第121話 ついに決まった推し事務所とのコラボ企画
月曜日、会社
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夢味製菓 株式会社
新井様
お世話になります。
ディメンションコネクトの二宮です。
先日は、弊社とのコラボレーションのご提案ありがとうございました。
弊社内で検討させていただいたところ、是非とも今回のご提案をお受けしたいということになりました。
つきましては、具体的な企画内容についてお打合せしたいと思います。
また、その際に契約面に関してもお話しさせていただければと思います。
この度は素晴らしいご提案ありがとうございました。
私はもちろんのこと、弊社としても全力で今回の企画に取り組んでいく所存です。
それでは、ご返信をお待ちしております。
よろしくお願い致します。
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「か、かちょー、、」
「新井くん、、」
「つ、ついに、、」
「ほんとに、、」
「はぁ、また騒ぎ出すんやろなぁ、、」
「新井くん!」
「ううう、、」
「あれ?泣いてる?」
「そっちのパターンなんや、はいハンカチ」
「ううう、、あんがと、、」
のんちゃんからハンカチを受け取って、よよよと泣き崩れる
「がんばったもんね!この部署に来る前からの企画だもんね!
泣いていい!泣いていいんだ!新井!」
「うう、、はい、、ついに、、ひまちゃんたちと、、しゅ、しゅごい、、」
「せやなぁ、たしかに、あっくんはガンバっとった
あ、ハンカチで鼻かんだらぶっ飛ばすからなぁ?」
「、、ずびっ、、は、はい、、」
今しがたチーンとやろうとしているところだった
あぶないあぶない
「はい、ティッシュ」
ぶっ飛ばす発言からのこれである、結局のところ優しんだからもう
「あんがと」
チーン!
鼻をかむ
「ふぅー、、メール、返さないと、、」
「だね!たっぷりプリンと感謝を伝えたまえ!!」
「りょーかいです、、」
課長の雑なボケはスルーしておく
「おいおい!テンションあげてこーぜー!フゥー!」
「課長うっさいです、席戻ってください」
「イヤだー!もっと騒がせてよ!
Kanonちゃんなんか怖くないんだからね!」
「へー?」
「、、こ、こわくない、、」
ジー
「、、新井くん!メール!しっかりね!」
パン!っとオレの肩を叩いて課長が自席に戻っていく
のんちゃんに負けたようだ
「よ、よし、二宮さんにお礼のメール送らないと、、」
オレはパソコンに向き直る
「あ、、おおう、、」
ふと、メールの送り主を見ると、CCにマネージャーさんたち3人の名前があることに気づく
1人目、ひまちゃんのマネージャー、飯塚いのさん
オレにタバコの煙を吹きかけて、ぶち切れながらブタブタと問い詰めた人だ
2人目、こと様のマネージャー、島野百合さん
オレのことを正座させてブタさん呼ばわりしながら、しゃべることも許してくれなかった人だ
3人目、あめちゃんのマネージャー、佐々木紗理奈さん
1番温厚そうだけど、三股をかけてる疑惑のとき、オレのことをゴミを見る目で睨んでいた人だ
「、、、」
あのときのことを思い出し、また怖くなってきた
自然と姿勢がシャキッとする
「、、、よ、よしっ、仕事できるアピールしないとな、、」
なんだか、別の意味で気合が入り、オレはメールの文章を考え始めた
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株式会社ディメンションコネクト
二宮様
お世話になります。
夢味製菓の新井です。
この度は、弊社からのコラボレーションのご提案をお受けいただき、誠にありがとうございます。
良いお返事をいただき、弊社一同、大変嬉しく思っております。
具体的なお打合せについてですが、いくつか候補日を挙げさせていただきますので、
ご都合の良いお日にちをお教えいただけるでしょうか。
以下日程でしたら、お時間は全日可能でございます。
候補日①:2023/--
候補日②:2023/--
候補日③:2023/--
契約面につきまして、弊社内でも協議、検討いたしまして、ご提案できるよう準備させていただきます。
最後になりますが、貴社の素晴らしいタレントの皆様、またスタッフの皆様とお仕事ができること、
大変嬉しく思っております。
以前のコラボレーションから半年ほどお待たせすることになってしまいましたが、
今回は理想とする形でのコラボレーションがご提案できたのではないかと考えております。
貴社にもそう思っていただけるよう、全力で取り組んでまいりますので、何卒宜しくお願い致します。
以上、ご返信のほどお待ちしております。
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よし、、どうだろうか、、形式的なところもちゃんと記載して、自分自身の思いも書いてみたのだが、後半はいらないだろうか?
ちょっと読書感想文っぽくなっちゃったかな?
不安になり、課長にチェックしてもらう
「うん、、うん、、いいと思うよ!」
「大丈夫でしょうか?結構、暑苦しいかも?と思うのですが、、」
「今回送る人たちは顔見知りだし大丈夫だよ!
二宮さんはきっと笑ってくれるだろうしね!」
「そ!そうですかね!あ、、でも、、」
マネージャーさんたちのことを思い出す
「どうかしたのかい?」
「、、いえ!大丈夫です!では送ります!!」
「うん!送っちゃえー!ハッシャー!」
「ヨーソロー!」
マネージャーさんたちの白い目が頭の片隅にチラつきながらも、メールの送信ボタンを押す
もう止められない
でも、後悔はない
オレはこの企画にかけてきた
熱い思いがあるのだ
知ってもらいたい、それはエゴだが、課長も許可してくれたしイイだろう
二宮さんからの返信いつくるかな~♪
オレはルンルン気分で、とりあえず、契約書のこととかをうちの法務部に問い合わせることにした




