第118話 パワハラには屈しない!絶対にだ!
「ということで、磯部さんは会社を自主退職することになった」
「なるほどー」
「なんやそれ、、」
オレとのんちゃんは、パワハラさんの末路について、結木課長から説明を受けていた
「なんか納得いかへん、、
それってちゃんと罰になってます?
あっくんに対して、たとえば慰謝料とか、、」
「んー、のんちゃん、オレは別に大丈夫だよ」
「でも、、」
「ありがと、でも、むしろあの人からお金もらうのもなんか気持ち悪いし
もう関わりたくないんだよね
だから、会社からいなくなるっていうなら、もう会わなくてもいいし
もういいかなって、そう思ってる」
「あっくんがそれでいいなら、、」
「うん、私も Kanonちゃんと同じで、この結末には少し納得いかないと思った
新井くんには本人からしっかり謝罪させたかったし、なにかしら罰を与えたかった
でも、謝罪のために、あの人に会いたくは、ないよね?」
「はい、会いたくないですね
そもそも、あの人、反省しないですよ」
「そうだよね、同感
だから、妥協案になっちゃうけど、新井くんの通院費用はもちろん会社から出すし、次のボーナスには特別手当を載せてもらうことにしたから」
「特別手当?」
「うん、まー、ボーナスの額がちょっとね、いや、結構ね」
「おぉ?」
課長の含んだ言い方に、ちょっと期待してしまう
「いくらくらいなんですか?」
なぜ、のんちゃんが聞く
「んー、まぁ内緒、受け取ったら新井くんに教えてもらってよ」
「んー、じゃあそうします」
え?教えるなんて言ってないけど、、
「教えてなぁ?」
「あ、、はい、、」
黙っていると、ニッコリと圧力をかけられてしまった
ま、まぁ、のんちゃんも会社の誠意を知りたいだけだろう
それに、入院中にのんちゃんにはすごくお世話になった
その特別手当とやらで、美味しいご飯でも奢らせていただこうと思う
「まっ!とにかく!ひと段落つきましたね!」
「そうだね、なんともな結果だけど」
「いえいえ!課長のおかげですごく助かりました!
のんちゃんも!
2人が味方でいてくれたことで、ホントに!ホントに何度も救われたんです!
ありがとうございました!」
「あはは、かわいい部下の味方はするのは当然だよ」
「うちかて、大切な人やから、あたりまえ」
「おぉー、Kanonちゃん攻めるねぇー」
「うるさいですよ?お口、縫いつけましょうか?」
「こっわ、、」
「あはは、のんちゃんならやりそうだよね」
「冗談なのになぁ、失礼やわぁ」
「なら言わなければいいのに」
「あはは」
こうして、オレとパワハラ上司の長きにわたる戦いは幕を閉じた
まぁ、とは言っても、あの人に臆せず反論できた時点で、オレの戦いは終わっていた
勝っていたんだ
だから、もうオレは前を向いて歩けていた
これから、もし理不尽な目にあっても正しい対応ができるだろう
そう思えているってことがなによりの勝利の証だ
みんなにも、ちゃんと伝えないとな
オレは3人の魅力的なVTuberの姿を思い浮かべる
「よっし!これでコラボに集中できるね!新井くん!」
「はい!そうですね!」
「二宮さんからはまだメールきてないのかい!?」
「えーと、、まだ来ておりません!!」
「そうか!ならば、今やれることを進めようじゃないか!」
「ですね!では!改めてパッケージについてとイラストレーターさんをどなたに依頼するか考えませんか!?」
「いいね!私はあめちゃんのママにお願いしたいなー!」
「それができたら最高ですね!
あとは、ひまちゃんのママにもお声がけしたいです!」
「だね!」
補足すると、ママというのはVTuberのキャラデザインをした人のことだ
生みの親という意味合いで、女性のイラストレーターならママ、男性ならパパと呼ぶ文化がある
「うちのママは、ひまちゃんと同じだから頼みやすいですよね」
「そうだね!」
「ところで、こういうときってイラストレーターさんは一人に絞るべきなんですかね?」
「ほう?と、いうと?」
「いや、今回うちのKanonとディメコネの4人、合計5人もパッケージになるんですから、イラストレーターさんも2人とかに依頼してもいいかも?
と、ふと思いまして」
「ああ、なるほどね、一番くじとかプライズだとそういうものあるけど、、
デザインの統一感を考えるとどうなんだろう?」
「ん~、そこは絵柄が極端に違わないイラストレーターさんでしたら、背景で統一感は出せるかも、、」
「なるほど!その線でも検討してみようか!」
「はい!」
「2人はさすがVTuberのことになると詳しいなぁ、うちついていけてへんわぁ」
「ま!オタクだからね!」
「ま!オタクだからね!」
そういって、2人のオタクとオタクになりきれていない新人VTuberは今日もコラボ企画について検討するのであった




