚目だ


周りを見ると、ネコ、ネコ、ネコ、

猫だらけだった

10匹以上はいそうだ


この二重扉は猫の脱走防止用なのだろう

2枚目の扉をひまちゃんが開けてくれたので、中に入る


猫cafeの猫ゾーンには、たくさんの猫ちゃんがそこら中にいた


室内は、白い木目のクッション性のある床に、白とグレーのシンプルな壁紙の大きな部屋だった

部屋の真ん中には、円形のソファがあって、その真ん中にデッカいキャットタワーが設置されている


そこのソファには何人か先客のお客さんが座っていた

キャットタワーは壁際にもいくつもあるが、人の手が届く範囲の高さくらいのものしかなかった


「はわわ、今日もみんなかわいいよぉ〜」


オレが内装を見学していると、隣のひまちゃんが両手を頬に当てながらトロトロになっていた


ひまちゃん?まだ猫に触れてもいないのに、、

大丈夫なのかな

猫ちゃんと触れ合いだしたら、溶けそうな顔をしている

すでに目はハートだ


「あらとさんあらとさん、まずはすぐに触らせてくれる子のとこにいこー?」


「あ、うん、じゃあ、どの子か教えてくれる?」


お、まだ理性はあるようだ

トロトロになりながらも、一生懸命オレを案内してくれる


「えーっと、あの子!

キューちゃん!いこいこ!」


ひまちゃんについて歩いて行くと、窓際の本棚であくびをしている猫ちゃんの前に連れていかれた


その子は、虎柄のもっふもふな毛並みの猫ちゃんで、名前をキューちゃんというらしい

首輪のところに名前が書いてあった


「キューちゃん、こんにちは〜」


その子はチラッとひまちゃんを見た後、また元の姿勢に戻り、あくびをする


「よちよち〜、今日もかわいいでちゅね〜」


ひまちゃんがキューちゃんを撫でる

撫でられたキューちゃんは気持ちがいいのか、目を細めて大人しくしていた


「あらとさんあらとさん、触ってみて?」


「うん、じゃあ」


ひまちゃんに促されたので、キューちゃんの背中に触れてみる

もっふもふだ


「おぉぉ〜、やわらか、、」


「でしょでしょ!キューちゃんの毛並み、きもちいいんだぁ〜♪」


もっふもっふと背中を撫でる


「うふふ〜♪癒されるでしょ?」


「だね!これはずっと触ってられるやつ!」


「だよねだよね!キューちゃん、ありがとねー♪」


ひまちゃんがこちょこちょとキューちゃんの顎あたりを撫でて、こっちこっち、と次の子のところに案内してくれる

次は、真ん中の円形ソファの中央に位置するキャットタワーにつれていかれた


「この子はリットくん!抱っこさせてくれるんだー!」


キャットタワーで座っていたリットくんと呼ばれた真っ白の短毛の猫ちゃんを

ひまちゃんがひょいっと抱っこする


そして、ソファに腰掛けた

オレも隣に座る


「よちよち〜」


ひまちゃんの膝に乗ったリットくんは大人しく撫でられていた


「あらとさんも撫でてあげて♪」


「うん」


オレもひまちゃんの真似をして耳の後ろをこちょこちょしてみた

すると、リットくんはゴロゴロと喉を鳴らしだす


「きもちぃーみたいだね♪」


「ホントだね、猫ってホントにゴロゴロいうんだ」


「あ、あらとさんって、猫ちゃん触るのはじめて?」


「うん、あんまり触れ合う機会がなかったから」


「そうなんだー♪初体験だね♪」


なんだか、そのワードにエッチさを感じてしまったが、頭の中で自分をぶん殴る

ひまちゃんは天然なんだ!

この発言に他意はない!!


「う、うん、ひまちゃんのおかげで楽しいよ」


「ホントにー?ありがとー!そう言ってくれてひまも嬉しい!

あ!ねー!写真とろーよー!」


「あ、そうだね」


オレはリクエストされるまま、スマホを取り出して、ひまちゃんの方に向ける

ひまちゃんはなぜか不思議そうな顔をしたが、ふふっと笑ってポーズをとってくれた


「にゃーん♪」


右手でリットくんを撫でながら、左手で猫のポーズをしてくれる


はぁー!?かわいすぎだろ!!


ドキドキとしながらも、若干キュートアグレッションを感じながらシャッターをきる


「う、うん、いい感じに撮れた」


ひまちゃんに見せながら、

家宝にしよう、と心の中で思う


「えへへ、ありがと、でもね?

ひまはあらとさんと一緒に撮りたいの」


「あ、なるほど、わ、わかった」


だから最初、不思議そうな顔をしたのかと合点がいく


「もっと近くにきて?」


「う、うん」


ソファで座る位置をずらしてひまちゃんの方に寄る


「もっと!」


「あ、うん」


結構近づいたのだが、もっとらしい

触れるか触れないかというところまで近づく


スッ

するとひまちゃんがピタリと身体を密着させた


「は、はい、、じゃあ、撮って?」


頬を染めながら、写真の催促をするひまちゃん

その様子にオレも恥ずかしくなる


「う、うん、、」


オレは左手を伸ばして、2人と猫ちゃんが入るように写真を撮った


「こんな感じでどうかな?」


なかなか角度が難しくて、何度か撮り直した1枚をひまちゃんに見せる


「うん♪いい感じ♪ありがとー!あとでLINEで送ってね♪」


「わかった」


「ニ"ャーン、、」


ひまちゃんと会話しているとすぐ近くから、野太い鳴き声がする

なんだろう?と左を向くと、オレの太もものあたり、ソファの上に乗ったデッカい猫がこちらを見ていた


「わぁー、、ボスくんだよ、あらとさん」


ひまちゃんが小さな声で話しかけてくる


「ボスくん?」


ボスくんと呼ばれたその猫はたしかにボスの風格で、ふてぶてしい顔をしていた

いわゆるブサカワというやつだろうか


グレーの縞々のその子はオレの太ももを前足でふみふみすると、

よっこいしょ、という感じでオレの太ももに乗って寝転んだ

結構な重量感であった


「わぁー、ぜんぜん触らせてくれないボスくんがー、わぁー」


隣のひまちゃんはいたく感動しているようだった


「この子はあんまり人懐っこくないの?」


「んー、そういうわけじゃないと思うんだけど、ひまは触らせてもらえなくて、

店員さんに聞いたら、ほとんどの人はそうなんだって

だから、あらとさんはすごいんだよ!」


チラッ


「あっ、、」


大きな声を出したひまちゃんをボスくんが睨みつける

それを見てひまちゃんが口をおさえた


「大きな声がきらいみたい?だね?」


コクコク


ひまちゃんがうなずく


「あらとさん、撫でてみたら?」


「んー、大丈夫かなぁ?」


様子見として、指を顔の前に持っていく

すると、ペロリ、と舐めてくれた

撫ででもいいぞ、ということなのかな


そう解釈したオレはそっと背中を撫でる

しばらくすると、ゴロゴロゴロと大きな音を喉で鳴らしだした


「すごーい、ボスくんを手懐けてるー

うふふ、あらとさんやるじゃーん」


隣のひまちゃんはニッコニコだ

それを見てオレも楽しくなる


「猫使いの才能あるかも、あはは」


ついつい、ドヤ顔をしてしまう

すると、


スッ


ボスくんは膝から降りて、キャットタワーの頂上に登って、オレを一瞥した


調子にのんな

そう言われているようだった


「お、おおう、、賢い子なんだね、、」


「あはは!そうだねー!ボスくんは気まぐれだから!おもしろーい!」


そのあと、しばらくリットくんを撫でながらお話しして、

1階に戻ってジュースを飲んだり、雑貨を見たりした

それからまた2階に戻って、ほかの猫ちゃんを紹介してもらって猫cafeを堪能する


2、3時間たっただろうかというところで、お昼ご飯にしよー!という話になったので、猫cafeを後にした

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